コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
琴音はふっと視線を上げ、まっすぐ前を見据えた。
「私はもう大丈夫。自分の未来に向かって歩いていくから」
その表情は晴れやかで、少しの未練も見せない強さに満ちていた。
「華さんも、自分の気持ちに素直になっていいのよ」
その言葉に、華の胸が大きく震える。
――琴音は律を想っていたのに、もう前を向いている。
(私も……逃げちゃだめだ)
華はゆっくりと顔を上げた。
「……はい」
絞り出した声は、かすかに震えていたけれど、瞳には確かな光が宿っていた。