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学と夏一
AIと先端技術の発展、世の中は混乱していた。何が正しいかを取捨選択することの難しさは説明できないほどだ。どこで何が行われているのか、はっきりとは分からない。
そして、昔ではありえない計画が進んでいた。
2035年、人々は火星に降り立った。永続的にそこに住むというプロジェクトで、地球とも連絡を取るつもりだったが、連絡は途絶え、安否不明となった。衛星で視察に行ったが、なんと状況を目視できる前に墜落してしまった。
いや、させられた。
…………………………
「実行可能です。」
「始めようか。」
…………………………
二千四十五年、七月十六日
三十八度。四十を超えてないだけマシだと思うしかない。
今日は雲ひとつない快晴だった。
いつものように神坂晴はバスに乗って高校へと向かう。片道1時間ほどのこの道も見慣れて少し苦痛な時間だ。
「よう。明日の小テストのしたか?」
「してねえよ」
学校に着くと佐々木達とたわいもない会話をし、今日も何気ない一日が終わろうとしていた。部活の後、いつもの自販機に四人で向かい、いつものジュースを買おうとしたが、自販機はお金を入れても作動せず、スマホから操作をしても同じだった。
「先生呼ぶか?」
「まあいいだろ。働かせ過ぎは可哀想じゃん」
思っても無さそうだ。
偏差値が近場でトップの秀栄館に通う神坂は、友達と家の方向が違うので、バスに揺られて1人で今日も帰っていた。単語を勉強するのも疲れ、インスタを開こうとしたが、開かない。
ギガ切れを真っ先に疑ったが、まだ七月中旬だし切れたことなんてない。他のアプリも開かなかった。
「夜開くだろ。」
それぐらいにしか思っていなかった。
家に帰ると、美味しそうな夜ご飯が待っていた。しかし、母は困り顔をしている様子だった。新しく買った電子レンジが上手く動かないらしい。壊れるのはさすがに勘弁なようだ。
「今日は上手くいかない日だな。」
そろそろ初の大会が近づいている晴にとって不運は今日のうちに使い果たしておきたい。
あと一週間で夏休みが始まることもあり、疲れは溜まっていたが気分は上々だった。
寝る前にスマホを見たが、インスタはまだ開けなかった。検索やゲームはできた。大規模な通信障害を疑い、調べてみると多くのSNSアプリでこれが起こっていることがわかった。
「今日は変な日だな。」明日も朝は早い。響くといけないので十時にはベッドに転がった。
二
、、、「え?」
もう六時半であった。バスはあと十分ほどで到着する。これを逃すと遅刻ほぼ確定だ。アラームは毎日つけている。
「今日は鳴らなかった??」
大急ぎで準備をしようとリビングで過ごすとテレビの音が耳に聞こえてきた。
…「日本各地で機械、AIの故障、不具合が相次いでいるようです。これは二千四十五年問題と関係があると思われ、調査が続けられています。」
学校からメールが来た。「機械の相次ぐ不具合により、学校に多大な影響が出ると予想されるため、臨時で生徒は休校とします。」
何が起きている。二千四十五年問題というのは聞いたことがある。
………二千四十五年問題、シンギュラリティ 「技術的特異点」と言われ、「自律的なAI(人工知能)が自己フィードバックで改善を繰り返し、人間の知能を超える瞬間が訪れるという仮説」
だがそれが起こるなんて全く思ってもいなかった。
そもそも学校からのメールが届いたのが奇跡だ。友達に連絡しようとしたが、つながる相手がいない。母と父は既に仕事場に行っている。混乱しているに違いない。
「近くの友達の家に行くしかないか、」
準備していた鞄を用済みかのように放り、制服のまま家を飛び出した。
向かったのは山本颯馬の家だ。同じ中学校であり、家は近い。
「おお、晴やん」
そこには、颯馬だけでなく、抜群の運動神経とルックスを誇る小学校からの友達、与田創一もいた。
「LINEも何も使えんし、どうするん、」
「学校もなくなった、何が起きてるん」
「分からん、でもワクワクするやん、これ」
創一は楽しんでいた。少なくとも晴自身もこの状況は少し面白かった。
「そういえば、颯馬ん家会話できる小型ロボットいたやん、あれ動くん?」
「いや、電源入れても動かんくなった」
このまま行くとすべての機械が止まり、日本がめちゃくちゃになる可能性もある。晴は少し冷や汗をかいた。
颯馬と創一は表情に余裕がある。
「母さんいるけど、入っていいよ。暑いし」
颯馬は家に入れてくれた。家に入った途端、どこからか視線を感じた。
リビングの奥には小型ロボットのエリサが突っ立っていた。
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