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お久しぶりです。
このページを開いていただきありがとうございます。
前回の投稿から期間があいてしまいすみません。
この作品、長い一本として投稿しようと筆を進めていたのですが、思っていたよりも長くなりすぎてしまったので、連載にしようと思います。
他の連載を終わらせていないのもわかってるのですが……増やしてしまうのが悪いとこですね。
ぜひ楽しんでいただけるとうれしいです。
「……え、何これ…、?」
それは、インスタのDMリクエストを確認していた時のこと。
フォロワーが100万人を超えている俺は、当然たくさんのDMが届く。
そこにはファンの方からのあたたかい言葉がたくさん、俗にアンチと呼ばれる俺のことが気に食わない人からの暗い言葉、過激なファンが悪戯で送ってきた言葉など、様々な“佐野勇斗宛のメッセージ”が。
誹謗中傷などに弱い芸能人は絶対に見るべきではないが、自分は基本的には傷つかない。
それなら、反応できなくてもできるだけファンの方がせっかく紡いでくれた言葉を読んで励みにしたい、とメッセージリクエストは読むようにしている。
そして今。
目に留まったのは、アイコンに俺の画像を使用したアカウントから送られてきた1枚の画像。
リクエスト段階では一通のみしか送れないからか、説明の添えられていないその画像。
スルーしてしまいそうななんの変哲もないものだ。
いつもなら。
相手も画像1枚で俺が意味を理解できると思っているのであろうその手法は、気持ちが悪かった。
そう、その画像は……。
俺の家の扉だった。
すぐにマネージャーに連絡をした。
住所やマンションが特定されるだけならまだしも、部屋を特定し、セキュリティを破って玄関の前まで来ているということは、放っておいていい案件ではない。
マネージャーからの返答は、家の隅々まで人の気配がないか確認すること、戸締りをしっかりすること、明日のグループ仕事はメンバー1人とともにマネージャーと屈強なスタッフが扉の前まで迎えに来ること、しばらくここには帰れないため荷造りをしておくこと、だった。
家の中に誰かがいるかも、なんてことは思いつきもしなかったため、その文字を呼んで足元から首まで鳥肌が立って、急に恐怖をおぼえた。
なにかを恐いと感じるなんていつぶりだろう。
得体の知れない恐怖。
それがこんなにも恐ろしいものだったとは。
これなら露骨な嫌悪や悪意を向けられた方がずっとマシだ。
どんな人がどういう意味でしたのかがわからないからこそ、明確性の一切ない恐怖に足が竦む。
結局家の中に変わった点は何一つ見当たらなかったが、自分の確認しなかった、思いつきもしなかったどこかに犯人がいるのではないかと思うと気が気でなく、おちおち眠ることなどできるはずもない。
頭まで布団に潜ってもどんなに時間が経っても頭は嫌に冴えてしまって、ぎゅっと目を瞑り小刻みに震えたまま長い夜を明かした。
数分おきに何度もスマホで確認していた時刻を見て、翌朝が訪れたことを知る。
アラームをかけた時刻はまだだったけれど、荷造りをしていないので起きなければいけない。
それに、夜を越せたことは今はこの部屋が安全であることを物語っていて、少しだけ安堵した。
深呼吸をして心を落ち着ける。
マネージャーとメンバーと合流してしまえば、あとは大丈夫だ。
メンタル面はキツいけど、ここは安全圏だ。
おい佐野勇斗!
顔も見えない誰かの悪戯で気が滅入るなんて、らしくないだろ!
そんなんじゃファンのみんなを楽しませられないよ!!
ドーム行けないよ!!!
……………っし。
両頬を叩いて気合いを入れる。
自分の本心なんて二の次。周りの仕事が順調に進むよう、いつもの自分に切り替えた。
それから身だしなみと荷物の準備は難なく、むしろいつもよりスムーズに終わらせ、マネージャーからの迎えの連絡を待った。
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