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全《まった》く止む気配がない雨。
その雨がなぜ止まないのかを調査するためにナオトは巨大な亀型モンスターの甲羅の中心と合体しているアパートの二階にある部屋から飛び立った。
「……チエミ。起きてるか?」
「はい、起きてますよ」
彼の髪の毛の中から顔を出したのは体長十五センチほどの妖精だった。
「そうか。それは良かった。えっとだな、この雨を降らせてるやつがどこにいるのか分かるか?」
ナオト(『第二形態』になった副作用で身長が百三十センチになってしまった主人公)が彼女にそう訊《たず》ねると、彼女は上を向いた。
「とりあえず、雲の上に行きましょう。その方が探知しやすくなりますから」
「そうか。よし、分かった」
彼はそう言うと、雲の上まで突き進んだ。
「……とりあえず雲の上まで来たけど、特に何もないな」
「目視で確認できないとなると、魔法で姿を消しているか、どこかに隠れている可能性が高いですね。ちょっと風に聞いてみます」
チエミが耳を澄《す》ますと、風はチエミにあることを伝えた。
「なるほど。そういうことでしたか。ナオトさん、このまま前進してください」
「このまま前進……つまり、まっすぐだな」
「はい! まっすぐです!」
「了解!」
彼はそう言うと、まっすぐ進み始めた。
*
しばらく進んでいくと、氷山のような雲を見つけた。
「なんか明らかに何かいそうな雲が見えるんだが、もしかしてあの中に雨を降らせてるやつがいるのか?」
「はい、そうです。それが何なのかは分かりませんが」
「そうか。うーん、まあ、とりあえず行ってみるか」
彼はそう言うと、氷山のような形をした雲の中に突入した。
雲の中を進んでいると、何かの鳴き声が聞こえてきた。
「今のはなんだ?」
「分かりません。ですが、今のは明らかに人の声ではありませんでした」
「となると、この雨の原因はモンスターかな? でも、長時間かつ広範囲に雨を降らせることができるモンスターなんているのかな?」
「いないとは言えません。世界は広いですから」
「まあ、そうだな」
その直後、彼の方に風の刃が飛んできた。
「うわっ! び、びっくりした」
「ナオトさん! 大丈夫ですか!」
「ああ、大丈夫だ。まったく、こっちは相手の位置を把握できてないのに、なんで向こうは俺たちの居場所が分かるんだ?」
「私よりも探知能力がある存在はあまりいないと思っていましたが、まさかこんなところで出会えるとは。ですが、私とナオトさんの力を合わせれば容易に回避できます!」
「その言葉を聞けて良かったよ。んじゃあ、行くか!」
「はい!!」
二人は力を合わせて、徐々に相手のいるところまで進むことにした。