テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

どうも皆様、サカナです

爆速でコメントくださってありがとうございます〜〜😭😭

書いたことないけどめっちゃ尊い

って感じのがたくさん来まして、幸せです

あったけぇ…あったけぇよ…!

なのに出来上がったものが…🫠

ほんとすみません…

何はともあれ、コメント順で書いていこうと思います

























七つの海を股にかけ、大きく広い大陸の4分の1を占めた国。

それが私のお兄様、大英帝国。

お兄様は実に素晴らしく、数多の業績を成し遂げ、世界中に影響を与えた方だ。

そんなお兄様は今、私の手の内にいる。










世界の4番の1がお兄様だった頃、私はお兄様の美しさと素晴らしさに目を奪われていた。

陶器のようにきめ細やかで、傷ひとつない肌。

世界の果て、宇宙の果てまで見通せそうな紺碧の瞳。

聞いた者を魅了して離さない、人魚の歌声よりも麗しい声。

巧みな話術で愚かな奴らを出し抜き、お兄様はみるみるうちに成り上がっていく。

時にはフランスや他国の連中が卑怯だ、詐欺だと騒ぎ立てていたが、細い体躯に似合わない圧倒的な力の前に、アイツは屈せざるを得なかった。

お兄様は生ける英雄に違いなく、伝説を目の当たりにしているのだと信じて疑わなかったし、今だってあの時のことは最高の伝説だと思っている。

そんなお兄様が、落ちぶれた。

お兄様の下にいれて幸せだったはずの奴隷や国々が反旗を翻し、お兄様を寄ってたかって虐めたのだ。

私の息子であったアメリカも、カナダも、オーストラリアも、ニュージーランドも。

使用人だったインドにエジプト、アフリカの連中や東南アジアの奴らもだ。

あんなに美しく素晴らしいお兄様に仕える権利を持っておきながら、裏切るなんて。

そんな奴らのせいで、お兄様は弱ってしまった。

いつも自信に満ち溢れていたお兄様は見る影もなく、小さく震えながら身を丸めるばかり。

嗚呼、なんて可哀想なお兄様!

私ならば、そんなこと絶対にしないのに!

それに、私はお兄様がいなくては生きていけないというのに、お兄様は私がいなくても生きていけるなんて不条理だ。

もうお兄様に味方なんていない。

完璧で、妖艶で、優美で、他の誰よりも敬愛すべき大切な大切なお兄様!

あなたのイギリスは、あなたのたった1人の味方となりましょう!


「お兄様、お体の調子はいかがですか?」

「イギリス…見てわからぬか、すこぶる悪い…」

「それはそれは…」

お兄様は弱り果て、すっかり睡眠すらも取れていない様子。

目の下には不健康なまでに濃いクマが居座っていた。

「…あ、そうでした。スープを作りましたから、お食べください」

「いらない…」

「食べなくては元気になれませんよ。ほら、口をお開けになってください。私が食べさせますので」

「……」

今のお兄様は、普段ならご自分でなされることも私に任せている。

というより、委ねられているようだ。

食事を拒否するのも、もはや何かを持ったり口に運ぶことすら面倒だからだろう。

のそのそとベッドの淵に腰掛け、餌を待つ小鳥のように、けれど小さく小さく口を開けられた。

私がスプーンで掬ったものをお兄様の口元へ運び、お兄様がそれをパクリと食む。

その姿は心の奥深くから満たしてくれるもので、美しかったお兄様は愛らしさまで身につけていた。

具もない一口のスープですら嚥下に時間をかけて食べるお兄様が、本当に愛しくて愛しくて。

私がいないと何もできない。

その事実にまた心が跳ねる。

「あぁ、愛しいお兄様…お兄様はもう、私がいなくては生きていくことすらできないのですね…」

恍惚として呟いてみても、お兄様は反応を示さない。

お兄様は意志が強く、ご自身がこうと思われたことは必ず遂行される。

私の発言に何の反応も返さないということは、お兄様自身がそのことを認められたということ。

生まれたばかりの子猫のように手がかかり、それでも私の言うことだけを聞いてくださる。

そんなお兄様が、私はやはり大好きだ。


「…」

小さな器一杯だけのスープを何十分もかけて食べ終わり、最後の一口を飲み込み終われば、操り人形の糸が切れたようにぱたりとベッドに崩れ落ち、横になられる。

「お疲れ様でした。ゆっくり寝てお休みくださいね、お兄様」







数ヶ月後、お兄様は長い長い時を費やして回復することができた。

その間のお世話は私がこなし、食事も入浴も私が補助をすることでしかできなかったというのに、時はなんでも解決させてしまう。

しかし残念がることはない。

お兄様は今も、私なしでは生きていけないのだから。

「イ、イギリス…」

「どうかいたしましたか?お兄様」

「わ、私から、離れないでくれ…せめて、私の目が届くところに…」

私の顔色をチラチラ伺いながら、今にも泣いてしまわれそうなお顔で仰られた内容は、何よりも私の心を満たした。

「ふふふ、お兄様ったら。寂しいのですか?それなら、このイギリスがずっとお兄様の側におりましょう」

「イギリス…」

以前のお兄様なら、こんなこと絶対に仰られなかっただろう。

世話を焼いていた頃、毎日毎日刷り込んでよかった。

私以外、お兄様を愛す人なんて誰もいません。

私以外、お兄様を思う人なんて誰もいません。

私以外、みんなみんなお兄様を見捨てて、お兄様を虐めるでしょう。

お兄様は仰ったのです。

人を依存させるのなら、精神が弱っている時に、とね。

縋り付いてくるお兄様にハグを返して、私はほくそ笑む。

こんなに可愛らしいお兄様を独り占めできるだなんて、私は世界で1番幸せだ!

「も、もう、離れてくれるなよ…?」

「ええ、もちろんですよ♡」

「っ…足りない、もっと、もっと私を必要としろっ!二度と離れるなっ!捨てないでくれっ! 」

お兄様は情緒が安定しない。

私がお兄様の視界から外れたり、突き放すような行動を取ったりすれば、その瞬間こうして縋ってきて、可愛らしく泣きながら「捨てないで」と連呼する。

その様子があんまりにも愚かで、私がいないと不安で潰れてしまうお兄様が愛しくて仕方がない。

「はい!私は絶対にお兄様を捨てません。私以外、あなたのことをこんなにも愛している者などおりませんよ」

「それなら、もっと縛れっ!私がいないとダメだと言えっ!」

「お兄様落ち着いて。もう首輪も跡もあるでしょう。あなたは私のものです。私はお兄様がいないとダメなのですから、離すわけがありません」

「本当か…?私のことを捨てないか…?」

「捨てませんよ、なので安心してくださいね」

不安がっているお兄様を宥めるため、あの頃の面影が消え去った背を撫でる。

服で隠れたそこには、ナイフで書いてあげた私の名前があるはずだ。

お兄様は私のものであり、誰か他の国や人間の目に触れさせるわけにはいかない。

こんなにも愛しているのに、お兄様にはまだ伝わり切っていないのだろうか。

「さ、お兄様、もう食事のお時間ですよ」

「…まだこうしていたい…」

「ふふふ…お兄様ってば、甘えん坊さんですね」

私の言動一つで乱れるお兄様は、思っていたよりずっと小さく見えた。

ドロドロ作品練習場

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

1,568

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚