テラーノベル
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sh「じゃじゃーん!どう?これ似合ってる?」姿見でピシッと服装をキメるとくるんとこちらを振り向いた
rb「かっこいいよ、髪ピンで留めてるの似合ってるし」
sh「ロボロが選んでくれたこの服、めっちゃ気に入ってる」
少しダボッとしたセーターが少し女の子っぽいシャオロンには似合いすぎていた
ピンで髪を留めて耳が見えているのも、首筋から覗かせる赤色の痣は俺のものだという証拠だ
sh「…首、見えてる?」
rb「見えてないよ、それよりすごく似合ってる」
俺がニコッと笑うと、シャオロンもつられて笑顔になった
sh「有名な屋台も来てるってよ」
rb「あぁ、あのハンバーガーの?」
sh「そう!めっちゃ美味しそうでさぁ」
マフラーをシャオロンの首に巻くと、俺もお揃いのマフラーを首に巻いた
rb「じゃあ、ハンバーガーも食べなきゃね!」
sh「うん!楽しみ~…」
家を出る準備が整うとシャオロンの手を引っ張って玄関を出た
…
相変わらず外は氷点下まで気温が下がっていたが、シャオロンは興奮して寒さを感じていない様子だった
sh「ね、ロボロ…見てよ、あのサンタ!」
シャオロンが指を指した先には大きなバルーンの全長1.5m程のバルーンのサンタが屋根からぶら下がっていた
rb「興奮しすぎだってば、ほら行くよ」
何を見ても目を輝かせるシャオロンの手を引いて早速ものが並んでいる道に誘導した
sh「ねぇロボロ手繋ごうよ寒い…」
そう言って冷たい指を重ねて上目遣いをしてくる
rb「…赤い鼻、トナカイみたい」
寒さで鼻の先が赤くなって、一際白い肌が目立った
sh「ロボロだって鼻赤いよ?おそろいだね」
ヘヘっと小悪魔な笑い方をするシャオロンの笑顔はなんともずるかった
rb「サンタクロースはいないの?」
sh「サンタよりトナカイの方がおれたちに似合ってると思わない?」
rb「…んふふ、たしかにそうだね、サンタは主役だもんね。」
sh「わき役でも楽しかったらなんでもいいんだよ」
すこしだけシャオロンが大人っぽく見えて我が子を見守るような気持ちで成長を感じた
rb「おとなになったね、どう?今夜はお酒デビューしてみる?」
sh「ロボロがぐいぐい勧めてきそうでやだぁ」
rb「そんなことしないってば、弱いお酒なら幾らでも売ってあるからさ、ね?」
sh「……それならいいけど」
生徒と晩酌をするのになんとなくの憧れを持っていた俺は半ば強引だがシャオロンに今夜お酒を飲ませることに成功した
下を向くシャオロンのもちもちのほっぺたをつつくとムッとしてこちらを睨んでくる
sh「…なに」
rb「可愛くて、つい」
sh「ろぼろのバカ」
rb「はいはい」
sh「…あっ、ねえ見てロボロあのお店…!」
シャオロンが指差した先にあった店はチョコレートや洋菓子などの外国製の甘味が揃えてある店だった
rb「しゃおろんが行きたいって言ってたとこじゃん」
sh「ねえ早く行こ!売り切れちゃうかも…!」
そう手を引っ張って子供のようにはしゃぐ
商店街に流れる軽快なリズムの音楽に合わせてシャオロンがステップを踏んでいるようだった
レトロな雰囲気のその店に入ると木の匂いとお菓子の甘い匂いがふわりと香った
色々な焼き菓子やケーキマグカップなどが売っている
sh「ね、ロボロこれおいしそう」
そう言ってシャオロンが指さしたのは
焼きたて!と書いてあるフィナンシェだ
rb「お腹もすいたしふたつ買おっか」
sh「うん!あ、このクッキーも美味しそう」
手に取ったのはフロランタン風に作られたクッキー
rb「フロランタン結構すきなんだよね、家用に買って帰ろう」
甘いものに目がないシャオロンと俺は誘惑されたもの全て買ってしまいそうな勢いだった
店内を出ると、包装紙に包まれたフィナンシェを1口齧った
sh「焼きたてってサクサクしてるんだ…」
rb「ん、めっちゃ美味しいね」
焼きたてはサクサクのふわふわで冷めたフィナンシェとはまた別の美味しさがあった
sh「うん…家でも作れるかな」
rb「今度作ってみようよ」
sh「うん、絶対ね」
あっという間に食べ終わると、また二人で商店街の中をゆっくり歩き始めた
相変わらずしゃおろんはお菓子を美味しそうに頬に詰めている
rb「ほんとに女の子みたい」
sh「なにそれ、おれ男だし…」
不服そうな頬をつつくと、ムッとこっちを見てまたお菓子を頬張った
rb「あそこのお店でお酒買いたいんだけどしゃおろんも来る?」
sh「行きたい!」
2人、手を繋いで歩き出した
重たい木製のドアを空けると、ヒノキの匂いと香水のような香りが鼻をくすぐった
sh「……雰囲気、めっちゃ大人って感じ」
rb「お子様にはまだ早かったかな」
sh「よゆーだし、」
一般的に売ってある酒から高級な酒まで、小さい店ながら品揃え豊富だった
rb「はじめてでビールは苦すぎるかなぁ…」
ビール缶を見て頭を悩ませてるうちにシャオロンは周りをキョロキョロ見渡していた
rb「どうしたの」
sh「いや、ただ、みんなお金持ちそうな人だなって思って……」
言われてみればそうだ、ブランド物を全身に身につけたまだ若い夫婦、綺麗な白髪に赤いマフラーを身につけたマダム、人こそは少なかったものの、一人一人の個性が輝いていた
rb「このお酒、買って帰ろう」
意地っ張りが出てしまった俺は少しだけ高い酒瓶をシャオロンに見せた
sh「うん、ぁ、でも少しだけ高いけど大丈夫なの」
rb「全然大丈夫」
値段を見て躊躇したが、ここまで来たら引き戻れないためそのままレジに持って行った
…
sh「疲れたぁ、外寒いし…」
玄関に入るなり、俺の胸元に顔を埋めてぎゅうっと強く抱きしめる
rb「シャオロン、とりあえず中入ろ。今日は風呂はいって温まってからご飯にしよう」
丁寧に包装されたワインに、帰りにスーパーで買った色んな種類の酒とおつまみ
シャオロンが飲み比べをしたい!と言い出したので買ったものだその大量の酒は俺の右手にぶらさがっていて今にも腕が引きちぎれそうな重さだ
引っ付くシャオロンを風呂に誘導して俺はその酒たちを冷蔵庫にしまった
sh「ろぼろもお風呂入ろうよー」
シャワーの音と共にシャオロンのそんな声が聞こえる
rbr「ん、ちょっとまってて」
ふぅ、とひとつため息ついて脱衣所に向かうと既に湯船に浸かっているシャオロンと目が合った
sh「背中流してあげるよ」
暑くて少し火照った頬に汗が伝う
rb「じゃあ、お言葉に甘えて」
脱衣所で服を脱いでしまうと、椅子に座って暖かいシャワーで身体を流した
sha「ロボロの髪さぁ、真っ黒で綺麗」
rb「そう?シャオロンは髪サラサラで綺麗」
sh「ふっ、なにそれ…」
rb「のぼせる前に早く背中流しちゃってよ」
sh「りょうかいでーす」
ざぶんッと波を立てて湯船から上がるとボディタオルを泡立てて俺の背中にゴシゴシ当てた
sh「お客さま加減いかがですか〜…」
恒例の美容師屋さんごっこ、最近シャオロンが通っている美容院の美容師さんのマネだ
rb「うーん、いい感じ、気持ちいです」
ふざけて返事をしてみる
sh「ふはは、なにそれぇ……」
俺にもたれかかったシャオロンの頬が背中に触れる
rb「シャオロン、もうほっぺ熱いじゃんそろそろあがろっか」
sh「もうあがんの〜…ま、お酒飲むの楽しみだからいいんだけど」
ぷす、と拗ねるシャオロンの頬を触るとあつくて赤かった
rb「明日また背中流してよ」
sh「…うん、」
シャオロンの機嫌直しはお手の物だ
…
sh「ねえどのお酒がいちばん美味しいかな」
パジャマに着替えるとこたつ机に買ってきた酒缶とおつまみを拡げてシャオロンの飲み比べ会が始まった
rb「うーん、俺が好きなのはビールとか、あとワインとか…ウイスキーなんかもいいんじゃない?」
わざとアルコール濃度が高い酒をおすすめしてみた
sh「へぇ…俺どうせお酒強いし、ワインからいっちゃお」
今日買った未開封のワインを開けると、トクトクと、グラスに注いだ
「乾杯」
カツンとグラスがぶつかる音がして、シャオロンは恐る恐るワインを1口呑んでみる
rb「…どう?」
sh「…ぶどうの味がする」
rb「んふふ、そりゃそうだよ」
sh「でも、案外美味しいかも」
そのあともグビグビ飲み進めてワイングラスに注いだ分はついに無くなってしまった
sh「つぎ!つぎのお酒!」
rb「何飲む?」
sh「ビールのみたい」
1本缶を手に取ったその酒缶は他のに比べて少しだけアルコール濃度が薄い酒だ
rb「今回はビールもコップに注いじゃおうか不味かったら俺が飲むし」
sh「うん、どうせ飲めるけどね。お酒強いし」
rb「ふふ、そりゃあ楽しみだ」
少しだけ注いだビールをシャオロンに渡すとまた恐る恐る一口ごくんと飲んだ
sh「にが…にがい…」
渋い顔をしてゆっくり机にコップを置く
rb「ははっやっぱりそうか、初めて飲むのにビールは苦いよね」
sh「じゃあ、あとはロボロよろしく」
そう言って俺にビールが少しだけ入ったコップを差し出した
rb「はいはい、つぎはジュースみたいなの飲んでみたらどう?甘くて美味しいと思うよ」
さすがにこれだけの量のお酒じゃ酔えないので、アルコール濃度の高いお酒をおすすめしてみる
sh「ん、飲みたい」
rb「はい、どーぞ」
また少しだけコップに注いでシャオロンに差し出す
sh「これ、これ!おいしい!」
ぴょんぴょん跳ねて嬉しそうに言う
rb「…お、よかった、いっぱいあるからいっぱい飲みな」
sh「うん…」
初めてお酒を飲めたことで嬉しそうにするシャオロンを酒の肴に俺もビールを一缶開けて呑んだ
…
sh「おいろぼろぉ…ぅ…きもちわる…」
顔を真っ赤にして酒に完敗したシャオロンは俺の身体にもたれかかってうとうとしている
rb「ちょ、シャオロン…俺の上で吐くなよ」
sh「はぁ?吐かないし…」
口がぽかんと開いたシャオロンの口からは涎が垂れていた
rb「ちょ、シャオロンもうベット行こか」
sha「……うん」
俺がシャオロンの方を持ち上げると完全に俺に身を任せたシャオロンはそのまま眠ってしまった
優しくベッドに置いてやると、毛布を掛けて暖房もつけてそのまま部屋のドアを閉じた
俺はもう少しだけ酒を飲んで、そのまま落ちるようにシャオロンの隣で眠りについた
…
sha「…ろぼろ」
そんな柔らかい声でゆっくり意識が開いた
rb「おはよ、どうしたん」
sh「……ううん、ちょっと寂しかっただけ」
そう言って目を逸らすシャオロンは可愛かった
rb「ふはは、かわいい」
sh「うるさぁ…」
もう書くことがないので終わりにします👏
最後まで変なとこで切ってごめんね
番外編まで引っ張ってしまった‼️
本当の終わりになります
ありがとうございましたーー👌👌
コメント
2件
神すぎますまじで…!あと1作でいいんでかいてほしいです…!
ついに最後…!! 神策を有難う御座います!!がち最高でした!! shoさん可愛すぎる…