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東京テロと東京ジェノサイド、そして新国家日本新党という、非現実的世界の中に埋没した甲本は、自分の立場を理解出来ないでいた。さくらテレビ局を制圧する傍ら、別働隊は東京都心部・新宿・秋葉原・池袋・上野・渋谷・新橋・品川の7駅を武力制圧し、 そして作戦拠点『方舟』の指示を待って国会議事堂を占領。
死のオーロラは最期の手段で、あくまでも取引材料の抑止力として機能させると聞いていたのだが、 甲本は逃亡してしまった。
命がけで挑む企てに価値は無いと判断したからだ。
血の色も、吹き飛ばされた警備員の脳髄の匂いも、甲本の記憶からは抹消されようとしていた。
そんなさ中、目の前に現れたかつての教え子・川野ちずるは、ケラケラと昔と変わらないイヤラシイ笑い声をあげている。
避難民としては場違いな格好で笑っている少女は、非常階段の点滅しかかった蛍光灯の明かりに照らされていた。
甲本は言った。
「久し振りだね…」
「あははは、係長も東京難民だ」
「みんなは元気にしているのかな、どうかな?」
「さあ」
ちずるは、むき出しの白い肩をすくめて言った。
」避難指示は出ているぞ、ひとりが心細いなら先生が一緒にいようか?」
「はあ?先生?ウケる!まだ先生でいるんだ係長」
ちずるは、甲本に近付きながら言った。
屈託の無い笑顔が、甲本の過敏な神経を刺激した。
思わず退く甲本を見て、ちずるは更に続けた。
「係長震えてんの?ヤダカワイイ~!あ、そうだ。またごっこやろうよ」
ちずるは、スマホを動画に切り替えて掲げてみせた。
画面には、わなわなと口元が震えている甲本が映し出されていた。
」キモいストーカーに捕まっちゃいそう!コワイ!誰か助けてえ!」
人生を破滅させた男が目の前にいる。
ちずるには、恐怖心が欠如していた。
甲本は思い返した。
ちずるとの思わぬ再会で、否応無しに消去した筈の記憶が再生されていく。
苦痛に歪む自分の顔と、見知らぬ人達の笑い声が交錯する幻影や幻聴は、甲本の怨を覚醒させるには充分過ぎる素材だった。
セクハラ教師キモい、ウザい 匿名
www.ヘンタイ教師は甲本涼平 匿名
エロ教師www 匿名
DQNセンセイ 親も教師www 匿名
許せない!こんな奴が教職についてる日本氏ね 匿名
埼玉だからなー、こいつ元板橋の学校いた! 匿名
逮捕はよ! 匿名
裁判はよ! 匿名
キモいキモいキモいキモいキモいキモいキモい 匿名
甲本のSNSアカウントはあの日、瞬く間に炎上した。
住所も突き止められ、引っ越しせざる終えない状況となった。
両親には勘当され、恋人は去っていった。
そんな苦しみを知らないちずるは、悪びれた様子もなく、若々しい肌を露わにした格好で、尚も甲本を奈落に突き落とそうと、スマホを片手に近づいて来る。
甲本は呟いた。
「謝ってくれ…」
「はあ? なになになに? 相変わらずキモいんですけど」
「頼むから…」
「こわいこわい! この人まだまだヘンタイですぅ」
「謝れええええええええええええええええええっ!!」
ちずるの掲げ持つスマホ画面に銃口が映った。
その意味を理解できないまま、ちずるの顔面は吹き飛ばされた。