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「」せりふ ()こころ
桃 視点 .
リビングの重厚な机の上に置かれた一通の手紙を、俺は冷めた目で見つめていた。
差出人は、百瀬家の現当主である俺の父親。
海外を飛び回り、幼い頃から俺に触れることも、言葉を交わすこともほとんどなかった「両親」からの、数ヶ月ぶりの連絡だった。
中身は、次期当主としての義務を果たすための、冷徹な命令。
高校を卒業したらすぐに、指定された名家の令嬢と見合いをすること。
そして、百瀬家の血を絶やさないための婚姻を結ぶこと。
手紙の文面には、俺の意思を尊重するような温かい言葉は一言もなかった。
ただ、百瀬家という記号を存続させるための道具として、俺を扱っているのが痛いほど伝わってくる。
「……また、これか」
胸の奥が、氷を押し当てられたように冷たく、重くなっていく。
生まれた時から、俺の居場所はこの広い屋敷のどこにもなかった。
両親にとって俺はただの「次期当主」でしかなくて、一人の人間として愛された記憶なんて一度もない。
卒業が近づくにつれて、その冷たい現実が、俺の自由を奪うようにじわじわと首を絞めてくる。
視界が少し滲みそうになった、その時だった。
「らん、お茶が入ったよ。……どうしたの、そんな悲しそうな顔して」
トレイを持ったなつが、静かに部屋に入ってきた。
金髪を揺らしながら、なつは机の上の手紙と、俺の暗い表情を交互に見つめる。
タメ口に戻ったなつの声には、隠しきれないほどの深い心配と、手紙の差出人に対する仄暗い不快感が混じっていた。
「なつ……。また、両親から手紙が来たんだ。卒業したら、すぐにお見合いしろって
「……見合い?」
なつの声が、一瞬で地を這うように低くなった。
なつの綺麗な切れ味のある瞳が、驚くほど冷酷な光を帯びて、机の上の手紙を睨みつける。
なつの身体からピキリと張り詰めた殺気が漏れ出て、部屋の空気が一気に凍りつくのが分かった。
なつにとって、俺が「他の誰かのものになる」という可能性は、絶対に許せない禁忌なのだ。
でも、今の俺は、なつのその激しい独占欲が恐ろしいとは思わなかった。
むしろ、誰も俺を見てくれないこの世界で、なつだけが俺をこんなにも激しく求めてくれていることが、痛いくらいに嬉しかった。
俺はベッドに腰掛け、膝を抱えて小さく呟く。
「嫌だな……。俺、百瀬家の当主になんてなりたくない。両親の言う通りに動く人形になんてなりたくないよ……」
「俺には、なつだけでいいのに。なつが傍にいてくれれば、他には誰もいらなくていいのに……」
寂しさと絶望に耐えかねて、無自覚に漏らした本音。
その言葉を聴いた瞬間、なつの瞳の奥の冷酷な炎が、一瞬で甘い熱へと変わった。
なつはトレイを置くと、引き寄せられるように俺の前に歩み寄り、ベッドの脇に跪いた。
そして、俺の膝を抱える両手を、自分の大きくて温かい手で優しく包み込む。
「……らん、今、なんて言ったの?」
「え……?」
「俺だけでいいって、言ってくれたよね。百瀬家の両親も、義務も、誰もいらないって」
なつは上目遣いで俺を見つめてきた。
その瞳は、狂気的なまでの幸福感でドロドロに潤んでいる。
「うん……俺には、なつがいなきゃダメだから」
「あぁ……らん、本当に愛してる。大好きだよ、らん……」
なつは俺の太ももに顔を埋め、何度も愛おしそうに頭を擦りつけてきた。
いつもの甘々で過保護ななつ。
でも、その抱きしめてくる腕の力は、俺をどこにも逃がさないと誓うように、骨が軋むほど強かった。
「大丈夫だよ、らん。そんな両親の言うことなんて、聞かなくていい。らんを縛る義務も、見合い相手も……らんを困らせる奴らは、俺が全部『お片付け』してあげるから」
なつは俺の顔を見上げて、ゾクッとするほど美しい、おぞましい笑みを浮かべた。
「らんは俺だけを見て、俺にだけ甘えていればいいの。ね、らん……?」
「うん……ありがとなつ。なつがいてくれて、よかった」
俺はなつの金髪に指を絡め、優しく微笑み返した。
なつの言う「お片付け」の本当の意味を、この時の俺はまだ深く考えていなかった。
ただ、なつの差し出してくれた甘い檻の中に閉じこもっていれば、この冷たい世界から守ってもらえるのだと、無自覚にその狂気を受け入れ始めていた。
【、】
episode . 9 end__
きまつおわったぁぁぁぁっっ
っっしゃぁぁぁっ
でも課題がおわっとらん☆
今日提出なんけどね、w
それではまた次回!
ばいちゃ!
コメント
5件
学校終わりにこれは最高👍 もう、桃桃の親は一生外国に行っとけ!!そして一生桃桃たちに近づくな!!!! はぁ、最高ですわ👍(どこかのお嬢様???)
🌾失っ はいもう独占欲っていいんだよね、うん。 そして親ぶっk(げほっげほっ もうね、赫様の感情の切り替え可愛い(?) いやもう表現上手いのなんなのよっ… 寝坊したのに呑気に🌾書いてるじゃないのよっ… というわけでっ☆あざした~☆
わあ…第10話、めっちゃ重くて美しい回だったね…😭💔 桃が親から“お見合い命令”来て落ち込むとこ、もう胸ぎゅーってなったよ… でもそこに現れたなつの独占愛が強烈で、逆に“必要とされてる”って感じて嬉しそうな桃が切なくて愛おしすぎる… 「片付け」って言葉の裏になんかある気がしてドキドキした! 甘い檻、最高です…次の話も待ってるよ〜🌸