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この小説は作者の妄想・フィクションです。
ご本人様(キャラクター等)には一切の関係・関連はありません。ご迷惑がかからぬよう皆で自衛をしていきましょう!
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※その他BL要素有り( 🟦×🏺)
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🏺『』その他「」無線「”○○○”」
”蛇に睨まれた蛙”なんて言葉をどこかで聞いた覚えがある。
日本に住んでいた時か⋯、はたまたこの忙しない日々を過ごすロスサントスの住人に教えて貰った言葉か、とにかく今の状況にとても即している言葉だと思った。
「お前さぁ…なんで逃げるの?、俺じゃ不服?」
普段は見ることの出来ないその瞳が余りにも冷ややかで、青々としていて、逃げ出そうとすれば絶対に絞め殺してでも捕らえるのだろうと推測する。
それ程までに、今の青井らだおは意味も無くおかしかった。
『、ぁ〜、アオセン、そのー…、なんだ、ええとだな、え〜…と…、』
ハッキリと“執着する相手を間違えている”と伝えてあげなければいけないのは重々承知の上なのだが、どうしてもその言葉が出てこない。
酔いが余りにも酷いからって想い人の女性署員とイカつい男を間違えるなど前代未聞だ。
「なになに絡まれてんの〜(笑)?、お助けレスキュー必要かぁ?」
日頃の疲れを吹っ飛ばす為、わいわいガヤガヤと色々な感情がごちゃ混ぜになったおつかれさま会。
困った次いでに少し肌寒い空を見上げれば、灰色がかった薄い雲が夜空を覆い隠していた。
『えーっと、、そうっすね。これはお助け賜りたいぜ』
「言い方の癖つよ(笑)、おっけーおっけ〜、たまわった!」
こちらも割と酔いが回っているらしく、黄金の風こと伊藤ぺいんもケラケラとしながらつぼ浦の腕を掴む。
『ッ、゙あ?、それは俺の腕だぜイトセン、しっかりしてくれ』
「ン〜、分かってるわかってる。要はこのひっつき虫を剥がせばいいんだろ?」
ガシリと捕らえられているその左手をどうにか引き剥がそうと、ぺいんは思いっきりつぼ浦の腕を自身の方へと引き寄せる。
『待て待てっ、゙いててててッ!、ぁ、ッぶね…、』
痛みに顔を歪めたその表情を見て、青井はパッと手を離す。
その反動でぺいんの腕の中にはつぼ浦が勢い任せに飛び込んできて、多少ふらつきながらもつぼ浦の身体をぺいんは受け止めきった。
「よっ、と〜(笑)、はは(笑)、これすごくね?!、完璧レスキューじゃない?!、」
『あ〜あ〜そうだな酔っ払い。助かりましたよ』
“つーかはよ離さんかいッ”と割と強めに腕をばたつかせて、つぼ浦はため息を漏らす。
『はぁ〜…、アンタらなぁ、明日も休みだからってハメ外し過ぎなんじゃねぇのか?』
「そんなことないでしょ〜(笑)、てか次カラオケ行くって!、前線の奴らが言ってたよ!、俺マジで楽しみ〜(笑)。レッツゴーカラオケ〜!」
『おいおいおい、』
夜の飲み屋街を軽快なステップで駆けて行く伊藤ぺいんの視線の先には、前線と言っていた他の署員がわちゃわちゃと楽しげに歩いている。
『足はえ〜…、つーかあれは二日酔い間違いなしだな。今さら水やっても助からねぇぜあの人は…、』
どんどんと離れていくその姿を眺めながら、ふと今の状況を考える。
『(……まて。イトセンが消えた。他の奴らに引き離されているこの状況、しかも酔っ払いのアオセンと2人きり?、…はぁ?、)』
若干顔を引き攣らせつつも、一応適度な距離感を保ちながら突っ立っているその男を眺める。
「……、」
『、……、』
引き剥がされたままの距離で呆然としている青井はまぁまぁ…、いや、だいぶ肝が冷える怖さがあった。
ぱちりと目が合えば数秒互いに無言の時が流れて、それから不意に青井が俯く。
『…、体調でも悪くなりました?、』
何も言わない青井に向けてそう問いかければ、ワンテンポ遅れてゆるく言葉が返ってくる。
「……手、繋ぎたい」
『…は?』
「無理やりじゃなかったら、いいんでしょ…?」
控えめに手を差し出してくるその男のなんとまぁ可愛らしいことか。
空の悪魔と呼ばれ、鬼の被り物を常に身につけている淡白な男が、何故だか急激に飴と鞭の塩梅を考えずにあっっまい飴だけを投げつけて来た。
『ッ…とー…、』
なんなら素顔だって見えているし、そんな瞳で様子を伺われてしまえば断りずらさがMAXだ。
「…ダメ?」
『っー…、いやー…、……まぁ、少しなら、…おう、いいぜ、』
“ちょうど手も冷えてきたしなァ…”となんとかそれっぽい理由を探し出して、つぼ浦はその手のひらをそっと捕まえる。
「…うん。確かに冷たいね」
『まぁな。アンタの体温ぜんぶ奪ってやるぜ』
自分から許可を出してしまった手前、もう後には引けないので開き直ってはみたが…実の所は青井の方が氷のように冷たい。
もちろん365日半袖短パンの男のポケットに携帯カイロなどある筈もなく、つぼ浦は少し頭を悩ませてからすぐ近くにあるコンビニへと入り込んだ。
「何買うの?、置いてかれるよ?」
『ん?、あぁまぁ……いいんじゃねぇか?』
あったかい飲み物コーナーからココアを手に取って、青井はそれに続けてお茶を取る。
「俺払うよ」
『いいぜ酔っ払い。俺が奢ってやる』
有無を言わさずにお金を払って外に出れば、署員たちの背中はもうはるか遠くにあった。
豆粒ほどの小さな背中を薄目で眺めて、つぼ浦は青井の手を軽く握り直す。
『あー…、見えねぇな。消えたぜアイツら。仕方がねぇから帰るか』
「帰る?」
『嫌か?』
「…、うん。少し」
『酔ったら甘えたになる節があると。なるほどなァ、こりゃあ世の人間は放っておかねぇだろうよ』
握り返されたその握力がわりかし強い事は二の次で、つぼ浦は渋々といった様子で飲み屋街から離れていく。
青井を引き連れながら静かな住宅街へ到着すれば、そこにはこじんまりとした公園があった。
『寒さに耐えられんなら、ここで少し駄べっても許してやりますよ』
「めっちゃ上から目線じゃない(笑)?」
『俺がアンタを駅まで送り届ける未来は目に見えてるからな。下手なこと言ったら置いてくぜ?』
したり顔の笑顔を緩く見せながら、ひんやりとしたベンチに座って息を吐く。
吐く息はまだ白くなるほどの寒さではないらしい。
寒いには寒いが、別に耐えられぬほどの極寒では無いのだ。
買ったばかりの温かい飲み物を片手に、二人はベンチで軽く駄べる。
後輩たちの面白い言動や最近の事件について、そしていつの間にか青井の言葉に流され、好きなものを当てるゲームへと発展していた。
「じゃあねぇ、ンー…、俺の好きな人とかどう?」
『おぉ、随分とあっさりぶっ込んでくるな』
「ふへ(笑)、だってさっきからあからさまに人間関係について触れて来ないし(笑)、気まずいのかなぁって」
『嫌がらせの為の無理心中か…やるじゃねぇか。乗った』
青井は羞恥を、つぼ浦は気まずさを天秤に掛けて、青井らだおの好きな人当てゲームを大々的に開催する。
質問はものすごく簡単なもので、つぼ浦の質問に青井がいい感じに答える。
様々な答えをかき集めて最終的に誰が好きなのかを当てるだけだ。
『やるなら本気で当てるぜ』
「うん(笑)、頑張ってね」
ゆるく笑うその表情につられることも無く、つぼ浦は顎に手を添えて考える。
『゙ンー…まずはそうだなァ、アンタの好きな人は、警察の中にいるか?』
「ん。いるよ」
『茶髪で、ちょっとヤンチャで、たまにバッドを使うような奴か?』
「そうだねぇ」
『あとはー…、ん。アンタより少し背が高いだろ。そいつ』
「高いかも」
ピタリと特徴を言い当て続けるつぼ浦の脳裏には、本署に所属しているタッパのでかい…いわゆる”かっこいい”と老若男女に言われるであろう女の子の後輩くんが的確に浮かんでいる。
『背比べはしたことねぇが俺よりちょっと下くらいだったはず…、つーことは…うん。やっぱしあってんな』
マトリョーシカのように大中小でピッタリと収まりが良さそうな並びを想像し、つぼ浦は少しだけクスリと笑う。
「なんか余裕そうだね。質問に迷いがないし…、どこかで聞いた?、俺の噂話」
『まぁな(笑)、別に興味がなくてもちょくちょく耳には入ってくるもんだぜ?。特にアンタの話はよく耳に入る』
みんなに愛される優秀な警官…青井らだおという男が一体全体どんな女性を好くのか。
そもそも恋愛というものに興味はあるのか。
好物は?、嫌いな物は?、弱点は?、笑いのツボは?。
何を取っても青井は未知数で、どんな回答が来てもまぁ結局は納得をしてしまうんだろうと思う。
『アンタが好きな人。後輩の〇〇くんだろ?』
つぼ浦がペラりと答えを述べれば、青井は少しだけムスッとした表情でゆるく首を振る。
『はぁ??、〇〇くんだろって。聞こえてんのか?、アオセン』
「聞こえたうえでノーだと言ってるんですぅ。ハズレだよ。ハズレ」
こくりこくりとお茶を飲んで、青井は小さくため息を漏らす。
『じゃあ一体誰なんだ?、イマジナリー想い人って訳でもねぇだろ?』
「そんなイマジナリーフレンドみたいに(笑)。ふふ(笑)、はぁ〜…ちゃんと存在するよ。しかも結構頻繁に話もしてる」
『マジかよ…、全然分かんねぇな。゙ン〜…悪ぃがギブだ。俺にはさっぱり分からん』
お手上げ状態のつぼ浦はひらりと手を掲げて、そのままその手の平を太ももにパシリと戻す。
「分かんないんだぁ(笑)」
『煽ったって無駄だぜ?。酔っ払いには屈しねぇ』
子どものような煽り口調で、青井はクスクスと笑ってベンチに座り直す。
本来の座り方とは一風変わってベンチの上に体操座りで座り込み、その身体と足先はつぼ浦の方へと一直線だった。
ひんやりとした背もたれの縁に腕を軽く乗せて、不服そうな頬にペタリと一本手を添える童顔な大人…その姿はまるで、暇を持て余した高校生のようである。
「質問ゲームおしまい?」
『終いだな。ふぅ…、で?。次はどうする?』
「ンー…じゃあさ。次はつぼ浦の好きな人を当てるゲームしよう?」
『俺の好きな奴か?』
「”定義によっては全員好きだぜ”はなしね?」
『゙ッ、…アンタ本当に酔ってるか?』
「よってないよ〜(笑)?」
『酔ってるな』
酔っていなければこんなに自然体な様子でヘラりと笑う青井らだおの姿は拝めないだろう。
『まぁどっちにしたって、俺には好きな奴がいねぇからなァ。大前提にゲーム性が崩壊しちまうが…』
「え〜そうなの?。ンー…いると思うけどなぁ」
青井は小さく首を傾げて、頭の中で何かを再構築してからまた口を開く。
「…。じゃあさ、俺が色んな人の名前言っていくから、その人と恋人繋ぎができるかぁとか、ハグしたら恥ずかしくなりそうだなぁとか、ちょっと想像してもらってもいい?」
『なんじゃそりゃ(笑)、手繋ぎもハグも余裕でできるぜ?』
「好きな人との触れ合いはまた別の感情が芽生えるものなのよ。例えいつもの光景に見えたとしてもね?」
“いいから想像して”と強く念を押されて、つぼ浦は仕方なさげに腕を組んで了承をする。
「やったぁ〜(笑)。じゃあ行きまーす。まずはねぇ…、」
”思考することが今はとにかく楽しいらしい”と青井の生体を自分なりに解釈したつぼ浦は、しばらく青井の不思議なゲームに付き合い続ける事にした。
「安保さぶ郎」
『うん。普通にできるな』
「伊藤ぺいん」
『さっき必然的に抱きついたぜ』
「署長は(笑)?」
『勘弁してくれ(笑)、署長の骨が折れちまう』
“老体は労るもんだぜ?”と青井にチッチと指さして、つぼ浦は想像力をまた膨らませる。
ここまで何十人もの署員がチラリと脳裏を横切ったが、青井がその人たちの名前を言う度に“別に平気だなぁ”と思えてしまう自分がいる。
別に手を繋いでも、ハグを強要されても、後輩たちはいつも通りの可愛い後輩だし…、先輩たちはいつも通りの頼りになる先輩だ。
「全然大丈夫そうじゃん」
『だな。自分でもびっくりするほど何も感じねぇぜ』
余裕そうなつぼ浦に“そっかぁ”とゆるく呟いて、青井はまた別の名前を口にする。
「じゃあ次は〜、…あ、次の言う前に。ちょっと目を閉じて考えて?」
『?、別に構わんが…、まぁ、いいぜ』
本格的に答えを導き出したくなったのか、つぼ浦は青井のお願いに渋々と言った様子で大人しく目を瞑り従う。
「じゃあね、次は〜……、青井らだお。俺ね?」
『、アンタか?』
「どーお?。できそう?、俺と恋人繋ぎ。俺とハグ」
視界がシャットアウトされて、より鮮明に描かれるのは自身の姿と青井の大胆なその姿。
『…、…別に。できるぞ?、アンタとも余裕だ』
「…ふーん、そう(笑)。じゃあさ、そのままもう少し想像してみてよ。手を繋いだあと、俺とハグ…ていうか、抱き合った後にさ。誰も居ないところで、触れるだけのキスをする。…そうしたら、お前はどんな気持ちになる?」
『っ、ど、どんな気持ちって、そんな、ッ…、ふしだらだぜ…、アオセン』
恥ずかしい行為をぺらりと呟かれ、つぼ浦はなんだかいたたまれない気持ちになって薄くを目を開く。
「ふしだらぁ(笑)?、へぇ〜そう。好きな人とキスをするのは、結構当たり前のことだと思うけどなぁ」
“逆に好きな人としか出来なくない?、キス”と意味の分からない質問を投げかけられて、つぼ浦は視線を泳がせる。
『っ、と、俺は、その…、ッ、したことがねぇから、分からん。知らん。…、もういいか?、』
「……ンー。…じゃあいいよ?」
やっと開放された想像力をフルに使うとんでもゲームの終わりに、つぼ浦は安堵の息を長々と漏らした。
「………。…恋人繋ぎ、ハグ、…キス、壁に追い詰められて、逃げ場が無くなって〜…、」
『っ、おい、終わったんじゃねぇのか?、』
「そのまま頬を撫でられて、次はもっと逃げられない状況で、もっと深いキスをせがまれる…。でもやられる側は満更でもなさそう(笑)」
青井の言葉が即効性のある毒のように、ぐるぐると頭の中にそれらの行為を行う二人を連想させる。
『ッ、っ、ぁ、アオセン、やめてくれ、その…、ッ…なんか、小っ恥ずかしいっつーか、ムカムカするぜ、』
「あ〜ね(笑)。優しくされる方がすき?、それならもっと甘い言葉を言いながら抱きしめてあげようか?」
『゙クっ…、゙っ、゙アンタは、ンなことしねぇだろッ』
パシリと強めに自身の頬を両手で叩いて、つぼ浦はキッと青井を睨みつける。
『アオセンはンな甘いことしねぇ!、するとしても相手は俺じゃねぇ!』
「…あれ。俺べつに誰と誰がだなんて明確に伝えてないよ?。……あ〜、もしかして、俺との事を想像しちゃった?。というか、想像できちゃった?」
『っ゙ッ…!、っ、はぁ?、てめ、ッはぁ??、意味わかんねぇこと、ッ…゙あ゙あ??、』
困惑のオンパレードがつぼ浦の頭の中で大爆発を起こし、羞恥やら困惑やら、はめられたと分かっているのにそれ以上の怒号のワードが出てこない。
「俺とならそこまで想像できるんだね(笑)。嫌じゃないんだ?、俺と恋人みたいな事をしても」
『さ、詐欺師が、ッ、酔っ払いの癖に、゙っ、つーか、酔っ払いだからか?、酔うと饒舌になるタイプだな??』
もういっその事そういうことにして、つぼ浦は自分の失態を今日の夜で全て洗い流そうと躍起になる。
『仕方ねぇからもう一本お茶でも買ってきてやりますよ。もう仕方ないっすねぇ、マジでしょうがねぇなァ、それ飲んだら帰りますからね?、』
逃げ腰で早急に立ち上がろうとすれば、その瞬間にパシリと手首を捕まれ”ガチリ”と身体が硬直する。
「逃げるな逃げるな(笑)」
『ッ…いや、別に、逃げてはねぇっすよ、』
「ほんとうに?」
訝しげに目を細めるその仕草が、今はこんなにも胸をドキリと跳ねらせる。
『ッ、っ…、はぁ〜…ッ、…自覚…させないで欲しかったな゙ァ…、、』
薄々青井に対する自分の感情には気がついていたものの、こんな一時間ちょっとでご本人様に思い知らされるとは夢にも思わなかった。
しかも相手は絶賛好きな人がいると噂の…いや、事実であろうハイスペックな青鬼だ。
『…ッ、…なぁアオセン、アンタを置いて逃げてもいいか?』
「ダメに決まってるでしょ。酔っ払いを置いて行くの?、しかも公園に一人?」
『だって酔ってねぇってさっき言ってたぜ?、アンタ』
「うん。酔ってないけどさぁ、一緒にいたいよ?。俺は」
“だめ?”と自分の武器を最大限に活かして、青井はつぼ浦の良心に語りかける。
『゙ぐっ…、ッ、…ダメじゃ、ね゙ぇ、けど、』
もはや顔の赤みも何も無く、本当に酔っていないのではないかと思ってしまう程の策士な先輩の言動に狼狽える。
『…本当に、酔ってんだよな?』
「ン。酔ってないよ〜(笑)」
何度目かも分からない酔っ払い特有の決め台詞を聞き届けて、つぼ浦は小さく息を吐きながらも…青井のお願いに渋々と首を縦に振った。
「“つぼ浦ちょっと来れる〜?”」
ピピッという無線の呼び出しに反応して、つぼ浦は数日ぶりの緊張感を肌に感じていた。
おつかれさま会にプラスして二人だけの夜会があったあの日を境に、つぼ浦は何となく青井のことを避けていたのだ。
別にあからまさに避けている訳でもなく、ただ何となく一緒にいるのが気まずくて…一言二言会話をしたらすぐに事件対応へと向かってしまう事が最近ではしばしばと多すぎた。
「“さっき刑務所送った人からクレームきたんだけど…、言い訳があるなら早く俺のところに来た方が身のためだよ?”」
一方青井は本当にいつも通りで、弁明ではなくもはや言い訳を言いに来いと言われる始末である。
特殊刑事課対応課としての役割を全うしようと、青井はつぼ浦に何度も声をかけながら取調室にてつぼ浦の到着を待つのみ。
「“GPSついてるんだから、さっさと来た方が得策だと思いますけどねー?”」
緩い言葉の中にピリリとした怒りを感じる。
『ッ…、っー…、はぁ…、』
なんだかんだ真面目モードの青井が怖いのは人類みな共通の考えで、これ以上怒りを蓄積させない為にもつぼ浦は重い腰を上げて取調室へと向かう。
『来たぜ〜アオセン、ッ、けほけほっ…、』
そこには机に腰掛けてタバコを吹かす青井の姿があった。
「やっと来た。あぁてかごめんね?、むせちゃった?」
『゙いや、平気だぜこんくらい。ロケランの煙の方がもっと不味いからな』
「確かに(笑)…、あ、というかお前なァ。30分前に転送した犯人から大クレーム来てたし…、なんならそのロケランについても言いたいことがあるし…、」
思い出したかのようにタバコを手元から消失させて、青井は一つずつ確実に分かりやすく言葉を連ねていく。
「…ってことらしいから、賭博罪とか詐欺罪とか、その場で誘導尋問みたいな事はしないこと。あ〜あと、今月ロケランまじで使い過ぎね?、金庫のお金無くなっちゃうからね?、自腹が嫌ならよく考えて所持すること。わかった?」
『゙っ、ッ、だァ〜分かった!、全部分かったぜ!、これ以上は俺の脳が処理しきれねぇ!、アンタなら分かんだろ!、』
キャパオーバーになりかけているつぼ浦を眺めて、青井は仕方がないといった様子でため息を漏らす。
「まだまだ言いたいことは沢山あるんですけどねぇ?」
『勘弁してくれ。人には限度っつーもんがある、それが今だ、』
取調室の椅子に腰掛けて、つぼ浦は熱に溶けたチョコのようにぐだぐだと机に頭を突っ伏す。
「たはは(笑)、溶けちゃった」
『誰のせいで…、』
「巡り巡ってはお前のせい?」
『ぐぅの音もでねぇな』
真正面に座っている青井は、クスクスと鼻を鳴らしてから不意につぼ浦の頭に手を添える。
わしゃわしゃと軽く撫でて、それからまたペラりと口を開いた。
「あぁそういえば、お前の好きな奴が誰か分かったよ?」
『っ、はぁ?』
「何週間か前に話したじゃん。その続き」
青井が今の今まで全くプチ夜会の話に関して話題を持ち出して来なかったので、つぼ浦は“酒のおかげで忘れたんだろうなぁ”と安堵していた。
それなのに、目の前の男は“その続き”とまるで全ての記憶を覚えているかのように呟く。
『゙な、なにを言ってんだかさっぱりだなァ…、』
「あっそう?。でも俺は覚えてるよ?」
コンビニで飲み物を買ってくれたことも、公園で駄べったことも、その場の雰囲気にだけ酔ってぺらぺらと本音を漏らしたことも。
「俺別にそこまで酔ってなかったから(笑)。全部覚えてるよ?」
『゙、ッ、゙ぁ゙あ?、』
羞恥でキレ散らかしそうなつぼ浦の耳を柔く引っ張って、青井は“まぁまぁ”と緩く宥める。
「それでさぁ、自惚れでなければいいなぁとは思ってるんだけど…。…つぼ浦さ、俺のこと好き?」
『っ…、゙ッっ、』
喉にグッと力が入り、つぼ浦の視線がまた机に突っ伏して暗くなる。
「……俺はさぁ、お前のこと…好きだけど。つぼ浦の気持ち的に、どうです?。恋心というものは」
するりと手の甲で頬を撫でれば、つぼ浦の顔からみるみるうちに赤みが増して…その熱が分かりやすく耳にも真っ赤に現れる。
「噂話とか、後輩の子が好きとか、なんか色々勘ぐって気まずそうにしていますが。…それ、全部お前の勘違いだからね?」
『……か、勘違゙い?、』
「だって誰がどう聞いてもその噂話、お前に直結する以外ないのに(笑)。どうなったら後輩ちゃんに行き着くのかさっぱりわからん」
茶髪で高身長でバッド担いで、少々ヤンチャでとても手がかかる後輩。
「誰がどう聞いてもお前なのに(笑)」
『………、俺じゃねぇ…』
「お前だよ。当人がそう言ってます〜」
ぷすぷすとつぼ浦の頬を突っついて、一向に上がらないその顔をむきゅりと鷲づかんで視線をかち合わせる。
『゙ンぐっ…、』
「そろそろ諦めたらどうですかぁ?。(笑)、俺ぜったい逃がさないし。お前のこと」
被り物の奥に潜むその瞳が、ゆるりと目を細めて妖艶に笑う。
『、…、こんなん詐欺だろ、…脅しだ、脅し』
「いやいやいや(笑)…、俺ずっと言ってたでしょ?。“酔ってないよ〜”って。今も本気だよ?、まぁ本気で脅してはいるか(笑)。だって好きなんだもん」
へらりと笑って好きだなんだと呟く青井に、つぼ浦の思考はまた毒される。
『井の中の蛙だな…、』
「蛇に睨まれた蛙かもよ?」
『どっちだって詰んでるじゃねぇか』
「そうだね(笑)、だから早く諦めてね?」
『…何をだよ』
「そりゃまぁ…、俺を好きにならないこと?」
『゙ッ、自惚れんな、マジで』
「そんな顔で言われてもねぇ(笑)?」
どう頑張っても手繰り寄せられてしまう恋心に、つぼ浦は心の中で“あぁこりゃだめだな…”と呟いて八の字に眉を寄せる。
そんな姿をゆるりと見つめる青井は、まるで戸愚呂を巻くように…つぼ浦の手に指を絡めて絶対に離さなかった。
蛇の目[完]
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