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コメント
1件
うわ、このエピソード、めちゃくちゃ心に刺さりました。いむさんとの軽いやり取りから一転、智絆さんの日記の一文がずっしり重くて…。「どうしてぽん太は俺の代わりに死ななければいけなかったのか」、この一文が物語全体の伏線になってる感じがして、ゾクッとしました。黄色いひよこの人物の語る「可哀想な子供」の話、主人公が自分に重ねて見られていることに気づきながらも「知りたい」と選ぶラストの静かな強さが印象的。幻覚と現実の境界が曖昧な語り口、設定の作り込みが本当に巧いです。次が気になって仕方ない…!
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――――――
Side🐤
「あの、いむさん。」
『……Zzz』
「あーあ。寝てる、残念。一緒に海にいきましょうって言おうとしたのにな」
『え!?行く!俺行k!』
『あ』
「ふっ笑」
「絶対に起きてると思いました。」
『でも、今俺の足こんなだもん』
と自分の脚を指差す。
「大丈夫、泳ぐっていうよりは海が名所の土地を観光するだけですよ。」
『車椅子で?大変じゃない』
「背中は任せろ!です。」
『そういうことじゃなくて笑』
いむさんの両足は包帯グルグル。不幸中の幸いというべきか、シンプルに不幸だったというべきか、両足複雑骨折。そして全治半年。
『どうせひなこが考えたんだろ。それ』
「よくわかりましたね笑……
4人で行こうよって。嫌ですか。」
「いやではないよ!?」
「やっぱり俺邪魔かも…」
『そういうことじゃなくて笑(2回目)』
「冗談ですよ笑。俺そこまで卑屈じゃない」
いむさんじゃないんですから、と零したら
『調子乗んなー!シュッシュッ』
と殴るを真似してきた。
そしたら腕痛めて唸ってた
『うぉぉぉいった!』とのこと。
何してんだ笑
腕だって怪我してるのに…
『それに俺ぷっちーに、智絆に言わないと。』
「………無理してない?」
『ううん。もう大丈夫』
そう言った顔は前よりずっと力が抜けていて自然な笑顔を浮かべていた。
それに俺は安心して、笑い返す。
だけど
そこには俺がまだ知らない何かがある
違いますか。
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――――――――――――
智絆さんの日記に綴られたあの一文が
ずっと、頭から離れない。
―――どうしてぽん太は俺の代わりに死ななければいけなかったんでしょうか。―――
「……」
わかっていること、
それはぽん太が指すのは俺じゃないこと。
そして
その人物がもうこの世にいないこと。
ねぇ、
会ったときからずっと、
貴方達の瞳には誰が映っていたんですか。
――――――――――
――――――――――
――――――――――
終わりない浅葱色、
遠くに浮かぶ積乱雲、
そんな夜明け間もない時間に
白昼夢を見た。
目の前にいる人影
黄色いひよこのフードで顔はよく見えない。少年なのか
はたまた青年か
もしくはその中間なのか、
それすらもわからなかった。
「誰。」
聞いていたのか、聞こえていなかったのか。答えるつもりがないのか。
代わりに
つかみどころのない提案が返ってきた。
『………』
『知り合いの話をしましょう。』
主語はないが”誰の“知り合いなのか、
それはもうこの空間内でわかりきっている。
彼は飄々としながらも静かに語り出した。
その声はふと風にたなびく風鈴を思わせた。
『そこに、とある男の子がいました。』
『男の子は父親の顔も知らず、母親からは歪んだ執着をたっぷりと受けて育ちました。』
『だから彼は自分というもの、当たり前というもの、はたまた感情というものが分かリませんでした。』
『そんな環境とは裏腹に少年は穏やかな、純粋な心を持っていました。』
「……どんな心?」
『彼はずっと不思議に思っていました。』
『何故この目に映る世界はこんなにも色なく濁っているのか』
『何故母親への愛情と反比例するように、自分の身体に絆創膏が増えていくのか。』
『自分はこんなにも”幸せ“なのに』
『【どうして、俺は”可哀想な子供“なの?】』
「………」
なんて皮肉な話。
けれどもそんな風に育っていく少年の辛さが
何故か自分のことのように理解できる気がした。
『ねぇ』
『失望しましたか。』
「……」
「…俺が貴方に重ねて見られていたこと?」
『……わかっていたんですね。』
「………いや」
「違う、かな。ただ……知りたいと思った。」
『………』
『そっか』
『それならまた、貴方は此処へ来る』
すとんと勝手に
目が閉じて、開く。
気付けば日はすっかり高く上り、そこは
最初の頃とは見違えるほどに整った部屋。
「………幻覚。」
一人ぽつりとぼやいた言葉は辺りに響くわけでもなく、夏の暑さに溶けて消えた。