コメント
1件
episode 5 友達
「友達」
私は、この言葉が嫌いだ。
いくら期待してもどれだけ信用しても、
結果は1つ。
**結局裏切られる、**これだけ。
最初は独りが嫌だった。
だからなんとなく笑って、なんとなく好かれるような人でいた。
なのに嫌われて、裏切られて。
自分が1番解ってるはずじゃないか。
「友達なんて作っても無駄」なんて。
痛いくらい、分かってる。
人に気使って、無駄にエネルギーを消費しながら生きていくより、
周りを気にせず独りで生きてく方がよっぽどマシ。
それなら、いちいち彩使いの事も口出しされない。
まあ、今は違うけど。
高校に入って、友達と言える人は数人出来た。
まあ、全員私自身のことが気になるだけ。
結局友達なんて、口先だけ。
毎日毎日、からかうように彩使いの事を聞いてきて。
そして、今回は私のことを“無能”呼び?
ありえない、そんな人となんて…、
そんな人と友達に?
関わるなんて…ッ
(…まあ、でも、)
(彩使いっていう、共通点があるだけマシなのかもね。)
「…黒瀬紫苑」
『…なんだ?』
私は、ニヤリと笑いながら口を開き、こう言った。
「…黒と、紫。」
「それじゃ、さようなら。」
紫苑に背を向け、そのまま家へ向かう。
「…フフッ」
(私の眼は、彩を映すんだから)