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いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました

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いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました

137 - 第137話*坪井side② お前を好きになれたから*12

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2025年06月02日

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「そりゃ、私くらいしか行きたくないでしょ。 涼太の部屋なんて。 荷物取りに来いってこと?」

「ごめん。 こーゆう時どうするのが正解かわかんなくてさ」


無言のまま、長く深いため息が返ってきた。


「……わかった、取りに行ってあげる」


立ち上がった咲山を呼び止める。


「え、もう出る? 口つけてもないけど」

「いらない。 さっさと終わらせよ」


思いのほかあっさりと従った咲山を不思議に感じながら、けれどそれよりも。振り回し続けた自責の念が強い。

追いかけるように急いで席を立った。


「俺が呼んだし、出すから」


レジに向かう途中で財布を取り出した咲山に伝える。

フイっと視線をそらして「ごちそーさま」と不機嫌な声が返ってきた。


店を出て、無言のまま並んで歩く。

思えばこうして咲山と並んで歩くことは、あまりなかったように思う。


一緒に飲みに行けば、家には連れ帰らずホテルを利用したし。そうでなければ『行ってもいい?』という咲山からの連絡に『いいよ』と返して待つだけで。


きっと咲山は何度も暗いこの道を、ひとりで歩いていた。


(思い返すと、マジで終わってんな……)


マンションに着き、エレベーターに乗り込む。

会話もないまま部屋の前に着いた。


「まとめてるから、ちょっと待っててな」


と玄関を開けると。

咲山が背後から思い切り坪井を押した。ふいをつかれ、そのままバランスを崩し玄関先に膝をついてしまう。


「……痛ぇ」


声にしながら振り返ると、見下ろす咲山が無表情のまま鍵を閉め坪井に跨る形で座った。


「……ちょっと、夏美。 何してんの、離れてよ」

「ねえ、別にいいじゃん。 いつもみたいにこのまましようよ」


咲山は、坪井の手を掴んで自身の胸元に寄せた。柔らかな感触を何度も繰り返し押し付ける。その手を掴んで引き離そうとするが「立花さんのことが好きだとか言うんでしょ」と、咲山から出た言葉に一瞬動きが止まってしまった。


「夏美……」

「それでどうして、会わないってなるの? 別に今までと変わらないでしょ? 涼太、私を好きだったことなんてないんだから」


咲山はそう言いながら掴んでいた坪井の手を離し、次は慣れた手つきでスエットのゴム部分に手を掛けた。

上下に手を滑らせて。触れた部分が、硬さを持っていることに満足げに息を吐く。


「いつもみたいにしてよ」

「夏美」

「ねえ、ほら。 こうやって触ってたらすぐ反応するじゃん。 男なんてそんなものでしょ、セックスなんてそんなものでしょ? 涼太も言ったじゃん」


その声が、弱々しくなっていく。

涙が混じって、震えている。


「……そうだね、確かに言った。 けど、俺はこれ以上あいつの顔見れなくなるようなことできない」

「バレなきゃいいでしょ! 他の彼女がいた時もそう言って私たち……」

「夏美、聞いて」


咲山の声を遮るように、坪井はやや声を張って名前を呼んだ。

驚いたように声を止めた咲山を見上げながら、ゆっくりと声にする。


「夏美。俺、今こうしてても立花のことしか考えられないんだよ。 お前の胸触って身体は興奮しててもさ、お前に対して何も感じてない」

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