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ウミ「………」
ロー「………」
静かに波の音を聞いている。
ウミがローの居ない方の横に顔を背け、プルプル震える。
ロー「…何があったかは俺には分からねぇが、お前は兄貴と同じで泣くことをしない。特にお前は兄貴より泣かない。」
ウミ「弱いところを見せるのが嫌いなんだ。」
姿勢を変えないまま話す。
ロー「他の奴らの前で泣けないのはいい。だが、俺の前では好きなだけ泣け。そんなお前を嫌ったりなんてしねぇ。泣いたっていいんだ。俺が居てやる。」
ウミ「うぅ…うぐっ…うあああ…」
顔を抑えながら泣く。
トラ男はその横で黙って満点の星空を見上げる。
ウミが泣きやみ、
ウミ「…トラ男。」
ロー「ん?」
ウミ「ちょっと、歌っても良いか?」
ロー「ああ。好きにすればいい。」
ウミ「うん。ありがとう」
【どうして〜あの日遊んだ海の〜匂いは〜どうして〜すぎる季節に消えて〜しまうの〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜】
ロー「!!!」
ローが歌を聞いて驚く。何故なら、その曲は昔に生きたことがある曲だった。あれはコラソンも生きていた昔の話だ。自分より9つ下の女の子が歌って居た曲で。その子がローの初恋の相手だった。
【夢の続きで〜共に生きよう〜暁の輝く今日に〜】
ウミが歌い終わり
ロー「なぜ、お前がその歌を?」
ウミ「え?なんでって。昔から歌ってた私の曲だ。」
ロー「誰かに教えてもらったのか?」
ウミ「わかんねぇ。でも、物心付いた時にはずっと歌ってた。」
ロー「……そうか……」
ウミ「うん。」
また沈黙が落ちる。
ウミ「トラ男、トラ男は自分の夢あんのか?」
トラ男「は?そりゃあるに決まってんだろ?」
ウミ「そっか。なら真っ直ぐ進めよ。その夢、叶うといいな。」
微笑む。
トラ男「なんだ急に」
ウミ「ん?なんもねぇ。ちょっと聞いてみたくてな。」
トラ男「んな訳ねぇだろう。話してみろ」
ウミ「いや、ないってホント…」
トラ男がじっとウミを見る。
ウミ「ほんとなんでもねぇんだよ。」
ウミがバッっと立ち上がる。
ウミ「ただひとつだけ。ルフィ達をお願い。今までありがとうな。楽しかった。お前とはまだまだ一緒に居たかったし、仲良くしたかったけど…出会えて嬉しかった。」
ウミが歩き出す。
ロー「おい!待て!」
ローがウミの腕を掴む。
ウミ「離せ。じゃねぇとトラ男を世界一恨むからな。」
ロー「!」
ローがウミの表情を見て手を離す。『恨む』と言われたからではなく、ウミの悲しそうな表情が見えてしまったからだ。
ウミは歩き去る。
ローは何も出来なかった。何も言ってやれなかった。
そして、ウミはルフィ達のところではなく、サニー号へ向かった。サニー号の中を歩き回り、今までの思い出を蘇す。
【ルフィと一緒にどっちが多く食べれるか競い合った事。】
【ゾロが酔った時にからかった事。】
【チョッパーに医学について説明されてたこと】(全部聞いてなかったけど)
【冷蔵庫の食材を勝手に食べて危うくサンジに怒られそうになった事。】
【ウソップの作りばなしを聞いた事】
【ナミと一緒にみかんの収穫をしながらつまんでた事。】(その度に怒られ)
【ロビンと本を読んだこと】(途中で飽きてだらんとしてた。)
【ブルックと変な出会い方をして】
【フランキーにはクラゲだと言われた事】
【ジンベエに肩車してもらった事】
今思えばみんなと出会って、ルフィと再開してそんなに経ってないが、楽しかった思い出に温かい思い出に温かい何かがストンと心に落ちて泣いてしまう。涙が溢れて立てなくなる。
ウミ「( இωஇ )ウゥ…(๑o̴̶̷᷄□o̴̶̷̥᷅๑ )」
しばらく泣いていたがウミは気を取り直し、手紙を書く。
【ルフィ、皆へ。】
書き終わり、ウミが船首に近づき
ウミ「なぁ、サニー。ルフィたちを頼んだよ…今まで短い間だったけどありがとうな…お前と皆と航海できて楽しかったよ…ほ、んとに…あ、りがとぅ…」
別れを告げ、ウミはサニー号を降りる。
その頃、ロー
ローが歩いて宴へ戻る。
ルフィ「トラ男、どこ行ってたんだ?」
ロー「ちょっとな。」
ルフィ「ふーん。あ、そういやよぉ、ウミ知らねぇか?小便行ったまま帰ってこねえんだ。」
ロー「ウミ屋、まだ帰ってねぇのか。」
ルフィ「知ってんのか?どこに居たんだ?」
ロー「俺より先に戻ったはずだが?」
ロビン「嫌な予感がするわ。」
チョッパー「サニー号に居るかもしれない!」
ウソップ「1回見に行こうぜ!」
ロビンとウソップとチョッパーがサニー号へ向かう。
チョッパー「ウミ居るかァ!!!」
ロビン「チョッパー、一緒に中を探しましょ?ウソップは外を探してくれる?」
ウソップ「任せろ!」
ロビン、チョッパーが中ウソップが外を探すことになった。
ロビン「キッチンにも居ない…チョッパーの医務室にも。次はウミの部屋ね。」
ガチャ)
ロビン「ウミ、居ないわね…ん?これは?」
ロビンがウミの部屋の机の上にある髪を見つける。
ロビン「ルフィ、皆へ…!!!」
バンッ!)
ドアを開け、チョッパーとウソップを呼ぶ。
ロビン「チョッパー!ウソップ!大変よ!」
チョッパー「どうした!?ロビン!」
ウソップ「見つかったのか!」
ロビン「と、とりあえず、ルフィ達に合流しましょ!」
チョッパー「結局何があったんだ?」
ロビン「あとで一緒に話すわ。」
サボ目線
コアラ「サボくん!さっきからどうしたの!黙ってられちゃ分からないよ!」
サボ「…ドラゴンさんの所へ戻るぞ…」
コアラ「え!?急に?」
サボとコアラが革命軍に合流する。
サボ「ドラゴンさん!ドラゴンさん居ますか?!」
ドラゴン「ここだ。どうした。」
サボ「あの山賊との戦闘をする事を伝えに来ました!」
コアラ「え!?どうして!サボくん!私、聞いてないよ!」
ドラゴン「……理由を聞こうか。」
サボ「…あの山賊はウミを苦しめたかもしれない!ウミが関係してるかもしれないんです!」
ドラゴン「………。今回の戦闘は許可が出来ない。」
サボ「!!!なんでです!?」
ドラゴン「聞き分けがならぬぞ、サボ…」
サボ「くっ!!!ドラゴンさん!!!ウミはあんたの娘だぞ!!!ウミのことなんてどうでもいいってか!!!!」
コアラ「ちょっと、サボくん!!!落ち着いて!!!」
身を乗り出すサボをコアラとハックが力づくで止めようとする。
ドラゴン「サボの言う通り、ウミは私の娘だ。だが今回ばかりは許可が出来ない。」
サボ「!!!もういいです。勝手にしますから…」
ドラゴン「1人の行動で世界にも革命軍をも揺るがすのだぞ。」
サボ「妹1人も守れなくて何が革命軍だよ…」
コアラ「サボくん!待って!」
サボが出ていき、それをコアラが追いかけて行く。
?「今、聞いてたわよ。ばなーた、息子だけじゃなくて娘まで居たの?!」
ドラゴン「……」
ロビン達とルフィ達が合流して
ルフィ「ロビン!ウミ居たか?」
ロビン「それが、居なくて…でもウミの部屋にこんな物が」
ロビンがウミの手紙をルフィに渡す。
【ルフィ、皆へ。短い間だったけど、皆と航海できて幸せだった。黙って居なくなること許して欲しい。皆のことを嫌いになったわけじゃないから。皆と居て楽しかったことも嬉しかった事も私の大切な思い出なんだ。私を家族と呼んでくれて嬉しかったんだ。ルフィ、お前は必ず海賊王になってくれ!皆もみんなの夢を叶えてくれ。あとルフィをよろしくな!ほんとに皆と居て楽しかった!ありがとな!】
ルフィが手紙を音読する。
チョッパー「どういう事だよー!」
ナミ「そんな遠くには行ってないはずよ!」
ロビン「探しましょ!」
皆で探し回る。
ロー(なんで俺はアイツの手を離した!?アイツがあんな顔してたんだから何かある事は気づいてたはずだろ!)
走りながら探し回る。
その頃、ウミ。
ウミ「……」
ウルフ「来たか。別れは済んだようだな。」
ウミはウルフの言葉を無視してウルフ達の元へ歩く。
?「居た!待てよ!どこ行くんだ!ウミ!」
ウミ「!!!」
ある男がウミを見つけ、ぞろぞろと集まってくる。
背後から聞きなれた声が聞こえて驚く。
ウミがゆっくり振り返る。
ウミ「……ルフィ?……みんな、なんで…」
ウルフ「おっと、偽の仲間か?」
ウミ「……」
ウミが黙り込む。
ウミはルフィ達より、高い所に立っていたが隣にウルフが来る。
ウミ「!!」
ウミとローの目が合い、ウミが気まずそうに視線を外す。
ロー「……」
ローはずっと黙ってウミを見つめる。
ウルフ「言ってやれウミ。お前らには仲間意識を向けてねぇって」
ウミ「……ルフィ、皆、消えろ。」
ナミ「ウミ…」
ウミ「お前らとは違うんだよ!!お前らは所詮、海賊。私は山賊。繋がってるようで繋がってねぇ。別物だよ。」
ウソップ「ウミ!何が言いたいんだよ!」
ウミ「…死んじまう前に消えろっつってんだよ!」
ルフィ「言ったろ!ウミ!俺は!俺たちは死なねぇ!」
ウミ「クッ!そういう問題じゃねぇんだよ!お前らと私は住んでる世界が違うんだ!お前らと私は仲間でも家族でもねぇ!敵だっつってんだ!」
皆「!!!!………」
ルフィ「ウミ、お前が何を考えて何がしてぇのか俺にはわかんねぇ。実の兄妹でもな!だってお前は俺じゃねぇし!俺はお前じゃねぇ!でも!大切な妹と一緒に居てえと思うのは兄妹だからだ!」
ウミ「!!!!………ル、ルフィ…」
皆も気持ちは同じだと言うようにウミを見る。
そしてウミが涙を流す。
ウルフ「おい。ウミ、その涙は何の涙だ?いいのか?お前の故郷、フーシャ村を滅ぼしても。」
ウミ「!!」
ウミは思い出したかのように震え、手を握りしめる。
ブルック「フーシャ村?そこって確か…」
ブルックはルフィを見る。ルフィは目を見開いている。
ルフィ「フーシャ村がなんだ…。どうしててめぇがフーシャ村を知ってんだ!!俺たちの故郷に何したんだ!」
ウルフ「お?まさか、お前さんの出身地でもあったか。知らねぇのか?3年くらい前か?俺たちが襲ったんだ。」
ルフィ「なんだと?フーシャ村は!フーシャ村の皆はどうなったんだ!」
ウルフ「さぁなぁ。どうだか。興味すらねぇなぁ。まぁウミがまた、裏切ったら次こそは再起不能な村にしてやろうじゃねぇか。」
ウミ「!!!!」
ウルフが不吉な笑みを浮かべる。
ウミ「……裏切らないから…やめろ…」
ウミが落ち着いた口調で言う。
ウルフ「ふん。それを違えねぇことだな。」
ウミ「……」
?「アイツは、イシュの野郎の事、忘れたのかボケ!」
ウミ「!!!!………デカブツ。」
そいつはキッドだった。
キッド「てめぇはアイツに幸せになれ。とか言っときながらてめぇはどこへ行こうとしてんだ!人の事心配できるたまか!てめぇ!」
ウミ「!!!!」
ウミは先程イシュに告げた言葉を思い出す。
ウルフ「はぁ〜。うるせぇ奴ばっかかよ。」
ウルフが大きな攻撃を繰り出す。
ウミ「ま、待て!!!!やめろ!!!!」
ウミが止めた時には既に遅かった。
ウルフ「さて、行くか。」
ウルフ達が後ろに向かって歩き出す。
煙が立ち上って景色は見えなかったが1人だけ顔が見えた。
ロー「………」
ローだ。ローは睨むこと無くウミを見据える。
ウミ「……助けて……」
ウミが口パクで目があったローに伝える。
ロー「!!!!」
ウルフ「何をしてる。行くぞ。ヨモヨモするな。」
ウミ「……」
ウミがみんなを心配し、泣きそうな顔をしたまま、みんなに背を向けたまま歩き出す。
ロー「待て!ウミ屋!!!!」
煙が晴れ、ウミ達が居た所を見るが既に誰も居なかった。
ロー「クソがっ!」
ルフィ「ウミ!!!!ウミ、帰ってこい!!!!」
ルフィが大声で叫んでいた。
麦わらクルーがウミの名前を囁く。
?「遅かったみたいだな。」
ルフィ「!!!!誰だ!」
後ろの方から見た事のない中年くらいの男が現れた。
ロビン「あなたは!」
?「……」
その男はルフィを見つめる
ルフィ「??」
?「まだ会うつもりはなかったんだが、ルフィ。俺を覚えているか?」
ルフィ「?俺、お前なんて知らねぇぞ?」
?2「貴様まで来とったのか。ドラゴン。」
ルフィ達「!!!!」
ナミ「ドラゴン!」
ブルック「ドラゴンさんと言ったら、ルフィさんのお父様ではありませんか!」
ロビン「やはりね」
ドラゴン「…ガープか。」
ガープ「父親に向かってガープとはなんじゃ!」
ルフィ「じいちゃん!」
ガープ「おー。ルフィー。元気じゃったか?」
ルフィ「今、そんな事言ってる場合じゃねぇよ!」
ガープ「……ウミじゃな?まぁ落ち着け。話してやる。」
ルフィ「じいちゃん何か知ってんのか?」
ガープ「…あれは、2年前、」
その頃、ウミ。
ウルフ「いい判断だったな。」
ウミ「……」
(こんなことになるなんて思っても見なかった…こんなことになったのは2年前のあの日だ。あの日、私の人生は狂っちまった。)
【2年前】
ウミはいつもの様にコルボ山を降りフーシャの
PARTYS BARにマキノに会いに来ていた。
ウミ「マキノ〜!村長〜!」
マキノ「あら、ウミ。今日も来たのね。」
村長「毎度毎度、騒がしい奴じゃ。誰に似たんだか。」
ウミ「誰ってルフィしか居ねぇじゃん。」
村長「わかっとるわ!」
マキノ「2人とも落ち着きましょ?」
ボーンッ!)
3人「!!!!」
村人「きゃー!」
村人2「逃げろ!早く!死んじまうぞー!」
ウミ「なんだ!何が起こってるんだ!」
ウミが外を見に行こうとする。
マキノ「ウミ!待って!私が見るから後ろに下がってて!」
ウミ「え、でも…」
村長「ウミ!下がっとけと言っとるんじゃ!」
ビクッ)
荒らげた声の村長に驚き後ろに下がる。
バン!)
目の前で爆発が起こり、外を見に行ったマキノと村長が倒れている。
ウミが2人に駆け寄り
ウミ「マキノ!村長!」
マキノ「ウミ…逃げて…」
ウミ「やだよ。」
ウミが泣きそうな顔をする。
ウルフ「お?この女(ウミ)、悪くねぇな。おい、この女を連れて行く。」
ウルフがほかのクルーに声を掛けるとそいつらがウミを掴む。
ウミ「離せ!離せって!」
クルー1「うるせぇガキだな!お頭どうします。」
ウルフ「言うまでもねぇだろ?押さえ込め。」
クルー2「はいよ!」
そう言うとクルーはウミを抑え込む。
ウミ「ゔっ!」
ウミが気を失う。
ウルフ「気を失ったか。連れてけ」
マキノ「って…待って。ウミを…離しなさい……」
ウルフ「命が欲しけりゃ黙ってることだ。」
ウルフ達はウミを担ぎあげ、去っていく。
マキノ「待って……」
意識の遠のく中、マキノが声を出す。
?「これはどういう事だ!何があった!」
大きな女が倒れたマキノの元へ駆け寄る。
マキノ「ダダンさん……」
そう、コルボ山のダダンだ。
ダダン「ウミは!ウミはどこだよ!」
マキノ「ごめんなさい…ウミを守れなかった…」
マキノは涙を流す。
ダダン「連れてかれたのかい!?」