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初めてコメントキタ♪───O(≧∇≦)O────♪ えななんが描いてくれないと映像作る側も動けないからキツいね〜
えななん!?ニーゴ大丈夫なのか…?
休日の昼間のスクランブル交差点は、酷く五月蠅い。多くの人と車が行きかっていて音が絶えないから、とても喧しい。
車が風を切る音、見知らぬ誰かの話し声、鳥の囀りにどこからともなく響く洋楽。他にも他にも、休日の昼間のスクランブル交差点は様々な音で溢れていて、無音になることなどありはしない。
なのに、一筋の強風によって奏の世界から一切の音が消えた。
いっそのこと笑える程不自然に、奏の耳に全ての音が届かなくなった。
クラクションとブレーキ音と、衝突音と甲高い悲鳴を皮切りに、奏のセカイからあらゆる音が消え去った。
「ぇ?」
ぽつり、と呟く。
何が、起こった?
何が、起きた?
どうして、そんな、なぜ、
居たじゃないか、さっきまですぐそこに、すぐ傍に、奏の目の前を、いつものような笑顔で、歩いていたじゃないか。
なのに、
こんな、
どうし、て……………?
「ぇ、な……?」
怒号、悲壮、狂乱、絶望、そして赤。
赤朱赫緋淦赤朱銅赤緋赤銅垢緋紅赩紅赤朱赤赤銅紅緋朱赤銅紅緋赩丹淦緋赤銅赤緋赤銅垢緋紅赩紅赤朱赤赤銅朱銅朱銅赤紅赫赤赫銅紅緋朱赤銅紅緋赩赧赭赤銅赤朱緋紅赤紅緋淦赤朱銅朱赤赤銅朱銅朱銅緋赤銅垢緋紅赩褚赤朱朱朱緋赤朱赫緋淦赤朱銅赤緋赤銅垢緋紅赩紅赤朱赤赤緋赧赭赤銅赤朱緋紅赤紅緋淦赤朱銅朱赤赤銅朱銅朱銅緋赤銅垢緋紅赩褚赤朱朱朱緋赤朱赤朱赤赤銅紅緋朱赤銅紅緋赩丹淦緋赤銅赤緋赤銅垢緋紅赩紅赤朱赤赤銅朱銅朱銅赤紅赫赤赫銅紅緋朱赤銅紅緋赩赧赭赤銅赤朱緋紅赤紅緋淦赤朱銅朱赤赤銅朱銅朱銅緋赤銅垢緋紅赩褚赤朱朱朱緋銅赤紅赫赤赫銅紅緋朱赤銅紅緋赩赧赭赤銅赤朱緋紅赤紅緋淦赤朱銅朱赤赤銅朱銅朱銅緋赤銅垢緋紅赩褚赤朱朱朱緋赤朱赫緋淦赤朱銅赤緋赤銅垢緋紅赩紅赤朱赤赤緋赧赭赤緋赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤。
あかい、ちにそまった、おおがたとらっく。
「え、な……?」
信号無視。
『そっちの方が私にはあってるんだよね。描くの、夜の方が静かで集中できるし』
居眠り運転。
『そいつに……雪に、一言言いに来たの』
交通事故。
『東雲絵名。……なんか、改まって名乗ると変な感じだね』
大型トラックが、突っ込んできた。
赤信号だったのに、構わず直進してきた。
だから当然のように、轢かれた人がいた。
被害者。
事故の、被害者。
この事故の、被害者は、
どうして、さっきまで奏の前方にいたはずの絵名が消えてしまったのかといえば、
突然感じた強風の正体は、
気づき、
奏は叫んだ。
「絵名ッッッ!!!!!」
世界に音が戻った。
停滞していた時間間隔が元に戻った。
瞬間、さらに、気づく、嘔吐く。
――――――血の臭いだ。
あの時と同じ、奏の父親が倒れた時と同じ、血の臭い。
だけど、今感じるこの血の臭いはあの時よりも遥かに濃く、大きく、強く、刺激的で、
だから、
なのに、
「絵名、絵名っ!」
蒼白になりながら必死に走る。トラックの突っ込んだ方向へ、決死に。
なのに遅い、距離が全然縮まらない。だから焦りだけが募っていく。
「っ、いや」
遅い、遅い、遅すぎる。亀だってもう少し速く走れるはずだ。なぜ今まで外で身体を動かすようなことをしてこなかったのか。なぜ今まで部屋の中でパソコンに向かってばかりいたのか。
なぜ、なぜ、どうしてこんな、こんな……っ!
「嫌っ、絵名っ!」
これからだって時だったのに、
ようやく、色々なことが解決したのに、
『25時、ナイトコードで。』として、本当の意味で一緒に活動できるはずだったのに!
なぜ!?
「絵名、だいじょ……」
言葉を失う。
何も言えない。
奏はようやく、本当にようやく絵名のもとに辿り着いた。炎上するトラックには爆発の危険性があり、当然周囲の大人はそれに気づいて奏の疾走を止めようとしたが、しかし誰もできなかった。
それほどまでに鬼気迫る様相だったし、何よりもトラックの傍は危険すぎて誰も近寄りたくなかった。『逃げろ!』とか、『そっちに行っちゃダメだ!』とか、声をかける人はいた。
けれど、奏の耳にその声は届いていない。
カクテルパーティー効果。
危機感の欠如。
あるいは、責任感の暴走。
もしくは、精神疾患の再発。
「……………ぅ、………ぁ」
酷い、酷い有様だった。
言葉で言い表せないほどに酷く、絶望的で血に塗れた、その姿。
だけど、
「絵名っ!」
それはまさしく奇跡と言ってもいい事態だった。
時速90キロメートルで突っ込んできたトラックの直撃を受け、それでも絵名は五体満足だった。
どこも千切れてなどいなかった。
命は無事だった。
それだけだったが。
「っ、よか」
「――――――」
だけど絵名の右腕はトラックと建物に挟まれてグチャグチャに潰れていた。
「ぁ」
思ったのは。
それを見て、奏がまず思ったことは、
――――――もう、絵名は絵を描くことができない、ということだった。
『それ』だけに本気だった絵名は、けれどもはや『それ』に取り組むことは、
できない。