テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「ん〜、もう飲めなぁい」
ソファにもたれかかった仁人が、空になったグラスを片手に俺の肩にコテンと頭を預ける
「ほら、言ったでしょ。ペース早いって」
「お酒ってやっぱ美味しいし……。それに……」
「それに?」
「酔って甘えたら、いっぱい構ってくれるじゃん……」
へらっと笑うその顔が、あまりにも可愛くて、口元を緩めたまま、ふわっと頭を撫でた
「そんなの、酔ってなくても構うけど」
「え〜、ほんと? じゃあ、ずっとベタベタしててもいい?」
「……それは今日だけ、特別。」
ふふっと笑った俺の顔に、仁人がぽかぽかと拳で抗議のパンチをする
全然痛くないそのパンチを受け止めて、俺はその手をぎゅっと握った
「なに」
「……仁人の全部が可愛くて困るって話」
「その可愛いってなんなの」
「ほんとだよ、じんとかわいい」
「……じゃあ、俺が可愛いなら甘やかしてね?」
そう言って、仁人は自分からキスを落とした。
何度も、何度も
呼吸の合間に名前を呼ばれるたびに、俺は心の奥で「幸せだなぁ」と何度も思った
「明日、仕事でしょ……?」
「うん。だから今、めいっぱい甘えとけ」
「……やったぁ……」
幸せそうに笑う恋人の顔を見て、俺からキスをする
グラスの氷が溶けきっても、2人はずっと、ソファで抱き合っていた
END
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!