TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

俺たちは朝早く起きだし、しっかりと朝食をとってからオーク襲撃の現場に来ていた。


「昨日も言ったと思うけどおそらくこの辺には居ないな。俺たちが通ってきた街道の分岐点からここまではオークの反応は無かったように思う」


「そうだな、今日はラファール方面へ向けて街道沿いを調査していこう」


「では、行きましょう」


アーツが今日の方針を立てたので二人で街道を歩き始めた。シロは俺の3歩先を索敵しながら進んでいく。


僕らが居るサミラス伯爵領《はくしゃくりょう》とお隣のラファール辺境伯領の間には低い山が連なっている。


オークどもがわざわざそれを越えて来たとは考え難いだろう。


もっとも、街道を通っていればすぐに発見されるだろうしな。


そのことから、捜索範囲は領堺にある村までということになる。


街道沿いの森のどこかに潜んでいるはずなのだ。


「では、その領堺の村まで行って折り返しましょう」


「しかし村まではかなり距離があるぞ。少し急ごうか」


「了解。身体強化を使えばあっという間では」


「そうか、身体強化も使えるのか。よし急ぐぞ!」


俺たちは身体強化を掛けて街道を北へと爆走していく。


シロも尻尾を揺らしながら前を走っているし、何だか楽しそうだ。






とっ、その時である!


俺のすぐ前を走っていたシロが急停止したのだ。


――おおっとっと!


俺は前につんのめりながらも何とか止まることができた。


立ち止まったシロは右側の森林地帯を睨んでいる。


「どうした、何かいたのか?」


そう声を掛け、俺はシロの横に片膝を突いて頭を撫でてやる。


『いた、たくさん、いく、わたる、かわ、どうくつ』


「昨日のやつら (オーク) か?」


シロは頷く。


「見つけたのか?」


「この森の中、川の傍の洞窟にオークが多数いるみたいだ」


「そこまで分かるものなのか! さすがはフェンリル様だ」


アーツは何やらブツブツ呟いている。


俺たちはここで小休止。


干し肉を食べ水の補給をしながら細かい打ち合わせを行っていく。


「今回の依頼は偵察が主だからな。無理はしなくていい。安全が優先だぞ」


「うん確かに。あとはギルマスに丸投げしてやりますか」


「最低、どのくらい数が居るのか、出来ればリーダーの有無も確認もしておきたいところだが。洞窟から出てこないのでは確かめるのは難しいだろうな」


「まだ日は高いし、ある程度張り付いてみましょう」


「では進もうか」


「シロ、アジトが近くなったら魔力は抑えてな。それに結界魔法はすぐに展開できるよう準備しておくんだぞ」


俺やアーツが背負っていた荷物はすべてインベントリーに収納した。






「よし 行くか!」


俺はシロの背中をポンと叩き森の中へ突入していく。


なるべく使えそうな獣道を通って静かに近づいていく。


そして、森へ突入して僅か30分。


目の前を幅2m程の小川が流れている。


その小川の向こうに開けた場所があり、最奥には洞窟がポカンと口を開けている。


「ここのようですね」


「街道から結構近いな」


「まず、シロを偵察に出します。出来れば洞窟の中も」


「うん、それで頼む。我らは経路の割り出しをしていこう」


「シロ、見つからないように洞窟の中も見てくるんだぞ。行け!」


………………


それから、20分程でシロは帰ってきた。


「シロありがとう。それでどうだった?」


腰を落としてシロの背中を撫でてやる。


『どうくつ、くさい、いる、たのしい、おおきい、いっぱい』


そうか、まだまだデカいのが何頭かいるんだな?


「シロ、今から頭に魔力を送るから洞窟の様子を思い浮かべてくれ」


そう言ってシロの頭に手を乗せ優しく魔力を流していく。


すると、シロのイメージした事がどんどんこちらに流れ込んでくる。


おおおおおっ!


洞窟の中の様子が手に取るようにわかるぞ!


それに……うわ~、めっちゃ臭そうだ。


シロには悪いが、臭覚は共有したくないな。


ふんふん、大体のことは把握することができた。






「洞窟の中にはオークが23頭、ジェネラルクラスが1頭、キングクラスが1頭存在している。さらに洞窟がある崖の上にはオーク5頭が周りの警戒をしているようだ」


「とすると、もしかしたら遠征に出ている部隊なんかがいるかもしれんな。もう少し待機して確認していこう」


「了解。……それにしても虫が多いなぁ。シロ、結界で何とかできないか?」


するとシロがみんなの身体に纏わせるように結界を発動してくれた。


おおっ、凄い!


虫がぜんぜん寄り付かなくなったぞ。――さすがシロちゃん!


そして、洞窟がよく見える場所まで屈んだまま移動し偵察を続けた。


特に変化がないまま時間だけが過ぎていった。


………………


すると突然シロが騒ぎ始めた。


落ち着かせるよう背中に手をあてると、


『きた、おおきい、おんな、ふたり、おとこ、しんだ』


何だと、マジか。


「オークジェネラルと多数のオークが人間の女性を2名、男性を1名連れてこちらに近づいている。それと男性の方はすでに死んでいるそうだ」


そのように、すぐアーツへ報告した。






しかし、アーツは渋い顔をして、


「今回、我々の任務は偵察だ。私は救出しに向かいたいがゲンはどうしたい? 何なら帰っても構わないぞ」


ああ~、気をつかわれているのか……。


この前だってオーク共を殲滅しているんだけど……、それでも冒険者ランクは低いからなぁ。


「お気づかいありがとう。もちろん一緒に行くさ。絶対に救出しよう! シロ、魔法も使っていいぞ。ただし、火魔法以外でな」


「そうか、行ってくれるか。でも無理はするなよ」


「ああ、無理はしない。 こちらに居る本隊に気づかれる可能性は高いがやるしかないだろう」


その言って俺とアーツは立ち上がった。


こちらに向かっている敵は女性たちを連れているので動きは鈍いはずだ。――何とかなるか?


俺たちは移動を開始した。


だが、敵の一行はまだまだ見えてこない。


さらに奥へ進んで行くと…… 見えた! オーク5・ジェネラル1・女性2・男性……いない。


いや違った! ――首だ。


ジェネラルが髪を掴んで片手にぶらさげている。


ハンドサインを飛ばして後ろのアーツに知らせる。


シロは正面から行くように指示を出している。


そして、俺は奴らの後ろへと回り込んだ。






俺はヤツらの後ろに回り込むと身体強化を掛け小川を飛び越えた。


そして静かに近づいていく。


しかし、オーク共は俺の気配にまったく気づかない。


集団の後ろを歩いている3頭のオークに向かいアイスランスを2連射。


氷の槍はオーク共の背中に吸い込まれていく。


それと同時に正面のシロがオークジェネラルに切り込んだ。


さらに、アーツが横っ腹から乱入して襲いかかった。


残されたオークはどうしていいのかわからずオタオタしているだけだ。


こうなってしまえば、もはや敵ではない。


シロが爪でオークジェネラルをぶっ倒すと残り2頭のオークはアーツがあっさりと首を刎ね飛ばした。


そして、魔法で倒れたオーク共に俺が止めを刺したところで、


この戦闘はあっけなく終了したのである。

この作品はいかがでしたか?

30

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚