テラーノベル
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─堕とさないと出られない館に閉じ込められました─
注意喚起
・御本人様とは一切関係ありません
・BL(R18にはならないはず)
・zmさん総受け
・現mzybのメンバーのみ登場します
閲覧はあくまで自己責任でお願いします。
◇
館の夜は、思っていたよりずっと賑やかだった。
「あ〜っ!帰ってきた!二人!!」
「良かったぁ〜・・・!抜け駆けされたと思ったらもう目の前が真っ暗に・・・!」
玄関で叫ぶシャオロンとショッピくん。夜のショッピくんはこうもキャラが変わるのか。
大先生はといえばべしょべしょと顔を歪ませて床に蹲っている始末だ。エミさんは端っこで小さく笑っている。
「ちょっ、シャオロンやめろって!!くすぐんなし!」
「ゾムの弱点って脇なんやろ〜?♡」
「はぁ〜・・・トンちにガチで奪われたかと思ったわ・・・」
わちゃわちゃと賑やかに笑い声が響く。
まるでずっと前から、みんな一緒に暮らしてたみたいや。
トントンも、最初は少し離れたところで静かに座っていたけど────
「・・・・・・ふっ」
気づけば、くすっと小さく笑っていた。
それに気づいて、ふいに声をかける。
「なあ、トントン」
「ん?」
「さっき月の下で会ったとき、なんかずっと無理して笑ってるみたいやったけど。今の顔は、ほんまに笑ってるなって思った」
トントンは少し驚いたように瞬きしてから、ふ、と視線を逸らす。
「・・・・・・お前、時々ほんまに無遠慮やな」
「でも、当たってるやろ?」
「・・・・・・知らん」
それだけ呟いて、トントンはまた視線をみんなに戻した。
けれど、ほんの少し──その横顔はやわらいでいる気がした。
◇
なんだかんだで朝方にもう一度眠り直すことになった。なぜか、リビングで六人で雑魚寝するらしい。
「なあ、布団狭ない?てか暑ない?お前足で布団奪うのやめろや」
「うっさいわ。文句あるなら向こうの部屋行けや」
「寒いから無理」
「あほで草」
なんて、どうでもいいことで言い合いして、笑って。それでも並んで眠れる距離に誰かがいることが、久しぶりで、あたたかかった。
やがて、目を閉じたまま、意識がゆるやかに沈んでいく。
◇
─────夢の中。
どこかはわからない。壁も床も空も、形を成しているのかすら曖昧だ。
全身を渦巻くように何かが流れている。液体のような、影のような。触れたら溶けてしまいそうなもの。
何もないのに、「見られている」ような感覚が離れない。
「・・・ここ、どこ・・・・・・?」
声は空に吸われて消えた。
何も答えない空間に、ただ「圧」がある。
音じゃない、言葉でもないのに、「ここにいるべきじゃない」と囁かれているような気がした。
逃げなきゃいけないのに、足が沈んでいく。
まるで、自分自身の輪郭が溶けていくようだった。
手が。脚が。
名前が。過去が。
「やめろ・・・・・戻らせて、や・・・やめて・・・・・・いやや────」
声がひび割れた瞬間、何かがこちらに─────
「っ────は、ぁっ・・・・・・!!」
息を切らして飛び起きた。
喉の奥にひっかかった叫びの名残が、ざらついたまま残っている。
びっしょりと寝汗に濡れた額。息が苦しい。喉が焼けるように痛い。
「ゾム・・・?」
隣で眠っていたはずの大先生が、身を起こした。
その声が、夢と現実の境界線を破って、意識を今ここに引き戻す。
現実だ。ちゃんと音がしてる。壁がある。布団がある。
・・・・・・まだ、この世界に、俺はいた。
「ひゅ、・・・・っ、だ、大丈夫、や、大丈夫・・・っ・・・・・」
「・・・嘘つけ。顔真っ青やん。変な夢、見たんやろ?」
何かを察したような顔で大先生が近づいてくる。起こしてしまって申し訳ない。
肩で息をしながら、こくんと小さく頷いた。
「・・・・・・また、や・・・あの夢。ずっと追われてる。逃げても逃げても、後ろから何かが這ってくる。・・・・顔も見えへんのに、怖くて・・・・」
言葉を探すように、少し口を開いては閉じる。
「何が見えたん?」
「わからへん。でも、なんか・・・飲み込まれそうになる。自分が“自分”やなくなっていくみたいで、めっちゃ怖いんや」
大先生は眉をしかめた。少し戸惑いながらも、言葉を選ぶように口を開く。
「・・・・・・人間って、そういう感覚・・・あるんやな」
「え?」
「俺らは、形がブレても生きてける存在やねん。でもお前らは、輪郭に依存してる。・・・曖昧になるってのは、致命的なんやな」
少し難しい話だけど、黙って頷いた。少し笑って、少し怯えたまま。
「せやけど、お前が・・・こうして隣で喋ってくれるだけで、ここが現実なんやって、わかるわ。ありがとな」
「・・・はあ。お前ってやつはほんま・・・」
大先生は諦めたように息を吐くと、額にそっと手を当ててきた。
冷たい手のひらが、火照った額を撫でる。
「・・・な、なに?」
「熱あるか見てんねん」
「気ぃ遣いすぎやって・・・」
少し罪悪感は芽生えるけれど、大先生の手はひんやりと冷たくて気持ちいい。
ふと、何かを思いついたように大先生が瞬きした。
「・・・・・なあ、ゾム。俺ってさ、インキュバスやん」
「ん・・・・?うん。」
にやり。夜の色をして小さくはにかむ。
「招いて欲しい?夢の中、ぼくが遊びに行ったげよか?」
「・・・え、て、天才かお前・・・!」
その声は、どこまでも軽くて。だけど、不思議と心強かった。
背中をそっと後押ししてくれるような、やさしい悪戯の匂いがした。
◇
伏線張りすぎたので以下まとめ👇🏻
◇トントンについて
詳しい過去や情報は分からないけれど、互いに一歩距離が近づいた気がする。恐らく人間ではないことが確定している。
◇シャオロンについて
ドラゴンの化身なだけあって、ちょっと厨二病かましてる。明るいし気さくで、普通にいいやつ。でも煽る。
◇ショッピ
吸血鬼なので日光が無理。でも人間の血とか汚いし普通にトマトジュースうめえ。夜は活発。
◇夢について
館に来てから何度もゾムを悩ませる。厄介。誰かがいる気がする。
現状:なんとなーくzmさんが愛されてる。
コメント
11件
好きすぎてはげちゃう、、
うへへははは((( こんなところに私の主食が、、、( ありがとうございますッッ!!
トントンさんは目が赤くなってるからすでに人間ではないとわかったが、、、 何だろな? 続き楽しみ✨️(´。✪ω✪。 ` )