テラーノベル
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朝。
太陽の光がカーテンの隙間から差し込む。
宗太郎はゆっくりと目を開けた。
宗太郎「ん……朝か……。」
昨日の出来事が頭をよぎる。
ハンターギャバンキラー。
崎山凶太郎。
そして――。
自分が放った謎の必殺技。
ギャバン・ダイナミック。
宗太郎は布団の中でぼんやり考える。
宗太郎「昨日のこと……全部夢だったらいいのにな……。」
しかし。
目を開けた瞬間。
宗太郎は固まった。
部屋の中に――。
二人の人影がいた。
一人は腕を組み、いつもの冷静な表情。
もう一人は笑顔で手を振っている。
宗太郎「……。」
数秒間、沈黙。
そして――。
宗太郎「え……?」
宗太郎は目をこする。
宗太郎「……夢?」
真司がため息をつく。
真司「夢じゃない。」
ひかりは満面の笑顔で答える。
ひかり「現実♪」
宗太郎は布団から起き上がり、二人を見る。
宗太郎「……。」
そして。
恐る恐る聞く。
宗太郎「じゃあ……なんで俺の部屋に……?」
真司は当然のように答える。
真司「簡単な話だ。」
真司は時計を見る。
真司「3人で登校するぞ。」
宗太郎はポカンとする。
宗太郎「……え?」
ひかりが元気よく説明する。
ひかり「それで迎えに来たんだよ!」
宗太郎「迎えに……?」
ひかり「うん!」
ひかりは笑顔で頷く。
ひかり「昨日あんな戦いがあったのに、一人で学校に来るのは危ないかなって思って。」
宗太郎「……。」
宗太郎は少し驚いた。
昨日までなら。
自分は二人にとって、ただの「同じギャバンに選ばれた人」だったはず。
でも今は――。
朝、自分を迎えに来てくれている。
宗太郎は少し笑う。
宗太郎「そっか……。」
真司は腕を組んだまま言う。
真司「勘違いするな。」
宗太郎「え?」
真司「昨日、お前が一人で戦ったことによって分かった。」
宗太郎「……。」
真司「ギャバンは一人で戦うものではない。」
宗太郎は少し驚いた顔をする。
真司は続ける。
真司「……まだ、お前を完全に認めたわけではない。」
宗太郎「あ、やっぱりそこなんだ。」
ひかりが笑う。
ひかり「真司くん、素直じゃないんだよね。」
真司「余計なことを言うな。」
ひかり「でも、朝早く宗太郎くんの家まで来てる時点で――」
真司「……。」
ひかり「ね?」
真司は黙る。
宗太郎は思わず笑った。
宗太郎「ふふっ。」
真司「何がおかしい。」
宗太郎「いや……。」
宗太郎は二人を見る。
宗太郎「なんか、本当に仲間っぽくなってきたなって。」
その言葉に、真司は少しだけ目をそらす。
真司「……まだ早い。」
ひかりは笑顔になる。
ひかり「でも私は仲間だと思ってるよ!」
宗太郎「ひかり……。」
ひかり「だって、昨日一緒に戦ったじゃん!」
宗太郎「……ありがとう。」
宗太郎は制服に着替えるため立ち上がる。
宗太郎「じゃあ、準備するから少し待ってて。」
ひかり「はーい!」
真司「遅刻するなよ。」
宗太郎は部屋を出る前に振り返る。
そこには――。
昨日まで知らなかった二人がいる。
でも今は。
自分を待ってくれている。
宗太郎は小さく笑った。
宗太郎(ギャバンになるなんて思ってなかったけど……。)
宗太郎(悪くないのかもしれないな。)
こうして――。
宙刑学園の新たな3人のギャバン。
初めての「3人での登校」が始まった。
しかし。
その頃。
別の場所では――。
凶太郎「……仲間、か。」
昨日の宗太郎の言葉を思い出す少年がいた。
凶太郎「……。」
彼の心に生まれた小さな変化。
それはまだ、本人にも気づかれていなかった。
そして
昼休み。
午前中の授業を終えた生徒たちが、教室や食堂へ向かい、学園内はいつもより賑やかな雰囲気に包まれていた。
宙刑学園。
そこはただの高校ではない。
未来の宇宙刑事を育成するための特別な学校。
普通の生徒なら知らないような訓練施設。
そして、選ばれた者だけがなれる存在――。
ギャバン。
そんな特殊な学園の中で、昨日から大きな話題になっていることがあった。
それは――。
「3人のギャバン候補生が誕生したこと」
そして。
「その3人の前に、謎の敵が現れたこと」
だった。
――宙刑学園・廊下――
昼休みの廊下。
多くの生徒が楽しそうに会話しながら歩いている。
しかし。
その中を、一人だけ静かに歩く少年がいた。
川玉真司。
ブルーギャバンに選ばれた少年。
いつも通り、冷静な表情。
誰とも話さず。
ただ、一人で歩いていた。
真司「……。」
窓の外を見る。
昨日の戦い。
ハンターギャバンキラー。
そして――。
宗太郎。
真司の頭の中には、何度も昨日の光景が浮かんでいた。
自分でも苦戦するほどの相手。
圧倒的な力を持つ敵。
それに対して、宗太郎は――。
ギャバン・ダイナミックを放った。
真司(なぜだ……。)
真司(なぜ、あいつが……。)
真司は足を止める。
窓ガラスに映った自分の姿を見る。
真司(俺は……。)
その時。
背後から声が聞こえた。
???「お前……。」
真司はすぐに振り返る。
そこにいたのは――。
黒い制服姿の少年。
崎山凶太郎。
昨日、レッドギャバンと戦った男。
いや。
ハンターギャバンキラー。
真司「……。」
真司は警戒する。
真司「崎山凶太郎。」
凶太郎は無表情のまま、真司を見る。
凶太郎「覚えていたか。」
真司「忘れるわけがない。」
真司「昨日、俺たちを襲った張本人だからな。」
凶太郎は少し笑う。
しかし、その笑みには温かさなどない。
凶太郎「……そうか。」
真司は構えそうになる。
だが、凶太郎は攻撃する様子を見せない。
ただ、静かに言った。
凶太郎「お前……俺と組めよ。」
一瞬。
廊下の音が遠くなったように感じた。
真司は目を細める。
真司「……何?」
凶太郎は真っ直ぐ真司を見る。
凶太郎「聞こえなかったか?」
凶太郎「俺と組めと言ったんだ。」
真司は黙る。
そして冷たく返す。
真司「断る。」
即答だった。
凶太郎は少しも驚かない。
凶太郎「理由は?」
真司「敵と手を組む理由がない。」
凶太郎「敵……か。」
凶太郎は廊下の窓を見る。
凶太郎「本当にそう思っているのか?」
真司の表情が変わる。
真司「……何が言いたい。」
凶太郎はゆっくり近づく。
凶太郎「お前は、ギャバンに恨みがあるんだろ?」
その言葉。
真司の足が止まった。
真司「……。」
凶太郎は続ける。
凶太郎「昔、宇宙犯罪組織マクーによって家族を失った。」
凶太郎「ギャバンに助けを求めた。」
凶太郎「だが……助けてもらえなかった。」
真司の拳が強く握られる。
真司「……なぜそれを知っている。」
凶太郎は答えない。
ただ、静かに言う。
凶太郎「お前はずっと思っていたはずだ。」
凶太郎「もし自分がギャバンだったら。」
凶太郎「もし自分に力があったら。」
凶太郎「誰かを失うことはなかったのではないか、と。」
真司は黙っている。
図星だった。
幼い頃の記憶。
助けを求めた日。
届かなかった願い。
その悔しさ。
それらは、今でも真司の心の奥に残っていた。
凶太郎はさらに続ける。
凶太郎「だから、お前はギャバンになった。」
凶太郎「他の誰かを守るためではない。」
凶太郎「自分自身のために。」
真司の目が鋭くなる。
真司「……違う。」
凶太郎が見る。
凶太郎「違う?」
真司「俺は……。」
真司は言葉を止める。
自分でも分からなかった。
本当に自分は誰かを守るためなのか。
それとも――。
過去への怒りからなのか。
凶太郎はそこを突く。
凶太郎「お前と俺は似ている。」
真司「……。」
凶太郎「俺もそうだった。」
凶太郎「ギャバンになりたかった。」
凶太郎「力が欲しかった。」
凶太郎「選ばれたかった。」
凶太郎「だから、お前なら分かるはずだ。」
凶太郎が手を差し出す。
凶太郎「俺と来い。」
凶太郎「宗太郎ではなく、俺を選べ。」
凶太郎「お前なら……本当のギャバンになれる。」
真司はその手を見る。
しばらく沈黙。
その時。
頭に浮かんだのは――。
宗太郎の姿だった。
昨日。
自分を逃がした少年。
怖がりながらも、仲間を守ろうとした少年。
そして。
ひかりと笑っていた姿。
真司(……。)
凶太郎が尋ねる。
凶太郎「どうした。」
凶太郎「まさか、あいつを信じるのか?」
真司「……。」
凶太郎「崎山宗太郎を。」
真司はゆっくり顔を上げる。
真司「……あいつは弱い。」
凶太郎が笑う。
凶太郎「なら――。」
しかし。
真司は続けた。
真司「だが。」
凶太郎「……?」
真司「あいつには……俺にはないものがある。」
凶太郎の表情が少し変わる。
真司「恐怖を感じても、前に進む力。」
真司「自分より他人を優先する強さ。」
真司「それは……認めている。」
凶太郎は黙る。
真司は背を向ける。
真司「だから答えは決まっている。」
凶太郎「……。」
真司「俺は、お前とは組まない。」
凶太郎の手がゆっくり下がる。
しかし怒りは見せない。
ただ、小さく呟いた。
凶太郎「……そうか。」
真司が歩き出す。
その背中に、凶太郎は言う。
凶太郎「だが覚えておけ。」
真司が止まる。
凶太郎「お前が選んだ道の先に、本当に正しい答えがあるとは限らない。」
真司は振り返らない。
真司「……それでも。」
真司「俺は俺の答えを探す。」
そう言って、真司は廊下の奥へ消えていった。
一人残された凶太郎。
彼は静かに拳を握る。
凶太郎「……仲間、か。」
宗太郎。
ひかり。
そして真司。
自分にはないものを持つ3人。
凶太郎は空を見上げる。
凶太郎「……なぜだ。」
凶太郎「なぜ、お前たちには……。」
その呟きは、昼休みの喧騒に消えていった。
凶太郎との会話を終えた真司は、しばらくその場に立ち尽くしていた。
真司「……。」
凶太郎の言葉が頭の中を何度も響く。
『お前はギャバンに恨みがあるんだろ?』
『俺とお前は似ている』
『お前には、本当のギャバンになれる』
真司は拳を握る。
真司「……違う。」
そう呟いた。
しかし――。
自分でも分かっていた。
凶太郎の言葉は、完全な間違いではない。
幼い頃。
宇宙犯罪組織マクーによって大切なものを失った。
助けを求めた。
だが、その時に現れたギャバンは間に合わなかった。
その時からずっと。
心の奥には消えない疑問があった。
「もし自分がギャバンだったら」
「もし自分に力があったら」
そんな思い。
真司は歩き出す。
しかし――。
その足取りは、いつもの冷静なものではなかった。
突然。
真司は走り出した。
真司「……!」
廊下を駆け抜ける。
すれ違う生徒たちが驚いて振り返る。
生徒「え?川玉が走ってる?」
生徒「珍しい……。」
普段の真司なら、絶対に見せない焦った表情。
その理由は――。
宗太郎。
あの少年なら。
もしかしたら。
自分の心の奥にある苦しみを変えてくれるかもしれない。
そう思ったからだった。
――宙刑学園・教室――
教室では宗太郎とひかりが昼食を食べていた。
ひかり「宗太郎くん、お弁当おいしそう!」
宗太郎「普通のお弁当だけどね。」
ひかり「でもおいしそう!」
宗太郎は笑う。
昨日までなら。
こんなふうに誰かと昼休みを過ごすことなんて考えてもいなかった。
その時――。
バンッ!!
教室のドアが勢いよく開いた。
宗太郎「!?」
そこにいたのは――。
真司だった。
息を切らしている。
宗太郎「川玉くん!?」
ひかりも驚く。
ひかり「真司くん?どうしたの?」
真司は宗太郎を見る。
その目は真剣だった。
真司「宗太郎。」
宗太郎「……?」
真司「来い。」
宗太郎「え?」
真司「校庭に来い。」
突然の言葉に宗太郎は戸惑う。
宗太郎「校庭?今から?」
真司は頷く。
真司「ああ。」
宗太郎「何をするの?」
真司は少し黙る。
そして――。
真司「確かめたいことがある。」
宗太郎はその言葉の意味を考える。
しかし。
真司の表情を見て分かった。
これは遊びではない。
宗太郎「……分かった。」
ひかりが心配そうに見る。
ひかり「二人とも……大丈夫?」
真司は答えない。
宗太郎は笑う。
宗太郎「大丈夫だよ。」
ひかり「……。」
宗太郎「行ってくる。」
――宙刑学園・校庭――
広い校庭。
昼休みの生徒たちは遠くにいる。
真司と宗太郎は向かい合って立っていた。
風が吹く。
真司は静かに宗太郎を見る。
宗太郎「川玉くん。」
真司「……。」
宗太郎「何を確かめたいの?」
真司は拳を握る。
真司「お前が……本当にギャバンなのか。」
宗太郎は驚く。
宗太郎「え?」
真司「昨日、お前はギャバン・ダイナミックを使った。」
真司「初代ギャバンの伝説の技を。」
宗太郎は黙る。
真司「だが俺が知りたいのは、力のことじゃない。」
宗太郎「……。」
真司は自分の胸に手を当てる。
真司「ギャバンになる資格がある心を持っているのか。」
宗太郎は真司を見る。
真司「俺は……自分でも分からない。」
宗太郎「川玉くん……。」
真司「俺がギャバンになった理由は、本当に誰かを守るためなのか。」
真司「それとも……過去への怒りなのか。」
宗太郎は何も言わず聞いている。
真司は続ける。
真司「だから、お前に聞きたい。」
真司「お前はなぜギャバンになった。」
宗太郎は少し考える。
そして答える。
宗太郎「……分からない。」
真司が少し驚く。
真司「分からない?」
宗太郎「うん。」
宗太郎は空を見る。
宗太郎「俺だって、最初は突然選ばれて困った。」
宗太郎「怖かった。」
宗太郎「逃げたいって思った。」
真司「……。」
宗太郎「でも。」
宗太郎は真司を見る。
宗太郎「昨日、二人が逃げる時間を作れた時。」
宗太郎「俺は思ったんだ。」
宗太郎「この力は、自分のためじゃなくて誰かのために使いたいって。」
真司は黙る。
その言葉を聞いて――。
自分の過去と向き合っていた。
そして。
真司はギャバンブレスを見る。
真司「……宗太郎。」
宗太郎「うん。」
真司は一歩下がる。
真司「なら、見せてみろ。」
宗太郎は驚く。
宗太郎「え?」
真司は腕を上げる。
真司「俺が信じるに値するギャバンなのか。」
青い光が真司を包む。
真司「蒸着!!」
その瞬間――。
ナレーター「ブルーギャバンがコンバットスーツを蒸着するタイムは、わずか0.05秒にすぎない。」
光が走る。
青いコンバットスーツが装着される。
ナレーター「では、蒸着プロセスをもう一度見てみよう。」
真司は完全にブルーギャバンへと変身した。
宗太郎はその姿を見上げる。
宗太郎「川玉くん……。」
ブルーギャバンは静かに構える。
ブルーギャバン「来い、宗太郎。」
ブルーギャバン「俺の過去を……お前が変えられるのか。」
校庭に緊張が走る。
これは戦いではない。
真司自身が抱えてきた苦しみを――。
宗太郎に託すための試練だった。
コメント
3件
ああ、第4話、すごく良かったです……! 朝、宗太郎の部屋に迎えに来た真司とひかりのシーン、もうそこからじーんと来ました。「ギャバンは一人で戦うものではない」って真司が言うところ、彼なりの成長が感じられてぐっときました。そして凶太郎の真司への誘い、真司の過去がちょっと見えたのも気になります。最後の校庭の試練、どうなるんだろう……続きがすごく気になります!