それから少しして、今年もロケバスが桜並木を通った。
今年は昨年より少し遅かったので散り始めていて、桜吹雪の中を通過する。
阿部ちゃんは俺の隣で目を輝かせながら見ている。反対の窓を見るフリをして佐久間くんの様子を伺うと、その表情にも安堵が見てとれた。
佐久間くんは、結局阿部ちゃんの気持ちをちゃんと聞く事はなかった。
今確信させた所で困らせるだけだから、そして俺がいるからもう前を向くんだと阿部ちゃんは伝えない事を選んだ。
それでも、今春2人の間には久しぶりに桜と抹茶のスイーツがやってきた。
数年前にできて、いつも行列する店のマカロンらしい。
佐久間くんはびっくりしていたけど、阿部ちゃんが『久しぶりにやりたくて、恒例のやつ』と笑うととても喜び、みんなが俺らの分ないの?と騒ぐ中、2人は肩を並べて嬉しそうに食べていた。
🖤「あれ羨ましかった」
💚「ふふ、じゃあめめと俺の色のデザートも探そう。チョコレートとピスタチオとかならたくさんあるんじゃない」
🖤「リサーチします」
💚「お願いします。あ、俺も探す」
楽しみがまた1つ増えた。
人がいないので、無理を行ってバスを降ろさせてもらってみんなで少しだけ散策した。
並木を駆け抜けたり、桜を拾って投げ合ったり、写真を撮ったりしている。
阿部ちゃんは桜の木の下にいる佐久間くんを見ても、もう大丈夫そうだ。
手を繋ぐとこっちを見て、笑顔になって握り返してきた。
🧡「あの2人絵になるな」
🤍「ほんとだ。康二くん早く撮って、今すぐ撮って」
🧡「何やのぉ」
この時康二がラウールに急かされながら隠し撮りしてくれた写真は、手を繋いで花吹雪を見上げ、『すごいね』と顔を見合わせた時の俺たち。
とてもいい表情で、しばらく2人の待受になった。
終
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待ち受けぇ、、、てぇてぇ🥹🥹🥹 はーーー。 これで今日も頑張れる!!!!! マジでみちるさんの書く話大好き💕 はぁ、、、、、💙