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「ちゃんと走らぬかー!
前の馬など、蹴り上げよ!!!」
シャルルダルク様が野次を飛ばす。
私はびっくりするが、これが競馬という物なのか?
ふと、私の選んだ馬を見ると…
私の馬は…
最後から2番目!?
まずい!
「しっかり走らぬかぁぁぁああ!!!
馬鍋にして食っちまうどーーーー!!!!
前の馬の騎手など叩き落とせ!!!」
私は知らぬ内に野次を飛ばしていた。
「お主…!
中々やるのぉ!!!」
シャルルダルク様が私を褒める。
「ノロノロ走るな!
馬であろうが!!!」
「えぇい!
遅いわ!
もっと鞭打たぬかぁぁぁ!!!」
そうして、私達は声が枯れるまで野次を飛ばし、金貨100枚をすった。
私たちは競馬場に罵詈雑言を投げつけて、競馬場を後にした。
そして、2人で大笑いした。
「あんなに叫んだのは、生まれて初めてでございます!」
「な、楽しかろう!?」
「スカッと致しました!」
「そなたの下品な野次には驚いたわ!」
「何をおっしゃいます!
シャルルダルク様とて、下品でございましたよ!」
「何を、そなたには負けるわ!」
「いいえ、シャルルダルク様にございます!」
そして、私たちはまた、笑い合った。
その後も競馬の話で盛り上がり、夕飯まで食べて帰った。
翌日、私は昨日の疲れから昼ごろまで寝ていた。
起きてブランチを食べ、そういえば今日は宮廷音楽会の日だと思い出した。
行かねばならないのだろうか?
まぁ、音楽は好きなのだが、あまり畏まった場はやはり似合わぬようだ。
しかし、昨日の競馬は楽しかったなぁ…
久しぶりにあんなに大声を出し、あんな下品な言葉など使ったこともなかったわ。
そして、ふと思った。
シャルルダルク様は私の事をどう思っているのだろうか?
好きだ、の一言があれば…
私は、素直に、私もでございます、と言えるのに…
いや、シャルルダルク様は私よりも身分の高い方と結婚なさるだろう。
変な期待を持つと後で自分が惨めでつらくなるのだ。
やめておこう。
「マリーナ様。
そろそろ宮廷音楽会の準備をせねば…」
「あぁ、どのドレスにしようか?」
「薄ピンクのマーメイドドレスなどいかがでございますか?
他の姫君たちにも引けをとらぬようにせねば!」
「サリーに任せる。」
そして、薄ピンクのマーメイドドレスを着て、髪を低めに結いあげ、化粧をした。
そういえば、シャルルダルク様もピアノで出演なさるとか…
あの馬券を握りしめて、下品に叫んでいた、あのシャルルダルク様が、ピアノ!?
私は少しおかしくなり、笑ってしまった。
「何かおかしいことでもございましたか?」
サリーが不思議そうに尋ねる。
「いや、なんでもない。」
昨日の思い出はなんとなく、私の胸に留めておきたかった…
そして、用意も出来、宮廷音楽会に向かった。