テラーノベル
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ナチスが膝をつき、世界が歪むような目眩に耐えている間、路地裏の空気は凍りついた。日帝は腰の軍刀に手をかけ、イタリアは困惑して右往左往している。しかし、連合国の面々は全く異なる反応を示していた。彼らにとって、鈴はもはや一人の少女ではなく、戦略的価値を持つ「特異点」として認識され始めていた。
アメリカが差し出した手は、一見すると救済のようだが、その瞳の奥には冷徹な計算がある。「この能力が俺たちの手に渡れば……」という独り言は、周囲の国々にはっきりと聞こえるほど明白な誘惑だった。
鈴は差し出された大きな手を見つめ、たじろいだ。彼女が求めているのは争いの道具になることではなく、ただ誰かの悪夢を消し、穏やかな安眠を与えることだけだ。
「……行けません……っ。皆様が、争いをやめない限り……私は、誰にも……」
鈴の声は震えていたが、芯には強い拒絶があった。その時、状況を冷ややかに見つめていたイギリスが、静かに一歩前へ出た。彼は紳士的な微笑みを深め、しかしその瞳は冷たく凪いでいる。
「残念だね。君が『平和』という甘美な言葉を口にしても、この戦場でそれを聞き入れる耳を持つ者は誰もいない。むしろ、君のような存在こそが、この醜い戦争を長引かせる引き金になり得る……私としては、君には少しばかり『教育』が必要だと思うのだが」
イギリスの言葉には、明らかに隠し持った裏の意図が透けていた。ソ連が重苦しい足取りで近づき、その圧倒的な存在感で鈴の行く手を遮る。
「ドイツを揺さぶる力か。実に興味深い。シベリアの凍てつく夜に、お前の力があれば……兵士たちは二度と目覚めぬ悪夢を見ることなく、ただひたすらに前進できるだろうな」
鈴は後ずさった。逃げ場などどこにもない。東西南北、どの方向を向いても、そこには巨大な国旗を頭に載せた、人ならざる「国」たちが、欲望を露わにして待ち構えている。
その時、倒れ込んでいたナチスが、激しい目眩を強引に払いのけて立ち上がった。彼の頭部の国旗は怒りで紅潮しているかのように歪み、その眼差しは、鈴を捕獲しようとする連合国への強い対抗心に燃えていた。
「貴様ら……連合の分際で、俺の獲物に手を出すな!」
ナチスは軍靴を鳴らし、鈴の腕を乱暴に掴んだ。二本の銀色の尻尾が痛みと恐怖で激しく跳ねる。鈴は小さく悲鳴を上げた。ナチスの力は強大で、彼女の持つ「身体能力を向上させる力」を強制的に引き出そうとしているのか、鈴の全身に熱い電流のような感覚が走り始めた。
「そうだ、いいぞ。その力……俺のために使わせてやる。貴様という夢の食い手が俺の中にいれば、俺の見る夢は無敵になる……!」
ナチスの独り善がりな宣言に対し、フランスが鼻で笑った。「ああ、本当に野蛮だこと」。カナダは影のように寄り添い、状況を静かに見守りながら、いつでも鈴を奪えるタイミングを計っている。中国は扇子を閉じ、鋭い眼光を鈴に向けた。
「鈴ちゃん、と言うんだったかネ。君のその赤い目、何を見ているのか……少し見せてもらうアル」
張り詰めた緊張感の中で、鈴は悟った。このままでは彼女自身が戦火の火種となり、さらに多くの命が削られていく。彼女は小さく息を吸い込み、限界まで力を練り上げた。重混反応は一度使うと一日使えない。しかし、彼女にはまだ、誰にも教えたことのない「獏」としての真の能力——夢の領域を書き換える力が残されていた。
鈴の背中から、銀色の燐光が淡く漏れ始めた。路地裏の壁が、まるで溶けるように歪んでいく。
「皆様……お願いですから、少しだけ……本当の心で、眠ってください……っ!」
銀色の光が鈴を中心に爆発し、路地裏の空間を異質な静寂で包み込んだ。それは、戦火を一時的に強制終了させる、神獣の領域。国家という巨大な概念体さえも、抗うことのできない「眠り」の波が、その場にいた全員を呑み込もうとしていた。
つうん@感謝しかない
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コメント
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読み終えたよ〜!!😭💕 第2話、めっちゃ緊迫感ヤバかった…!! 鈴ちゃんが「ただ安眠を与えたいだけ」なのに、国々が欲望むき出しで奪い合う構図がもう切なすぎる…。特にラストの銀色の光で全員眠らせようとするシーン、幻想的で鳥肌立ったよ✨ 鈴ちゃんの「お願いですから、本当の心で眠ってください」って台詞、心臓ギュッてなった…🥺💔 次どうなるの!?続き気になりすぎるっ!!🌸