俺はその箱を開けると視界が一気にぼやけた気がした、その箱の中には俺が今まで
久遠寺にあげてきたプレゼントが丁寧に
収納されており、俺が首領に引き取られた頃に渡した プレゼントも綺麗に保存されていた…。
『…あぁ、あんたって奴は本当に…』
視界がぼやけて前が見えない…。
『これじゃあ、あんたの手紙が読めないな…
俺は天井をみて落ち着いた後、
手紙を開けると綺麗な字で言葉が
紙に津つられていた。
愛しの黒瀬ちゃんへ
これを読んでいるということは
俺はもう…この世には…なんて、こんな
暗い話をしたいがために黒瀬ちゃんに
手紙を 遺したんじゃないんだよなぁ、ってあれれ 黒瀬ちゃんもしかして
泣いてたりする~?
久遠寺なんで?って大泣きしてる~?…。
なんてなぁ、冗談だよ冗談…でも、俺の為に泣いてくれてたら嬉しいな思ってるよ、
と、まあ、雑談はここまでにして。
黒瀬ちゃん今までありがとな
黒瀬ちゃんがいてくれたおかげで俺は
どんなに辛くても頑張ってこれた
俺の最期がどうであれ俺は幸せだったよ。
黒瀬ちゃんと水瀬の生涯に幸あらんことを
久遠寺より
『…ほんと、あんたは、最後の最期まで…。
あぁ、目頭があついなぁ…なんでだろうか』
視界がにじんで久遠寺の字が滲んでゆく
ダメだとおもい涙を拭っても止まるどころか 溢れ続けるのだった…。
【数時間後】
俺は落ち着いて水瀬のもとへ向かい
俺達は久遠寺が生前お気に入りだった
場所へと向かった、こんなことがあったのに 空は晴天で雲一つない。久遠寺は昼寝が好きでよく仕事が終わり次第そこで一眠りしていた、まったく、殺し屋であろうものが無防備で寝てていいものかと思うが、
確かにここは 不思議と心地い。
俺は久遠寺が好きだった
お酒を持ってきて水瀬といっしょに芝生に
腰かけ三つのお猪口に酒を注いだ。
俺と水瀬は酒が注がれた一つのお猪口に
交わし酒を飲んでいると水瀬が口を開いた
「…ねぇ、黒瀬…。私達は所詮組織の駒だ、
だから、今回の久遠寺の死はただ一つの
駒が 欠けただけだと思っていた…。なのに
なんでだろうねぇ…こんなにも胸が張り裂け
そうなんだ…。」
なんて、あたかも酔った様に言葉を溢す。
水瀬は俺と同じで酒豪だ、だからこそ
これくらいの量の酒に酔うことなんてない
と、わかっていた…。わかっていたが、
俺は自身の頬に涙が伝っているのが
苦しいほどわかってしまった…。
『…悲しんだところで何も変わらない
久遠寺は帰ってこない…帰ってこないんだよ
この汚れた世の中で笑って暮らすだなんて
許されないんだ…。少なくとも死神と呼ばれた俺には…。』
「黒瀬…。」
【水瀬が黒瀬を抱き締める】
『!?』
「…ねぇ、黒瀬…。穢れている私が言える事じゃないかもしれないけれど…。
悪役でも笑っていいんだよ、
現に私は情報屋 で昔から悪魔と呼ばれ
蔑まれてきたけれど
現に笑って生きているよ」
と、水瀬は言う
「…だから悪役だって一人の人間なんだ、だから幸せに生きていいんだよ、彼も
君の幸せを願ってるとおもうよ…。」
『フフッ、あんたがそれを言うかよ…』
水瀬は笑って生きているといっていたが
水瀬は俺とは違えど悪魔と呼ばれ恐れられてきた、そんなあんたが幸せを口にするか
水瀬はこの生涯、心の奥底で笑えて幸せを
感じたことともないといつの日かそう言っていた、そんな幸せになりたくてもなれなかったこの男が幸せを語るなんてなぁ
あぁ、妙に目頭が熱いなぁ…
これは、きっと酒のせいだ、この苦しさも
目頭が熱くなるのもすべて…お酒のせいだ…
俺はそう思うようにして
水瀬を抱きしめかえしたのだった。
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