月弥と月音が再会を果たした翌日、人外屋敷にいるメンバーは会議室のような部屋に集まった。
「な、何ここ…。」
剣は広いその部屋を見渡して不思議そうに呟く。
「俺もよく分からない。そもそもこんな場所あったんだな??」
月華も不思議そうに月弥に向き直る。月弥は微笑んだ後に詳細を語った。
「俺の父さんが昔教えてくれた部屋なんだ。地下室の更に下、つまり地下二階に会議室があるってね。昔は父さんとそのお仲間さんが使ってたらしい。」
まぁ座りなよと付け加えて全員を誘導し終えると、次の瞬間月弥は真剣な顔付きになって語りだした。
「噂になってる廃校を知ってるか???」
「噂ぁ??しかも廃校って…この辺にあったんだ??」
ロフは机に腕を置きながらいつもの調子で話す。ロワも同じ意見なのか不思議そうにしている。
「あるよ。あまり目立たないせいで見えにくいだろうけど。」
「ふぅん??オレらがあまり行かないような場所だったりする??」
ギルトは足を組ながら聞いている。
「そう。あまり行かない。まず廃校には人外が出なかったんだよ。……。」
月弥の最後の謎の間に、剣は空かさず言葉を溢す。
「……もしかして噂っていうのは……。」
「そう、……最近、出たんじゃないかって。」
それまで黙っていたバイトも口を開いた。
「もし人外がほんとに出てたなら、なんで急に出たの??」
この質問には月弥の代わりに月音が答えた。
「その詳細は分からないんだ。何か悪いことが起こってることしか分からない。」
全員は黙りこんでしまった。曖昧なことしか分からない中、突っ込んでしまっていいのか。そもそも噂が流れたのは何故か。噂が流れてるなら、その現象を目の前で見た人が証言でもしない限りは広められない。そしてその噂が偽物である可能性だっておおいにある。
「………でも、害が出てからじゃ遅いな。」
しばらくの沈黙の後、ようやく口を開いたのは月華だった。
「それは…そうだね。」
剣も同意する。
「…………情報が出るまでは一旦解散でいいんじゃないか。」
ロワの提案に、全員はそうだねと同意して会議は一旦終わった。街に沸く人外の処理だけでも中々骨の折れるような作業なのに、使われていないような廃校にまで出たとなるとまぁまぁ厄介だ。もし廃校に住んでいる人外がいたとして、その個体が外に出てしまったら被害が大きくなるかもしれない。もやもやした気持ちのまま、全員は部屋に戻った。この翌日、彼らは大規模な任務を引き受けることになった。
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