テラーノベル
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俺はこの教室で、いや、学校の中で孤独だ。
いじめられてるとか、そういうわけじゃないし友達がいないわけでもなかった。
なかった、というのはその友達もごめんなと謝って俺から離れてしまった。
どうして?
俺が何かやったなら謝るから、そう言っても友達たちはお前は悪くないんだとだけ言って離れていったのだ。
「…なんで…」
ある日突然だった。
急にみんなよそよそしくなって、返事はしてくれるし簡易的な会話だってしてくれる。
それなのに、壁を張られてるみたいで。
楽しい学校生活が一変して苦しくて悲しいつらいものに変わった。
いじめられてるわけじゃないから両親にも学校のことは言えず、今日も憂鬱な気持ちを引き摺りながら教室に入る。
早く起きて1番最初に教室に入るようにしていた。
誰かがいて、挨拶しても曖昧に返事されるのが悲しいから。
だったら1番最初にいて寝てた方がいい。
「トラゾーおはよう。今日も早いね」
「クロノア先生、おはようございます」
授業の準備をしてるのか教卓で作業してる。
唯一、俺に声をかけてくれる先生だ。
かっこいい、優しい、など女子生徒から人気のあるクロノア先生は確かに俺から見てもかっこいいと思う。
「?どうかした?」
「え?いえ…何か手伝いましょうか?俺、今暇ですし」
荷物を置き机の中に教科書とかをしまって先生の傍に行く。
「えぇ?いいの?じゃあこのプリント留めてもらっていい?」
「お安いご用です。クロノア先生にはいつもお世話になってるので」
「ありがとう、トラゾーはホントにいい生徒だね」
頭を撫でられて優しく微笑まれた。
思わず顔が熱くなる。
「(こんな顔で微笑まれたら、そりゃ好きになっちゃうよな)」
ホッチキスを渡されて、3枚綴りのプリントの端を留めていく。
パチッ、という音が静かな教室に響く。
みんなと曖昧な距離感でいて困惑してる時にクロノア先生が声をかけてくれた。
不安定なところに優しくしてもらった俺は簡単に絆され、唯一の安心できる人となってしまった。
「最近はどう?みんなと」
「…うーん…変わらないです。曖昧な感じで…」
「そっか。でも大丈夫だよ」
「?」
ホッチキスを留めていた手にクロノア先生の手が重なる。
「クロノア先生…?」
「俺はトラゾーの味方だよ」
ぎゅっと手を握られて、どきりと心臓が跳ねた。
「俺だけはトラゾーから離れないからね」
「ぁ、え…ッ」
俺を見るその目にあった思った時には先生の長い指が伸ばされた。
指の股を撫でられてびっくりして手を払う。
「あッ、あの、ご、ごめんなさ…っ」
散らばるプリントと落ちたホッチキスを拾うクロノア先生にすぐ謝って同じようにプリントを拾う。
「俺こそごめんね?トラゾーが可愛くてつい」
「かわ、いくはないです…」
「可愛いよ、ホントに」
にこりと先生が笑った。
「困ってる生徒のために頑張るのは先生の役目だからね。逃げたくなったら俺のところにおいで?トラゾーならいつでも歓迎するよ」
「……クロノア先生って、そう言って女の人のこと落としたりするんですか?」
「?俺付き合ってる人とかいねぇよ。今はトラゾー…あぁいや、生徒のことで手一杯かな」
トントンとプリントをまとめたクロノア先生が立ち上がる。
「俺…?」
困らせてしまってることは分かってるけど、学校で頼れる人がクロノア先生しかいない。
「トラゾーはそのまま俺のこと頼ってくれてたらいいんだよ。俺、頼られるの嫌じゃないし、トラゾーなら寧ろ嬉しい」
「迷惑じゃないですか…?俺のこと、鬱陶しくないです?」
「ないない、なるわけないじゃん」
クロノア先生がいないとダメになってる気がする。
離れないといけないのに、何故か離れられない。
「トラゾーはそのままでいて」
「クロノア先生にばっか、頼ってもいいんですか?俺、先生がいなきゃダメになりそうで…」
たかが学校生活で周りに距離を置かれてるだけだ。
でもそれは俺にとってはつらい、1人になることが俺は怖い。
そんな中、ただ1人頼れる存在に依存してしまうのは自然なことで。
「……ホントに?」
「クロノア先生の優しさに依存しそうで…ダメって分かってるのに甘えてて……ごめんなさい、こんな俺気持ち悪いですよね…」
俺も立ち上がってクロノア先生を見上げる。
「っ!!」
「嬉しいよ、俺に依存してくれてるんだね」
「え、ぇ、あの…」
「トラゾーのこと分かってるのは俺だけ」
後ろに下がると窓側の壁に背中がぶつかる。
「あっ…」
先生の腕で囲まれて、どうしようと見上げると優しく笑うクロノア先生が俺を見ていた。
「俺ね、トラゾーのことが好きなんだ。生徒と先生って関係だからダメって分かってる。けど、困ってるきみのことが放っておけなくて、好きな子は助けてあげたいって思って弱みに付け込んでる……こんなずるい俺のこと怖い?嫌いになった?」
眉を下げ申し訳なさそうにする先生のワイシャツをシワにならない程度に掴む。
「き、嫌いになんて…どうしていいか分からない俺のこと、助けてくれたのはクロノア先生です…あの、だから…、その、…ッ」
弱みに付け込まれたとかそんなこと俺は思わない。
俺のこと助けてくれたのは先生だけだから。
正直、好きだと言われて困惑はしてるけどクロノア先生なら俺は、
「俺も、多分、クロノア先生のことが好き、です」
「!……俺の恋人になってくれるの?」
こくりと頷く。
「嬉しいよ」
ぎゅっと先生に抱き締められる。
猫ちゃんを飼ってるクロノア先生からは柔軟剤の優しい匂いがする。
でも、この人本来の落ち着く匂いに俺は無意識に擦り寄った。
「そんな可愛いことしたら襲うけど?」
「ひゃ、っ!」
耳に吹き込まれる低い先生の声。
授業や普段の声なんかよりも潜められた低い声に肩が跳ねた。
「ふふ、可愛い。…みんなには内緒ね?俺、怒られちゃうから」
「はい…ッ」
「あー…やっと、俺のモノにできた…」
「⁇」
首元のシャツを緩めていた俺の首筋にクロノア先生が背を屈めて顔を寄せた。
「先せ…ッ、んっ!」
ちゅっと強く吸われて、噛まれる。
顔を離した先生は満足げに笑って俺の首元のネクタイを締めた。
「これで誰にも盗られずに済む」
「へ…?」
「俺だけのトラゾー。もう誰にも渡さない」
痕をつけられた首筋を撫でたクロノア先生を見上げる。
「そ、そもそも…俺には先生しか、いないのに…」
「そうだね。トラゾーには俺だけだもんね、他の奴はきみのこと避けて傷付けてるだけだから。…そんな奴らから俺がトラゾーのこと守ってあげる。大人として、先生として、…恋人としてね?」
「…そんな言われたらホントに離れられなくなっちゃいます…これ以上、ダメになって1人にされたら俺、死んじゃいます…」
「死なせないよ。ずっと俺がいてあげる。誰よりもトラゾーのこと分かってる俺が、ずっと」
そろそろクラスのみんなが登校してくる。
離れなきゃいけないのにまだこのままでいたい。
「先生は、俺なんかでいいの…?他に、いっぱいいい人いるんじゃ…」
「俺はずっとトラゾーだけだよ。新任で来た時、俺のことを見た目とかで判断せずに普通に接してくれたきみのことを好きになったんだ」
「そ、そんなの普通のこと…」
確かに外見も完璧な人だ。
でも先生にそんなの求めてなかったし、俺は勉強するために学校に来てるんだからと普通のことをしていた。
「努力家で真面目で優しくて頭のいいくせに天然なとこがあるトラゾー。我慢ばっかりするきみのこと助けたいって思ったんだ。まぁ、俺のは一目惚れで下心いっぱいだったんだけど」
「っつ!!」
「トラゾーの一緒に頑張りましょうって言葉に俺は救われたんだよ。やっていけるかなって、緊張で震えてた俺に優しく裏表のない声で言ってくれたのが嬉しかったんだ」
入学式の時、新任として入ってきたクロノア先生。
緊張してた先生に俺と一緒ですね、頑張りましょう!と声をかけたのは今でも思い出せる。
「それから俺は、俺のこと助けてくれたトラゾーに恩返ししたいなってずっと思ってたから。こうやって助けることができて尚且つ恋人になれて一石二鳥なんだよ」
「も…もう、あまり恋人とかって言い方しないでください…恥ずかしいです…」
「可愛い。…これからよろしくね、トラゾー」
「よ、よろしくお願いします。クロノア先生」
「…2人の時は先生はやめてほしいな」
「えっ、と……く、クロノア、さん…?」
首を傾げて名前を呼ぶとまた抱き締められた。
「可愛いすぎる…」
「可愛くないですってば…」
そう言いつつも抱き締められてるのは満更でもなくて。
「可愛いよ、…………な、」
「?、何か言いましたか?」
「ううん。さ、そろそろみんな来るね」
何か呟かれたけどそれは聞き取れなかった。
ぱっと離れた先生に名残惜しいなと思ってしまった。
「あ…」
「…そんな顔しなくても、学校が終わったらいくらでも抱き締めてあげるよ。…それ以上のことも、ね」
ほっぺを撫でられて自分が、そんな顔をしていたことを見られて真っ赤になる。
「〜〜!!」
「じゃあ、またHRでね」
まとめたプリントを持って教室を出ていく先生と、登校してきたクラスの子がすれ違う。
その子が一緒顔を強張らせていたけど、先生に驚いただけかと窓ガラスに反射する真っ赤な自分の顔を落ち着かせるために机に伏せた。
こんな簡単に絆されてくれるなんて思わなかった。
一目惚れというのはホントだし、下心というのもホントだ。
高校生の相手となると、いろいろ距離感が難しい。
中学小学とはまたワケが違う。
子供は子供で難しいこともあるけど、大人に近い彼ら彼女らの相手はかなり心労がたたる。
最悪、と思っていた入学式で俺に声をかけてきたのがトラゾーだった。
大丈夫ですか?とハンカチを手渡してくれた。
自分の見た目に興味はないけど、今まで言い寄られてきた経験からそういうのかとも思ってたけど、顔を上げた時、彼のそれは全く違って純粋に俺のことを心配する表情をしていた。
今までまともに人を好きになったことはないけど、衝撃が走るというのはまさにこういうことなのだと思った。
この子を自分のモノだけにしたい。
誰にも渡したくない、と知ることのなかった自分の感情に気付いた。
一目惚れって存在するんだって驚いたくらいだし。
そこからの行動は知っての通り。
トラゾーを自分のモノにする為に手を回した。
周りに付かず離れずの距離感を保たせる為に色々と。
少しずつ。
よそよそしくなっていくみんなに戸惑うトラゾー。
でも、頼ることをしない彼はどんどんと追い込まれていき、ひとり泣いていた。
我ながらひどいことをしてると思うけど、好きになった子は自分のモノにしたくなるのは自然なことで。
大丈夫?と声をかけたら緑色の綺麗な目から大粒の涙がぼろぼろと落ちていき、俺に心を許した。
許してしまったのだ。
「(悪い大人だな、俺)」
俺のことを、ちゃんと見てくれるトラゾーに俺は依存してる。
小さい頃から俺は見た目で周りに判断されて勝手に落胆されて。
そんなのに辟易していた。
でもトラゾーは俺を俺として見てくれた。
そう接してくれたのがトラゾーが初めてだったから、これはもう運命だなって思ったくらいで。
彼がいなければこんな学校いても意味ない。
トラゾーがいるからこそ、俺はここにいることができる。
「…閉じ込めたいな、」
思わず呟いてしまってトラゾーに聞かれかけたけど、どうやら彼の耳には入らなかったようで安堵している。
もっと俺に依存させて、俺だけしかいないって思わせないと。
そうなれば次に外堀として埋めなきゃいけないのはトラゾーの両親だ。
「さて、どうしようか…」
俺にはトラゾーしかいないんだ、って言い聞かせてもっと俺に依存させないと。
クロノア先生…、クロノアさんと恋人になって1週間くらい経った頃。
両親から出張で2週間くらい家を空けると伝えられた。
1人で大丈夫?と母さんに言われたのに対して頷く。
父さんには我慢してないか?と言われたけど首を振った。
心配かけさせちゃダメだと、笑顔を見せる。
「俺もう高校生だよ。1人でも大丈夫!」
それでも心配そうにする両親にどうしようかと思っていた時インターホンが鳴った。
はーいと確認して玄関に向かった母さん。
「ホントに大丈夫なのか?我慢してないか?」
「大丈夫だってば」
「無茶や無理をして熱を出す息子の言葉は信用できないぞ」
「ゔ…」
そう。
俺は熱を出して学校を休んだ。
今は熱も下がって体調も良くなったけど。
「やっぱり出張ずらして…」
「ダメだって!そんなことで父さんたちに迷惑かけられないよ」
「けどな…」
「トラゾー、クロノア先生が今日の授業のプリントとか持ってきてくれたわよ。さ、先生どうぞ」
「お邪魔します。あ、トラゾーくんちょっとは元気になった?」
先生の顔をしてるクロノアさんに、なんかむず痒くなる。
「クロノア先生どうぞおかけになって?お茶出しますわ」
「そんな…お構いなく、これ持ってきただけですから」
「いえいえ、どうぞ頂いて下さい。息子からクロノア先生によくお世話になってると聞いてますよ。いつもありがとうございます」
「お父様まで……では、お茶だけ…」
俺の隣に座るように促された先生が椅子に座る。
「はい、これ。ノートもコピーさせてもらったの持ってきたよ」
「ありがとうございます。助かります」
紙袋に入れられたプリント類。
すごく助かる。
「先生どうぞ」
そう言ってコーヒーを出した母さんが父さんの隣に座る。
「トラゾーやっぱり私かお父さん出張ずらすわ。あなた体調崩しやすいんだから、心配で仕事に集中できなさそうよ…」
「そうだな。先方にも上司にも俺が説明しとくよ」
両親は同じ会社に勤めていて、社内恋愛の末結婚。
そこそこのポジションにつく2人は忙しいながら俺のことを大切にしてくれてる。
「どうかされたんですか?」
コーヒーを一口飲む先生の姿は様になってる。
「いえ、これは私らの事情なので先生を巻き込むわけには…」
「母さん、相談くらいはいいんじゃないのか?トラゾーも信頼してる先生であるし」
「お話を聞いて力になれることがあれば俺が協力しますよ?」
「先生、俺大丈夫ですから…っ」
2人にも言わなくていいと顔を向けたけど、母さんが眉を下げて話し始めてしまった。
「実は私ら2人出張に2週間ほど行かなくてはいけなくて…かなり大掛かりなものなので外すことができず…。ですが、見ての通り息子が体調を崩してるもので私か旦那どちらか主張の日程をずらそうかと思ってまして…」
心配そうに俺を見る2人。
「知っての通り、この子は我慢ばかりするのでいない間に何かあったらと思うと…」
「なら2週間、俺がトラゾーくんと一緒にいましょうか?」
「へ?」
「「えっ?」」
「信頼されてると、照れますがご両親にもそう言ってもらえて嬉しくて。…彼の力に、強いてはお2人の力になれるのならいくらでも協力させてください」
隣を見れば真剣な表情をしたクロノアさんが2人を見ていた。
「…俺じゃ役不足ですかね…?」
「そ、そんな!クロノア先生なら私たちも安心してトラゾーのこと任せられます!」
「そうですよ!あなたになら息子を預けられます。図々しいかもしれませんが頼んでもよろしいですか?」
「勿論!トラゾーくんのことお任せください」
俺のことなのに俺抜きで話が終わってしまった。
「トラゾーもクロノア先生なら大丈夫よね?」
「う、え?う、うん」
「では先生明日からお願いしてもよろしいですか?」
「分かりました。俺が責任もってトラゾーくんのこと見ますので」
「よかったわね、トラゾー。あなた先生のこと大好きだから」
「ちょ、ちょっと!母さん!!やめてよ!!」
慌てて制止するも時すでに遅し。
隣を見れば、にっこり笑うクロノアさんの顔が。
しかもこの顔、内心よくないこと考えてる時の表情だ。
「いえ嬉しいですよ。生徒に好かれるというのは」
2人に見えないようにテーブルの下で手を握られて、指を撫でられる。
「先生に迷惑かけるんじゃないぞ」
「わ、分かってるってば…父さんも母さんも俺のこと子供扱いしすぎだって…」
「「何歳でもトラゾーは」」
「私たちの」
「俺たちの」
「「子供だよ」」
「っ〜……、うん、俺も2人の子供でよかった」
優しく微笑む2人の顔に笑い返す。
「トラゾーくんがいい子なのはお2人のお陰ですね」
「まぁ、先生もお上手ですね」
「いやホントだ。我々もあなたがトラゾーの先生でよかったです」
「そちらこそ」
和気藹々とする雰囲気の中、テーブルの下で握られる手を、嬉しさ半分恥ずかしさ半分で俺は小さく握り返していた。
運は俺に味方してくれてたらしい。
しかも、難関だと思っていた両親のことまで解決することができた。
「…この顔も得ってことかな」
人当たりのいい顔と言われるから。
あの心配性な両親から託されるほど信頼を得たらしい。
熱を出した子供の為に2人して仕事を休むくらいだ。
子供といっても高校生、普通は寝てなさいと半ば放置だろう。
余程、大事にされてるらしい。
「はは、」
「クロノアさん?どうかしました?」
「ん?ううん、なんでもないよ」
「俺、あんま料理得意じゃないんですけどホントにいいんですか?」
「一緒に作ってるから大丈夫だって」
キッチンに2人立って夕飯を作る。
「学校の先生って、なんか残業とかすごそうなのにクロノアさんは俺と一緒に帰れちゃうんですね」
「まぁ、ウチの学校はそんなブラックな感じじゃないし。俺、仕事さっさと片付けときたいタイプだからね」
「クロノアさんがすごいだけじゃ?」
俺を見上げて本気でそう言うトラゾーに笑い返す。
「そう言ってくれるのトラゾーだけだよ」
「えー…?」
純粋にそう言ってくれるのはね。
「トラゾーこそ、よかったの?俺が押し切ったとこもあるしご両親にも頼まれちゃったのもあるけど…」
「……」
手を止めたトラゾーが小さく何か呟く。
「ん?」
「ぅ……嬉しいから、いいんです。…クロノアさん、と2人っきりになれる、から…」
俯いて顔を逸らしたことで真っ赤になる項が目に入る。
「……クロノアさん…?」
無言になる俺を見上げ直したトラゾーが慌て始めた。
「あ、そのッ!い、今のは…!」
「…俺に、そんなに襲われたいの?」
逃げないように囲い込んで見下ろす。
短い黒髪じゃ隠せないほど真っ赤になる顔と泳ぐ緑の目。
「ゃ、ッ…」
緩い首元から見える俺がつけた鬱血痕。
毎日同じ場所につけるそれは色濃く存在してる。
「トラゾー」
「ひゃ、ぁ…っ」
首筋に顔を埋めて鬱血痕を吸う。
びくりと跳ねる肩に口角が上がった。
「ご飯食べる前に、楽しいことしようか?」
戸惑うトラゾーの後頭部と腰を掴んで引き寄せる。
「っ、んぅッ!」
柔らかい唇を自分のモノで塞いだ。
驚いて腕の中で踠くトラゾーの口の中に舌を入れれば途端に大人しくなる。
「ふぁっ、ぅ、ん、んんっ」
きゅっと俺の胸元の服を握ってどうにかしようとするところが可愛い。
「はッ、ぁ、ンッ、う、ふ…、んむ…ッ」
口を離せば、涙で潤む目と扇情的な表情が視界に入る。
これが見れるのも俺だけ。
許されてるのも俺だけだ。
「くろ、のあ、さん…ッ」
「キスだけでこんなに感じてくれるんだ。…もっとすごいことしたらトラゾーどうなっちゃうかな?」
「ふぁッ…!」
「ね?知りたい?トラゾー」
もっと俺のこと好きになって、求めて欲しい。
「…っ、、…し、…知りたい、……ッ、クロノアさん、俺に、お…しえて、ください…っ」
「、……いいよ、たくさん教えてあげる」
そうして、もっと俺に依存して、俺から離れられなくなればいい。
俺がきみじゃなきゃダメなように、きみも、もっとダメになってしまえばいい。
コメント
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わぁあぉ‼️なんと言う事でしょう❗ 今俺はこの作品が見れてとても嬉しい
早筆すぎませんか??? なんかシスターtrさんの時もですが まじスピードえぐくないですか…?? やっぱりkrtrが美味しいですね😋🍴 てかなんであの短い会話だけで私の 性癖が分かるんですか…‼️‼️ もうほんとに好きです🫶🏻💗‼️‼️‼️ あいしてす賞あげたいくらいです…🫶🏻💗
吐き捨てちょりぎ様とのコメントでのやり取りにて、できたよく分からないお話。 いや、共依存とかもめちゃくちゃ好きなんだけどその概念を書こうとすると何故か遠退いていくという謎現象。