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橙「練習だからまずは親は俺からやろう」橙「お願いします」
部長は、カードをシャッフルして切り、それを順番に配るようにして配る。
「今回の練習では賭けるチップは俺と橙さんとで二十枚だ。橙さんからチップを賭けてください」
橙「では、練習なので全部賭けます」
「ほぉー……練習とはいえ全賭けする勇気があるとは……中々だな。じゃあ俺も……」
「「全賭けだぁ!」
橙「全部を賭けたなら、カードを開示しなくてはいけませんね」
「行くぞ」
二人はカードをみせた。
桃時「なっ……!」
瑠璃人「嘘だろ……」
兎白「これは……」
雨花「…………」
結果は、部長のスリーカードと橙のブタだった。
桃時「一回もカードを変えてないし、たまたまスリーカードができたってこと?」
雨花「いや違うでしょ」
「え」
瑠璃人「どういうことだよ」
雨花「さっきこの人橙ちゃんにカードを配る時、一番上から配ってるようで上から二番目のカードを出した。つまり、一番上のカードでスリーカードができたってこと。最も証拠はないけどね。それから……」
雨花が話を続けようとすると……
橙「雨花さん」
雨花「ん?」
橙「雨花さんは目を閉じて頂いてもよろしいですか?」
雨花「あぁなるほどね〜OK」
桃時「どういうことよ?」
兎白「雨花がいたらイカサマをみ破られて、こっち側が有利になる。こっち側がイカサマをしないという保証がない限り、雨花の存在はハンデになるんだ」
瑠璃人「だから雨花を退出させたのか」
雨花は退出し、橙と部長の闘いは緊張の糸がピンと張った。
「雨花さんを捨ててよかったのか?」
橙「捨てる?そういう言い方しないで貰えます?私は雨花さんを大切に想ってます」
「それは失敬。では本番だ。チップはこっちの予算が二十万円。よってチップ一枚につき一万円で計二十枚。そして俺たちの要求額は五十万円だから、お前は三十万円で、三十枚。これで良いな」
橙「はい」
「では、始めるぞ」
そして、とうとう本番が始まった。
「親は橙さんからどうぞ」
橙「はい。分かりました」
橙はシャッフルをして切り、部長と自分の分に配った。
「…………ふっ」
このカードには実は、イカサマが仕掛けられている。表面を触ると何のカードが分かるようになっているんだ……!しかもこのことは部長である俺しか知らないし、何度も練習をしないとこの違いは分からない!!!!
橙「一言ご忠告を……」
「?、何だ」
橙「あまり舐めない方がよろしいかと……?」
「ふん!じゃあお前は俺を舐めているんだなぁ……?」
「「何故カードを伏せたままにしている!?」」
橙「カードはこのままで結構です」
「ふ、ふん!」
部長はカードの表面を触る。
なっ!ふ、フルハウス!!こんな強運があるとは……!!
「ならこちらも、カードは伏せたままでいようじゃないか」
橙「……はぁ……やっぱりこのカード何かイカサマが仕掛けられているんですね」
「な、何を証拠に……」
橙「だってあなた一回もカード変えてないじゃないですか。練習の時も。つまり、自分のカードが強いものと分かっているということ。今あなたがやったその行為は、イカサマを証明しているようなものなんです。私はあえてカードを伏せました。あなたのイカサマを証明するために」
「な、な、……!!」
そうか!さっき雨花さんが言いかけていたのはこのことだったんだ……!
しかし、それをあえて遮り、ゲームの当事者である自分がこの場で堂々とイカサマだと周りに証明した!
橙「私はその上であなたに勝ちます」
「こ、この手に勝てる奴がいてたまるか!良いだろう!全賭けだ!!!!」
橙「……なるほど」
橙は少しの間考えると……
橙「分かりました。では、私も全賭けをします。」
「じゃ、じゃあ行k」
橙「さらに」
「「レイズ。生徒会室」」
「は」
桃時・瑠璃人「はぁぁぁ!?!?r
兎白「橙!本当に大丈夫なのか?!」
橙「あなたたちボードゲーム部が何故予算を上げたいか。それはVRゲーム機が欲しいから。そのためにはもっと広い場所が必要なはずです。私たちが使っている生徒会室は、この学校の教室の中で最も広いです。欲しいでしょう?あなたはもうこれ以上賭けなくても構いません。では賭けます。」
「それから最後のご忠告を……」
「「舐めない方がよろしいかと」」
「うるさい!!カードを開示しろ!!」
二人はカードを開示した。
「な」
橙「…………」
瑠璃人「部長のカードはフルハウスで……」
桃時「橙のカードは……!」
「「ロイヤルストレートフラッシュ!!!!」」
「い、イカサマだ!!!!どうしてロイヤルストレートフラッシュなんて?!」
雨花「もういい?」
橙「あっ!雨花さん!勝てましたよ!」
雨花「ほっほっ!流石橙ちゃん!」
「おい!答えろ!!どうしてロイヤルストレートフラッシュなんて出せたんだ!!」
橙「私は一度みたり、聴いたりしたものは覚えられるんです。あなたはリフルシャッフルをしていた。その時全てのカードが一体何で、どこにあるのか覚えました。あとは自分でシャッフルして、部長さんのカードをフルハウス。私のカードをロイヤルストレートフラッシュにしたってだけです」
雨花「橙ちゃん自身が大きなイカサマだったってことだね!」
雨花は部長の耳元で囁く。
雨花「ね?橙ちゃん言ってたでしょ?」
「「舐めない方が良いってさ」」
「く、くそっ!!!!」
「部長!!」
「大丈夫ですか?!」
部員たちは部長を心配している。
雨花「部員からの信頼は厚いんだね〜」
橙「皆さんご心配してますが、予算を巻き上げるつもりはないですよ」
「え?」
瑠璃人「もちろん増やすことは出来ないけどな。VRゲーム買いたいなら予算を貯金して買ってくれ」
桃時「テーブルゲームなのにVRゲームをしたいなんて本来の趣旨がズレてる気がするけど……あんたらはこれからも部活動頑張って」
兎白「テーブルゲームは奥が深いんだな」
橙「とてもゲーム楽しかったです」
雨花「あなたたちのテーブルゲームへの熱意はとても真剣なものだって分かったよ。その気持ちを捨てる必要なんてないよ」
「!」
「「はい!!ありがとうございます!!」」
テーブルゲーム部はそれから貯金や広告活動をして、VRゲームを買えたそう。
それを生徒会と一緒にやるようになるのはもう少し後の話。
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