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ナギサノサナギ
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春の陽気が心地よい休日。
「ライー! コーヒー入れたで!」
キッチンから明るい声が響く。
「今行くー」
ソファで本を読んでいた伊波ライは、顔を上げて笑った。
結婚して数年。
仕事から帰って一緒にご飯を食べて、休日にはのんびり過ごす。
そんな穏やかな毎日が、二人にとって何より幸せだった。
「今日は買い物行く?」
「うん。でも、その前にちょっと病院寄りたいんよ」
「病院?」
「最近ちょっと体調変やなーって思って」
「大丈夫?」
「うーん、念のため!」
「じゃあ一緒に行こう」
「え、仕事は?」
「午前だけ休み取ったから」
「いつの間に!?」
「マナが心配だからね」
「優しすぎるやろ……」
笑い合いながら支度を済ませ、二人は病院へ向かった。
待合室。
「なんか緊張してきた」
「俺も」
「何もなかったら笑って帰ろ」
「そうだね」
しばらくして診察室へ呼ばれる。
そして、診察を終えた二人は、驚いた顔のまま椅子に座っていた。
「……え?」
「ほんとに?」
何度も顔を見合わせる。
医師から告げられたのは、思いもよらない嬉しい知らせだった。
家族が増える。
その言葉が、胸の中でじんわりと温かく広がっていく。
病院を出たあと。
二人は近くの公園のベンチに腰掛けた。
「びっくりしたなぁ」
「うん……まだ実感ない」
「俺、ちゃんと親になれるかな」
「大丈夫」
ライは優しく笑う。
「一人じゃないから」
「……うん」
「嬉しい?」
「めちゃくちゃ嬉しい」
「俺も」
マナは少し照れくさそうに笑った。
「元気に育ってくれたら、それだけでええな」
「名前とか考える?」
「気が早いって!」
「はは、ごめん」
「でも……」
マナは空を見上げる。
「どんな子なんやろなぁ」
「笑顔の多い子だといいね」
「ライに似て優しい子かな」
「マナに似て明るい子かも」
「どっちに似ても可愛いやろ」
「親バカだね」
「当たり前や!」
帰り道。
スーパーで夕飯の材料を買いながらも、二人の会話は自然と未来の話になっていた。
「ベビーベッドって必要なんかな」
「まだ早いよ」
「服とかいっぱい買ってしまいそう」
「絶対買うでしょ」
「ライもやろ?」
「否定できない」
夕食を食べ終えた夜。
ソファに並んで座りながら、二人は静かに今日一日を振り返る。
「なんか幸せやなぁ」
「うん」
「不安もあるけど」
「それ以上に楽しみ」
ライは優しく微笑んだ。
「三人で笑って過ごせる家にしよう」
「約束な」
「約束」
二人の小さな指が触れる。
まだ姿は見えないけれど。
確かにそこにいる、大切な新しい家族。
穏やかな春の夜。
二人の新しい毎日が、静かに始まろうとしていた。
コメント
1件
わあああ、しろまるさん!第1話から尊さ爆発しすぎてお腹痛いんですけど!!??🌸💕 結婚後の穏やかな日常、病院での妊娠発覚、公園での未来語り…一つ一つのシーンが優しくて温かくて、読んでて自然と口元が緩んじゃいました😭✨ 特に「三人で笑って過ごせる家にしよう」のライのセリフ、エモすぎて胸キュンが止まらない…!! マナの「どんな子なんやろなぁ」にライが「笑顔の多い子だといいね」って返すところ、二人の性格がにじみ出てて最高でした。方言の温かみもすごく合ってる!次の話も絶対読みたいです!✨