テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「ん〜、もう飲めなぁい」
ソファにもたれかかった仁人が、空になったグラスを片手に俺の肩にコテンと頭を預ける
「ほら、言ったでしょ。ペース早いって」
「お酒ってやっぱ美味しいし……。それに……」
「それに?」
「酔って甘えたら、いっぱい構ってくれるじゃん……」
へらっと笑うその顔が、あまりにも可愛くて、口元を緩めたまま、ふわっと頭を撫でた
「そんなの、酔ってなくても構うけど」
「え〜、ほんと? じゃあ、ずっとベタベタしててもいい?」
「……それは今日だけ、特別。」
ふふっと笑った俺の顔に、仁人がぽかぽかと拳で抗議のパンチをする
全然痛くないそのパンチを受け止めて、俺はその手をぎゅっと握った
「なに」
「……仁人の全部が可愛くて困るって話」
「その可愛いってなんなの」
「ほんとだよ、じんとかわいい」
「……じゃあ、俺が可愛いなら甘やかしてね?」
そう言って、仁人は自分からキスを落とした。
何度も、何度も
呼吸の合間に名前を呼ばれるたびに、俺は心の奥で「幸せだなぁ」と何度も思った
「明日、仕事でしょ……?」
「うん。だから今、めいっぱい甘えとけ」
「……やったぁ……」
幸せそうに笑う恋人の顔を見て、俺からキスをする
グラスの氷が溶けきっても、2人はずっと、ソファで抱き合っていた
END