まあまあで行こう

帰宅前に良仔こと葉矢は、ママから帳簿を預かった。店の奥の部分をパーテーションで仕切り、出社したら朝礼後、前日のレシートの内容を書き出す。1日置きの勤務の為、前日分で済む。マネージャーにはママが買付け様の金額として集金バッグに常時五万円入って居るようにする。購入分が減って居るので葉矢が帰宅前にその金額を出し、帳簿と集金バッグをママに渡す。ママが帳簿に目を通し五万円になる様に補充して置く。

初めは品物と金額を事務員に書き出していたが、朱未の言う様に確かに客が注文しない物の購入支出が多い。ビール、ウイスキーは一番よく出る為、これは酒屋を通している。滅多に出ないのは、よく解らないリキュールや、ブランデーだった。ブランデーは景気が良ければ売れるらしいが、最近は葉矢も飲んでいる客を見かけない。一応ボトルは入れられるが、これも滅多に入れる客はいない。ボトルキープはどの店でも、酒代と保管料で高額な上、客は自分のボトルから飲んでも氷は無料では無いし、ママやホステスに振る舞うと直ぐ無くなってしまう。クラブエンパイアはマスターを置かず、マネージャーが兼任でカクテルを振っている。しかしそのカクテルも滅多には出ない。（酒屋からまとめて取る以外の酒が何故有るんだろう?しかも毎日一本は有る。個人が普通に買えば確かに店で出すより全然安いが…後はオードブル用の野菜フルーツや乾き物。）これは有名ストアで買われていた。そういう野菜は家庭用では無いため見た目が良いが高額だった。