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すぐに泣いてしまう僕を。

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すぐに泣いてしまう僕を。

1 - 1 ︶ # いつもの喫茶店 ,

♥

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2025年01月04日

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「君の事、待ってるからさ。」







「明日会おうね、!」













「…愛してるよ。」










「いつまでも…」











ピーッピーッ…




















今年もこの季節がやってきた。

子供の頃はとても楽しみにしていたのに。

もう大人になると喜び方を忘れてしまう。

皆、大人になってくると就活や受験の事でいっぱいいっぱいだろう。

自分もそうだ。


雪乃を探してもう1年。

未だに見つからない。

雪乃の事は未だに諦めがつかない。

嗚呼、雪乃はもう俺の事なんか愛してるわけないのに

嗚呼、俺は雪乃を諦めれるわけがないのに

どうしてこんなに泣いてしまうんだろう。


初めて会った時の喫茶店、初めて話せた喫茶店、初めてのデートで行った喫茶店…。

全部が初めてで喫茶店だった。

君と付き合ったのも、君と別れかけたのも。



ぼんやりした記憶を思い出しながら小股で雪道を歩く。

僕は今日も、あの喫茶店へ向かう。

そして、1番奥の席に座る。




「店長、今日は冷えるね。」

僕は前よりも落ち着いたと思う。

雪乃が居なくなってから。

「そうだねぇ、涼介くん。」

店長と出会ってから約2年半。

雪乃と出会ったのも、同じくらいだろう。

それなのに、雪乃はいきなり目の前から消えた。

「…涼介くん、いつものでいいかい?」

「うん、お願いするよ。」

いつものというのは、冷たい珈琲アイスコーヒーの事だ。

以前は温かい珈琲ホットコーヒー を頼んでいたが、

今はもう変えた。

理由は、雪乃がよく飲んでいたからだった。


今思えば、全部雪乃のおかげだった。


僕が煙草を吸うようになったのも、雪乃が吸っていたから。

僕がお酒が飲まなくなったのも、雪乃が苦手だったから。

僕が小説を書こうと思ったのも、雪乃が好きだったから。


だがいくら頑張ったって雪乃は現れない。




「…涼介くん、冷たい珈琲アイスコーヒー。」

「ありがとう。」

さて、と僕はパソコンを開く。

カチカチという時計の音と、カタカタというキーボードを打つ音。


3時間経った頃だろうか。

昼頃になっている事に僕は全然気付かなかった。

土曜日だからだろうか。

10代から60代の人が入店してくる。

その中に雪乃が居ないかと、僕は必死に探す。

だが、幾ら探しても雪乃の姿は見当たらない。

人の賑やかさと、窓から差し込む光が店内を包む。


「…店長。今日は帰ることにするよ。」

「そうかい。またいらっしゃい。」

「お金、此処に置いておくね。」



そう言って、僕は店を出た。

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