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side 日本
青い空に照りつける太陽。
子どもたちの笑い声。
車の走る音。
そんな穏やかな日々が、ずっと続いていく――
そう、思っていた。
ピピピピ ピピピピ。
耳慣れた目覚ましの音に、意識がゆっくりと覚醒していく。
ぼんやりと見上げた天井は、いつもと変わらず白い。
カーテンの隙間から、朝の光がちらちらと覗いていた。
「んん……!」
勢いよく背伸びをして、布団から足を出す。
その瞬間、ひやりとした冷気が肌にまとわりつき、ブルリと身震いした。
「うぅ……寒い……」
くしゅりと小さなくしゃみが漏れる。
気づけばもう十一月。
窓の外の空気には、冬の匂いが混ざり始めている。
あぁ、布団から出たくない……。
そんな本能的な欲を押し殺し、「えいやっ!」と自分を奮い立たせた。
――少々じじくさい掛け声と共に。
……いや、まぁ。
ジジイと言われても否定はできませんけども。
なんだか、少し悲しくなってきました。
とはいえ、今日は世界会議の日。
遅刻など、できるはずがないのです。
***
「Hey!ロシア!なんで俺の意見ばっかり反対すんだよ!?」
「……うるせぇ。テメェの意見は脈絡もクソもねぇんだよ、バカリカが!!」
「FUCK!!!!!!」
……今日も今日とて、アメリカさんとロシアさんの衝突はすさまじい。
突拍子もない意見に対しての反応としては正しいのですが、もう少し静かにしていただけると助かりますね。
まぁ、私なんかが注意できるはずもないのですが……。
半ば諦め気味にその様子を見ていると、クイッと袖を引っ張られた。
「あ、イタリアさん?」
「Ciao!日本!」
ぱぁっと咲いたような笑顔と、眩しいほどの明るさ。
うぅん……太陽のようです。
これが“陽キャ”というものなのでしょうか。
私は一生、そちら側にはなれそうにありませんね。
「日本、隈できてるねぇ?また残業?」
「いえいえ、昨日は12時には終わったので、久しぶりにぐっすり眠れましたよ」
「そっかぁ。ちなみに何時間寝たの?」
「5時間ですよー!いつもは3時間寝られるかどうかなので、今日は清々しい気分です」
「おわぁ……ジャパニーズ社畜……」
そんな他愛のない雑談を交わしていると、いつの間にか会議は終わっていたらしい。
……本当にいつの間に?
やはり、年なのでしょうか私……。
軽く溜息をつきながら椅子から立ち上がる。
みんなそれぞれ帰り支度をしているし、私も早く帰りたい。
何せ、今日はもう何も予定がない!
アニメに漫画に二次創作……あ、次のコミケは何を描きましょうか。
そんなことを考えているうちに、気づけばもうほとんどの人が出口へ向かっていた。
「日本ー!早く早く!」
「このあと昼飯食うんだろう?置いてくぞ」
「わわっ、すみません!今行きます!」
イタリアさんとドイツさんに急かされ、慌ててドアへ向かう。
隣で笑いあう友人たち。
なんだかんだ頼りにしているアメリカさんたち。
――そんな、何気ない幸福を実感してしまった。
それが、何かの合図だったのかもしれない。
次の瞬間。
扉が開かれる音と同時に、誰かの悲鳴が会議室中に響き渡った。
「うわぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「いやぁぁぁぁぁ!!!!!!」
叫び声が重なり、何も聞こえなくなる。
目の前で起こる状況が、到底理解できなかった。
だって――
どうして。
人々が、私たちに襲いかかってきているんですか……?
腐敗した臭い。
人の形をかろうじて保った“何か”が、唸り声をあげながらこちらへ迫ってくる。
噛みつき、肉を引きちぎり、赤い飛沫が床を染めた。
逃げ惑う人々の姿すら、頭がうまく理解できない。
「な… 何なんです、か…これは……?こんなのまるで…」
それは、あまりにも――
地獄と呼ぶにふさわしい光景だった。