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先輩になるのやだ…
本編どうぞー
「蒼空!!いつまで寝てるの!?起きなさい!!!」
「うわぁっ!!今何時!?」
「はぁ…やっと起きたー…7時半よ!」
「7時半!?遅刻する!!」
「もう、まったく……」
「あーもう朝ごはん食べる時間ない~!!行ってきます!」
「はぁ!?…はいはい、気を付けてね」
僕の名前は蒼空!普通の中学生!
今は僕の彼女…天音の家に向かってるところ!
でも僕は天音に秘密にしてることが”ひとつ”あるんだ。
これは誰にも言ってなくて家族しか知らない秘密。
僕は”歌い手”として活動していること。
最初の方はお母さんやお父さんにバレないように静かにゲーム実況とか配信していたけど…
ネットで”声がいい” ”歌い手向いてるんじゃね?” ”歌声聞いてみたい!!”
とかなんか歌ってみたをやってほしいというリクエストが殺到したから試しに両親がいない時間に投稿してみたんだ。
そしたら思ったよりも反応が良くてチャンネル登録者数もグングン伸びて…。
やめられなくなっちゃって。
気付けば昔から貯めていたお小遣いやお年玉をすべて使って本格的な機材を買いだしていた。
そしたら当然、親にバレた。
親に怒られると思って覚悟してたけどそんなこともなく”そう、近所迷惑にならないようにね”
とだけ言って部屋に戻っていった。
僕の親、放任主義だからさ。
そこからは親に言われた通り近所迷惑にならない程度にどんどん動画配信していた。
一切顔を出さない”謎の歌い手”として。
芸能事務所とかからは毎日のようにスカウトが来てたけど、全部断ったんだ。
どーせ、すぐ飽きると思ったから。
でも動画配信を始めてからかれこれ2,3年は経っている。
意外にも続いていたからと言ってもあくまで僕は素人の身。
いつ辞めてもいい存在…だと思っていた。
だけど……。
”握手会してほしいです!” ”ワンマンライブとか!” ”あのグループの人と一緒に活動してるところ見たい!”
”コラボしませんか!?” ”マイクラの実況もっかいして!” ”顔出ししてよー” ”実 写 見 た い で す っ 、 ! !”
”ショタボ可愛いうへへ” ”グッズとか売ってほしいです、!!” ”こ れ か ら も 頑 張 っ て !”
みんなに想像以上に期待されて…誰かの一部になってしまって…。
逃げれなくなった。嫌でも歌を歌い続けないといけない。
そんな自分に、嫌気がさした。
でも、そんな時、僕は天音に救われた。
僕が一人で抱え込んでいるときに”誰かに頼ってもいいんだよ”と言ってくれた。
でも、歌い手は誰にもバレたくない。お母さんたちに迷惑を掛けるかもしれないから。
だから僕は、天音の前では偽物の自分を”演じている”。
そんな僕を、僕は嫌った。
「蒼空、おはよう……大丈夫?随分考え込んでたみたいだけど…」
「あぁ、うん…大丈夫だよ!」
「そう…?」
「もー、大丈夫だって!!寝癖ついてるぞ~??」
「えっ!?ちょっ…勝手に触らないで!!」
「ごめん…シュン」
「…ん……いいよ………」
照れてる~~!!可愛い!!!!
「ち、遅刻するから…早く行こ…//」
ひゃーーー!!!照れてる!!最高に可愛い!!
やっぱ僕の彼女が一番!!
「
天音ちゃん!おはよー!!」
「天音ちゃん、今日も可愛いね!!」
これはすべて男子が天音に対して話しているのである。
うん、死ね??
お前ら天音に彼氏いるの知ってるよね??
僕は天音が毎日のようにナンパされているのを見て一人で大人しくキレるのが日課である。
僕の天音なのに…!!
でも前、天音が「メンヘラ嫌い」って言ってたような…。
嫌いって言ってたような感じがしてるから隠してる!!
「蒼空、一人でガッツポーズして何してるの」
「え?あ?ん?え??」
「だから、なにしてるのって聞いてるの」
「あー…何でもないよ!!」
「ふーん…浮気?」
「え?ちょっ…何言ってるの浮気なんて__」
「嘘だよ」
天音…嘘つくの上手だな~……。
「じゃあ、また放課に」
「う、うん……」
あと1時間話せないのか~……マジで殺す気かな?
授業なんてなくなっちゃえばいいのにね。
「天音~!一緒に帰ろ!」
「あー…ごめん、委員会あるから、先帰ってていいよ…」
「ううん!待ってるよ!」
「そう…?だったら早く終わらせてくるね」
「うん!頑張ってね!」
天音は、昔から頑張り屋さんだ。
誰かが嫌がる仕事を率先して選んで、実行する。
そのせいかクラスのアホタレ共は天音に仕事を押し付けるようになった。
僕はそれを”暴力”で解決させた。
アホタレ共は逃げていった。だけど、天音は泣いていた。
『なんで泣いてるのー??』
『蒼空なんて…大っ嫌い!!!』
『な、なんで……?ねぇ、天音ってば!!』
僕は答えてくれないままこっちを睨んでいた天音の肩を揺すって……
押し倒してしまった。
『うぅ…痛い…痛いよぉ……!!』
天音は教室の固い床に頭を強打し、痛い痛いと泣き叫んでいた。
『あ、天音…ごめん……だいじょう__』
『触らないで!!』
『え……?』
『………さわらないで……』
天音は蚊の鳴いたかすかな声が僕に届いた。
『もう、蒼空なんて…蒼空なんて知らないッッ!!!』
『あ、天音、、!!!』
そこからの記憶は全然覚えていない。
だけど、気が付いたらいつも通り天音と学校に行って、授業を受けて、一緒に帰っていた。
確か…天音が”話しかけてくれた”んだっけ。
あんまり覚えてない。
思い出したくもない。
やっぱり僕は僕から逃げている。
「蒼空!おまたせ、ごめんね…待たせちゃって」
「ううん、全然大丈夫だよ!!」
「あのさ、帰る前に一か所寄りたいところあってさ…いい?」
「え?うん、いいよ…??」
「ありがと」
行きたいところ…?どこだろう。
「公園…?」
「そう、公園。見ればわかるよ笑」
「でも、どうして公園なんかに……?」
「あのね、私…ずっと謝りたかったの」
「謝る…?なんで……?」
「小学校の時”嫌い”とか”触らないで”とか言っちゃったこと。昔だからって忘れてないよ」
「なに、そんだけ?」
「そんだけって……」
「そんだけって言い方は悪かった。ごめん…でも、全然気にしてないし、何より……」
「今でも一緒にいられるだけでも幸せだし!」
「…!!そっか…ありがとう……」
「もう、寒いから帰ろ?」
「そうだね…」
天音、そんなに気にしてたんだ……。
別に気にしなくてもいいのに…。
でも、ありがとう。心の中で引っかかってったものが無くなった気がするよ!
こんな日が、ずっと続いたらいいのに…。