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おばけさん
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コメント
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エモい………😭😭、knがhbに優しいのは変わらねぇんだ……😇
にじさんじBL、nmmn
hbkn ♦☕×🍝🍷
記憶喪失
地雷さん👋👋👋👋
名前伏せません。
それではどぞ
まぶたの裏に光が差し込み、奏斗はゆっくりと目を開けた。ぼやけた視界の先に、ベッドに寄りかかるように眠っている男の姿が映る。
「……ん、」と小さく声を漏らすと、その男はガバッと顔を上げ、その瞳には涙を浮かべていた。
「かなと…っ!!」
名前を呼ぶ声と同時に、体当たりのような衝撃が走る。気づけば体が温かい腕に包まれていた。
「よかった……本当に、俺……っうぅ゛」
震える声と頬を濡らす涙の熱が、二人の絆の深さを物語っていた。奏斗は気まずそうに下を向き、もう一度顔を上げ、口を開く。
「……あの、すみません。あなたは誰…ですか?」
その一言に、雲雀の動きが止まる。先程までの明るい表情が消え、明らかに動揺していた。そして覚悟を決めたように視線を合わせる。
「……俺のこと…分かんないか…。そっか…」
その声は苦しそうに震え、下を向いて小さく笑う。さっきまで嬉しさに滲んでいた涙が痛みに変わってこぼれ落ちる。
「俺は渡会雲雀。……奏斗の……友達…だよ。」
ほんの一瞬だけ視線が泳ぐ。“恋人”という言葉を喉の奥で飲み込み必死に笑顔を作る。その雲雀の笑顔が、壊れそうなくらい優しくて、奏斗の視線は釘付けになった。
「……ごめんね、思い出せなくて…。」
やっと目を覚ました奏斗からの視線はいつもと違う。恋人を見つめるものではなく、ただの“友人”を見る目をしていて、雲雀の胸の奥が静かに軋んだ。奏斗を安心させるために笑おうとしても唇が震えて上手く形にならなかった。
意識が戻り精密検査を終えるとすぐに病院を退院し、雲雀とルームシェアをしているという家に帰った。そこには二人分のコップや洋服など、本当に二人で過ごしていたことが分かる形跡が残っていたので奏斗は信じるしかなく、一緒に住むことにした。雲雀のことを早く思い出すために、できるだけ一緒にいたいと奏斗が言うと雲雀は少し困った顔をしながらも了承した。
しばらくの間は家で過ごし、元気になると自分が経営するカフェに通い、働く雲雀を見ながら仕事をした。ある日、閉店後の静かな店内で、奏斗がふと呟いた。
「……雲雀の入れる珈琲、やっぱり美味しい。なんか懐かしい味がするんだよね。」
その言葉に、雲雀はカップを拭く手の動きを止める。
「そりゃ〜来る度に同じやつ飲んでたからなぁ。ここでいつも閉店後に仕事の愚痴聞いてた。」
「そうなんだ…僕、なんで雲雀のことだけ忘れてるんだろ…。」
「…っ」
そんなこと俺が一番知りたい。なんて言えず、雲雀が俯くと奏斗が申し訳なさそうに謝る。
「でもね、雲雀の声とか匂いとか……一緒にいるとなんか安心するだよね。」
奏斗の心にまだ自分が残っているかもしれない、そう思うと雲雀の視界が少しずつ滲み、奏斗にその顔を見られないよう背を向けた。記憶が戻らなくてもいい。
今、こうして隣にいられるならそれで。
配信を終え、部屋の明かりが消えた奏斗の寝室へ向かう。ベッドの上では、奏斗がスースー寝息を立てている。雲雀はそっと近づき、掛け布団を綺麗に掛け直す。眠っているのを確かめてから、ためらうように手を伸ばし、暖かい奏斗の手をぎゅっと握った。
「……ほんまに、生きててよかった…。」
奏斗の眠る横顔を見つめ、目を瞑るとこれまでの思い出がつい先日の出来事のように蘇ってくる。 初めてオフで会った日のこと。初めてキスした日のこと。初めて体を重ねた夜のこと。もうそんな日々が戻らないかもしれないそう思うと辛くて悲しくて、雲雀の人生はそれほど奏斗で溢れていた。
気づけば、涙が頬を伝い、最初は押し殺していた声も抑えきれずに「……っ、ひくっ…」と小さく漏れてしまう。
「……雲雀?」
はっと顔を上げると、奏斗が目を覚ましていた。まだ眠たそうな瞳がまっすぐ雲雀を見つめている。
「どうしたの…なにかあった?」
雲雀は慌てて首を横に振り、涙を拭う。
「ごめん…ごめん、なんもない……」
かすれた声でそう繰り返すことしかできなかった。奏斗は何も言わず、そっと雲雀の腕を引き寄せる。雲雀は驚く間もなく、その胸に抱き込まれた。
「……っ、かなと?」
雲雀の背中を奏斗の手が優しくとん、とん、と叩く。雲雀は何が起こっているのか分からずただ身を任せていた。
「僕のせいだよね。……ごめん。」
寝起きでいつもより落ち着いた低く暖かい声で謝られ、雲雀は堪えきれず、奏斗の胸の中でまた涙を零した。
奏斗の事故で延期になっていたライブの打ち上げが、都内の居酒屋を貸し切って開かれることになった。以前飲みの席で雲雀がアルコールを飲んでしまい、始まって早々爆睡するという事件があって以来、雲雀の見えないところで奏斗がアルコールの有無を確認し、席に運ばれる飲み物を管理していた。そんなことを知らない雲雀は運ばれたものをいつものように一口、また一口と飲み干し、顔を真っ赤に染め、気づけばテーブルに突っ伏していた。
「雲雀?おい……!」 呼びかけても肩を揺すっても返事はなく、代わりに小さな寝息が聞こえる。
「奏斗、悪いけどこいつのこと連れて帰れる?」
奏斗はすぐに頷き、突っ伏した雲雀の体を起こす。肩に雲雀の腕を回し外へ連れ出しタクシーへ乗り込む。窓の外を流れる街の光を眺めていると、雲雀が小さく寝言を言っていた。それがなんだか可愛くて、目を瞑り耳を澄ませていると思わぬ言葉が聞こえた。
「……奏斗…好き……好きだよ…。」
一瞬息が止まった。たかが酔っぱらいの戯言のはずなのに、今までの雲雀の言動を思い返すとひとつの仮説が思い浮かぶ。
もしかして、僕たち…付き合ってたの?
家に帰り、寝室に雲雀を寝かせると、そのまま布団に潜り込んでしまい、着替えさせようと伸ばした手を引っ込める。
「……ふっ、雲雀って酒弱いんだ…結構手かかるんだな」
(「……ふっ、ほんと雲雀は手がかかるな〜」)
寝ぼけた耳には奏斗の言葉がそう聞こえた。閉じかけた瞼がゆっくりと開き、雲雀の視界に映ったのは、記憶を失う前の奏斗と同じ、あの優しい微笑みだった。
「……奏斗…記憶、戻ったん?」
雲雀の声がぱっと明るくなり、笑顔が戻った。その笑顔を失いたくなくて、奏斗は静かに頷いた。記憶が戻っていないことは、自分自身が一番分かっている。それでも、今だけはこの笑顔を曇らせたくなかった。
雲雀の瞳が潤み、こちらへ飛び込んでくる。雲雀は勢いよく奏斗に抱きつき、背中に回された腕はこれまでと違い痛いくらい強くて、温かかった。少しだけ……記憶を失う前の自分が羨ましいと思った。
その夜、二人は初めて同じベッドで眠りについた。雲雀はずっと奏斗に抱きついたまま、穏やかな寝息を立てていた。
朝、目を覚ますと雲雀の姿はなく、ふと胸に小さな寂しさが広がる。そのとき、寝室のドアが開き、笑顔の雲雀が顔を覗かせた。
「おっ、起きたんか!パンケーキ作ったから!はよ来いよっ!」
雲雀の笑顔が自分に向けられたものではないことに奏斗の胸がまた少しチクリと痛んだ。
風呂上がり、雲雀がタオルで髪を拭きながらリビングに戻ると、いつもは濡れた髪のままソファに座っていた奏斗が、しっかりと髪を乾かしゲームをしていた。
「……自分で乾かしたん?」
「えっ?….た、たまには自分でやろうと思って!」
斜め下を向いてそう笑って答える奏斗を見て、雲雀の手が止まる。前の奏斗なら 「乾かして〜」と甘えながらドライヤーを渡してきたのに、今の奏斗は、どこかよそよそしい。そんなささいな違いに気づく度、胸の奥がきゅっと締めつけられた。
…やっぱり、奏斗の記憶はまだ戻ってない。
その日の夜もベッドの上で、奏斗が優しく雲雀を呼び、一緒に寝ようと誘ってきた。
「雲雀、おいで」
その声を聞いただけで、心が揺れてしまう。でも記憶を失っている奏斗の優しさに甘えるわけにはいかない。雲雀は小さく息を吸い、奏斗の頬に手を添える。
「……お前は優しすぎるよ」
声が震え、頬を伝う涙を止められなかった。奏斗が生きている。それだけで十分なはずなのに、胸の奥で、どうしようもない痛みが広がっていく。笑顔を守るための嘘と、嘘の中で息をする優しさ。その夜、雲雀は静かに決意した。これ以上奏斗を苦しませないように、離れるべきだと。
「雲雀〜、いつまでここにいるつもり?」
「……明日帰る。」
「それ、昨日も言ってたよ?」
呆れたようにセラフがため息をつく。
雲雀はランドリーのソファに突っ伏したまま、これ以上の返事はしなかった。
「奏斗のこと、一人にしたくないって言ってずっとそばにいたくせに、一人にしちゃっていいの?」
セラフの声は穏やかだったが、その言葉が胸に響く。雲雀は何も言えず、伏せた視線の先で拳を握る。もう会えないかもしれない恋人のぬくもりがどんどん冷めていく感覚に焦りを感じていた。
玄関の音が鳴ると、奏斗は反射的に顔を上げた。廊下の扉を開くと、そこには疲れた顔をした雲雀が立っていた。思考より先に体が動いていて、気づけば雲雀を強く抱きしめていた。
「……おかえり。」
「た、ただいま…一人にしてごめん。」
雲雀の声が震えている。奏斗は何も言わず、その存在を確かめるように腕に力を込めた。しばらく静寂が続いた後、奏斗がぽつりと口を開く。
「ねぇ、本当のこと教えてよ。今の僕なら雲雀の言うこと全部信じるよ。」
「……っ」
雲雀の喉が詰まる。その目には迷いが浮かび、唇がかすかに震える。
「付き合ってたんでしょ?僕たち。」
その問いかけに、雲雀はゆっくりと顔を上げた。少しの沈黙のあと、奏斗の手を取り、そっと握る。
「……そうだよ。俺たちは付き合ってた。」
不安と希望が入り混じった瞳を向けられ、奏斗はその手をぎゅっと握り返して、穏やかに微笑んだ。
「そっかぁ…ごめんね、辛かったよね。一人で。」
雲雀は首を横に振り、視線を逸らす。その仕草が愛しくて、奏斗はふと笑みを浮かべた。そしてその場で雲雀を押し倒し、膝の上に腰を下ろす。
「…っ、かなと?」
驚く雲雀の顔を覗き込み、奏斗は悪戯っぽく唇を近づけた。
「ねぇ、キスしてよ。…雲雀にキスされたら思い出すかも。」
わざと煽るように誘う奏斗は、雲雀の反応を楽しむように目を細める。悪戯っぽいその姿がどこか懐かしくて雲雀の心臓が跳ねる。
「…..っ!」
雲雀は思わず奏斗の後頭部に腕を回し引き寄せた。唇が触れた瞬間、奏斗は驚いたように目を瞬かせ、ふっと笑ってその背に腕を回した。触れ合った唇の温もりに、胸の奥の緊張がほどけ、気づけば二人とも小さく息を漏らしながら笑っていた。
「……んふっ、思い出した。」
「んなわけねぇだろっ!ははっ」
奏斗の記憶がいつ戻るかは分からない。でも今は前より近づいたその距離に確かな希望の光を感じていた。いつか記憶が戻る日を信じながら、二人はもう一度、恋を始めた。