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ベッドに倒れ込んだノリアキの体から、ぼわっと何かが浮かび上がった
ジンペイ「おお~!人間コピー機っ!」
アゲハ「違う。幽体離脱してるの」
フブキ「そう。パワちゃんを操っていたのは、幽体離脱したノリアキ先輩の魂だったの」
病室内に広がっていた光が空気に溶け込んで消えていく
ノリアキの魂も、ノリアキの体の中に入りこんだ
ノリアキ「……っ!!」
ノリアキは目を剥いて飛び起きる
タツヒト「ノリアキ、お前…」
ノリアキ「僕…どうしてか分かんないけど、
いきなりPD700Rカスタムに乗り移れるようになって……
自由に動けるのが嬉しくて、止められなかった」
タツヒト「だったら退院して、ちゃんと学校に行けばいいじゃないか」
ノリアキ「…でも…僕歩けないから……」
そう口にするノリアキに、タツヒトが怒鳴る
タツヒト「またその言い訳か……
お前の足は、とっくに治ってるのに!!」
ノリアキは気まずそうに顔を背けた
タツヒト「……皆、帰ろう。此奴に何を言っても無駄だ」
タツヒトは呆れ気味に声をかけ、ノリアキを睨む
アゲハ「…………」
アゲハは眉を下げて、悔しそうに拳を握りしめるノリアキを見つめる
アゲハ「……ノリアキ先輩」
ノリアキ「…?」
アゲハ「ノリアキ先輩が、私達から逃げる程知られたくない事情って、
足の怪我の事…ですか…?」
ノリアキは目を伏せてポツリポツリと話し始める
ノリアキ「…僕とタツヒトは、双子で体も顔もそっくり同じなのに、
全てにおいてタツヒトは優れていた。
いつも比べられて、いつも負けて……それが嫌でたまらなかった」
ノリアキ「そんな時入院して……
『もうずっとこのままでいいや』って思うようになったんだ…」
アゲハ「どうして…?」
ノリアキ「外に出たって、僕には何もない…!
何も、出来ないから……っ」
ぐっと堪えて我慢していたノリアキの目尻に涙が溜まる
タツヒト「ノリアキ……」
タツヒトは嗚咽を漏らしながら泣くノリアキを見つめることしか出来ない
ぎゅ
ノリアキ「…ぇ……」
アゲハ「そんな事無い」
アゲハは腰を屈めてノリアキと視線を合わせ、その手を握った
アゲハ「私、この目で見たよ。
あんなに難しい作業を、意図も簡単にこなせるなんて……
ノリアキ先輩には、本当はとっても素晴らしい技術と才能が秘められている。
なのに…自分には何も無い、何も出来ないって思い込んじゃってる…」
ノリアキ「…!……」
曇りのない瞳で見つめてくるアゲハに、ノリアキも黙って見つめ返す