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「これで呪術のことは大体話し終えたよ。理解できたかい?」
「…はい。それで、これが生まれたのは呪霊が何らかの術式を持っていたせいですか?」
羂索は私が左手に持っている呪胎九相図らしき物と私を交互に見る。
「この呪胎が生まれたのは呪霊との子を孕めるという君の体質だね。」
本当に私は九相図の母になっていたことが確定した。
(ということは…これが脹相なのか?)
そう思うと、気味の悪かった呪物も不思議と愛着が湧いてくる。
「そういえば君、住む場所がもうないのだろう?」
「まあ…両親が死んでしまったので。」
「それなら、実験に協力してくれる代わりに私の寺に住まないかい?もちろん縛りだよ。」
(…羂索と同棲できるってこと!?)
口元が思わず緩みそうになるが、原作での九相図の母のことを思い出す。
(羂索の実験で後8回変な妊娠の痛みを感じなきゃいけないのか…)
実際の妊娠から出産までの痛みよりはおそらく軽いものだろう。普通の妊娠をしたことがないから絶対そうとは言い切れないが。
だとしても、痛いのも苦しいのも普通に嫌だ。
「私がその縛りを結んだ後、[実験に協力しなくなるけどこの寺から出る]という選択肢をいつでも与えてくれるなら…縛りを結びます。」
実験されたときに、羂索と会えなくなってもいいぐらいの苦痛だったときの為だ。逃げ道は確保しておきたい。
「君がその選択肢を選んで寺から出ていった場合、誰にも私の実験を言わないのであれば条件に従おう。」
「分かりました。」
私は右手の小指を立て、羂索の手の方に右手を近付ける。
それを見た羂索は不思議そうに頭を傾けた。
「私の小指に羂…じゃなくて憲倫さんの小指を絡めてください。えっと…約束をするときには指切りっていうことを行う風習が私が住んでいた所にあったので。」
羂索は言われた通りに自分の小指を絡める。
「指切りか…遊女が客に誓約の証として小指を切り落として送ることが本来の意味だね。」
(何それ怖…)