テラーノベル
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3ヶ月で本気(マジ)になる恋。
🩷佐野勇斗
💛吉田仁人
🤍山中柔太郎
❤️曽野舜太
💙塩﨑太智
第22話 ココア
――数日後。
仁人が事務所に来なくなってから、
数日が経った。
グループLINEに届く連絡は、いつも短い。
💛『今日は休みます。ごめん』
💛『大丈夫です』
💛『ありがとう』
それだけ。
電話をしても、長く話すことはない。
メンバー全員が心配していた。
特に、柔太朗と舜太は、
仁人のことが気になって仕方なかった。
🤍「……今日、行ってみない?」
❤️「仁ちゃんの家?」
🤍「うん。ずっと休んでるし、一回顔見たい」
❤️「そうやな。俺も気になっとった」
2人は以前、
仁人から預かっていた合鍵を持っていた。
🤍「じゃあ、行こっか」
❤️「よし!」
玄関の前に着いた2人。
🤍「……開けるよ?」
❤️「うん」
鍵を開け、そっと中へ入る。
🤍「仁ちゃーん?」
❤️「仁ちゃん、いるー?」
返事はない。
2人はリビングへ向かった。
そこには、
ソファに座っている仁人がいた。
💛「……え?」
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顔を上げた仁人を見て、
2人の足が止まる。明らかに顔色が悪い。
目の下には濃いクマができていて、
頬も以前よりずっとこけて見えた。
着ている服も少し余っている。
そして何より、
表情がほとんど動かなかった。
🤍「……仁ちゃん」
💛「……何、勝手に入ってきてんの」
❤️「いや、心配やったから来たんよ」
💛「帰って。大丈夫だから」
🤍「大丈夫な人の顔じゃないよ」
💛「大丈夫だって」
仁人は立ち上がろうとする。
しかし、柔太朗が先に近づいた。
🤍「はい、仁ちゃん。とりあえず座ってて」
💛「いや、だから帰れって」
🤍「帰らないよ」
❤️「今日は俺らに任せて」
💛「……何なの、ほんと」
柔太朗は仁人の肩に軽く手を添え、
ソファに座り直すよう促した。
🤍「ほら、ここにいて。立たなくていいから」
💛「……」
🤍「よし!」
💛「よしじゃないんだけど笑」
❤️「あ、ちょっとツッコんだ!笑」
💛「うるさい笑」
ほんの少しだけ、
いつもの仁人らしい反応が返ってきた。
柔太朗はそのまま掃除機を取りに行く。
💛「……え?」
🤍「掃除するね」
💛「いや、しなくていいから!」
🤍「もう始めちゃった」
💛「始めちゃったじゃないんだよ笑」
一方、舜太は冷蔵庫の前に立っていた。
❤️「じゃあ、こっちは……」
冷蔵庫を開ける。
…………。
❤️「仁ちゃん」
💛「何?」
❤️「冷蔵庫、オロナミンC以外何もないやん」
💛「だから言ったじゃん!この家何もないからね?!」
❤️「良かったぁ、買ってきといて」
💛「……は?」
舜太は持ってきた袋をテーブルに置いた。
中には飲み物や食べ物が
いくつか入っている。
💛「いや、別に買ってこなくてもよかったのに」
❤️「いやいや、買ってきてよかったわ笑」
🤍「仁ちゃん、最近ちゃんと食べてる?」
💛「……食べてるよ」
❤️「ほんとに?」
💛「……」
返事が止まる。
柔太朗と舜太は、顔を見合わせた。
柔太朗は掃除機をかけながら、
スマホで調べてきたことを
思い出していた。
実は、仁人の家に来る前に、
いろいろ調べていたのだ。
食欲がないときに食べやすいもの。
水分の取り方。
休んでいる人への接し方。
🤍「……仁ちゃん」
💛「ん?」
🤍「うどんなら食べられそう?」
💛「……うどん?」
❤️「お、うどんあるよ!」
🤍「食欲がないときでも、柔らかくて食べやすいものなら口にできることもあるみたいだから」
💛「……そんなの調べたの?」
🤍「うん。ちょっとね笑」
❤️「柔ちゃん、めっちゃ調べてたよ笑」
💛「何それ笑」
🤍「何それじゃないよ。心配なんだから」
柔太朗は掃除機を止め、仁人の方を見た。
🤍「無理に食べなくていいからね。食べられそうなら少しだけ」
💛「……うん」
❤️「じゃあ、うどん作ろっか!」
💛「いや、自分でやるって」
❤️「だーめ。今日は座っとって」
💛「……何でだよ笑」
❤️「俺らが来た意味なくなるやん笑」
🤍「そうそう。仁ちゃんはそこで休んでて」
💛「……分かったよ」
舜太がキッチンに立ち、
柔太朗も手伝いに行く。
仁人はソファに座ったまま、
その様子を眺めていた。
自分の家なのに、
なんだか不思議な感じがする。
誰かが料理をしてくれている。
誰かが掃除をしてくれている。
そんな当たり前のことが、
今は少しだけありがたかった。
しばらくして、
温かいうどんがテーブルに置かれる。
❤️「仁ちゃん、できたよー!」
💛「……ありがとう」
🤍「熱いから気をつけてね」
💛「うん」
仁人はゆっくり箸を持った。
一口、また一口。
たくさんは食べられなかったけれど、
少しずつ口に運んでいく。
❤️「お、食べてる!」
💛「……見すぎ笑」
❤️「いや、よかったなーって!」
🤍「全部食べなくてもいいからね」
💛「分かってるって」
ほんの少し、
いつもの会話が戻った気がした。
食べ終わって、
3人で他愛のない話をしていたとき。
❤️「そういえばさ、勇ちゃんも心配してたよ」
💛「……勇斗?」
❤️「うん。最近ずっと仁ちゃんのこと気にしてる」
💛「……そっか」
🤍「連絡もしてたみたいだよ」
💛「……うん」
そのとき、インターホンが鳴った。
❤️「あ、来たかな」
💛「……誰、?」
🤍「勇ちゃん」
💛「……え?」
❤️「呼んでおいたんよ」
💛「いや、聞いてないんだけど」
🤍「言ったら嫌がるかなと思って笑」
💛「そういう問題じゃないだろ笑」
柔太朗が玄関へ向かう。
🤍「はーい」
🩷「あ、柔太朗!おじゃましまーす」
🤍「どうぞー」
🩷「仁人は?」
🤍「リビングにいるよ」
勇斗は少し緊張した様子で
リビングへ入ってきた。
🩷「お、おじゃましまーす……」
💛「……何でそんなに緊張してんの笑」
🩷「いや、だって久しぶりに来たから!」
💛「そう?」
🩷「うん。……仁人、久しぶり」
💛「……うん」
勇斗は仁人の顔を見た。
目の下のクマ。
以前よりこけた頬。
少し大きく見える服。
思っていた以上に元気がなさそうで、
胸がぎゅっとなる。
いつもなら、すぐにふざけて
頬を触りにいくところだった。
でも、今日はできなかった。
🩷「……あ、なんか掃除してるの?俺も手伝うよ!」
🤍「え、いいの?」
🩷「もちろん!どこやればいい?」
🤍「あー、じゃあ俺がやるから大丈夫」
🩷「え?でも」
🤍「俺で終わらせられるよ」
🩷「いやいや、そんなわけないじゃん笑」
🤍「大丈夫大丈夫。勇ちゃんはこっち」
そう言って、
柔太朗は勇斗の背中を軽く押した。
その先には、仁人が座っている。
🤍「仁ちゃんのそばにいてあげて」
🩷「……」
🤍「ね?」
勇斗は柔太朗の顔を見て、小さく頷いた。
🩷「……分かった」
💛「いや、別に俺は大丈夫だけど」
🤍「はいはい。じゃあ俺、洗い物してくるね」
❤️「俺も手伝うー!」
🤍「舜太、そっちお願い」
❤️「了解!」
2人は、なんだかんだ理由をつけて
キッチンへ向かった。
リビングには、勇斗と仁人だけが残った。
🩷「……仁人」
💛「ん?」
🩷「隣、座っていい?」
💛「……別にいいけど」
勇斗は仁人の隣に腰を下ろした。
少しだけ距離を空けて。
🩷「うどん食べたんだね!」
💛「うん。舜太が作ってくれた」
🩷「そっか!よかったぁ」
💛「……何が?」
🩷「いや、ちゃんと食べられたんだなーって」
💛「……うん」
少し沈黙が流れる。
勇斗は、仁人の横顔を見つめた。
やっぱり、痩せた。
前は笑うと少しふっくらする頬が
可愛くて。
ふざけてつついたり、
触ろうとしたりすると、
いつも嫌がられていた。
🩷「……仁人」
💛「何?」
🩷「ちょっと、こっち向いて?」
💛「何?」
仁人が顔を向ける。
勇斗は、その頬をじっと見つめた。
🩷「……ほっぺ」
💛「は?」
🩷「ちっちゃくなっちゃったね」
💛「……え?」
🩷「俺、仁人のぷにぷにほっぺ好きだったのに」
💛「何それ笑」
🩷「ほんとだよー。前はもっとぷにぷにしてたじゃーん」
💛「知らないよ、そんなの笑」
🩷「えー、俺は知ってるもん」
そう言って笑う勇斗。
でも、その笑顔の奥には少し寂しそうな
表情があった。
💛「……ごめん」
🩷「あっ、違う違う!」
勇斗は慌てて首を振った。
🩷「責めてるんじゃないよ。俺が勝手に寂しくなっただけ」
💛「……」
🩷「今は無理しなくていいからね」
勇斗は、それ以上何も言わなかった。
少しして、勇斗が立ち上がった。
🩷「あ、そうだ。仁人、ちょっと待ってて」
💛「どこ行くの?」
🩷「飲み物作ってくる!」
💛「別にいいのに」
🩷「俺が作りたいのー!」
勇斗はキッチンへ向かった。
❤️「お、勇ちゃん何作るん?」
🩷「ココア!」
🤍「仁ちゃんの分?」
🩷「うん。温かいやつにしようと思って」
❤️「いいやん!」
🩷「だよね笑 買ってきといたんだ〜」
勇斗はココアの粉を2袋カバンから
出した。少しして、
マグカップを持ってリビングに戻る。
🩷「はい、仁人の分!」
💛「……ココア?」
🩷「うん。温かいやつ!」
💛「ありがとう」
🩷「熱いから気をつけてね」
2人でソファに座り、ココアを飲む。
テレビもつけず、スマホも見ず。
部屋の中には、カップを置く小さな音と、
時々聞こえる外の車の音だけ。
勇斗は、無理に話題を探さなかった。
仁人も、
何か話さなきゃと思わなくていい。
ただ隣に座って、温かい飲み物を飲む。
それだけの時間。
しばらくして、仁人が小さく口を開いた。
💛「……勇斗」
🩷「ん?」
💛「……何も聞かないの?」
🩷「うん?」
💛「俺が何でこうなったのか、とか…?」
勇斗は少し考えてから答えた。
🩷「話したくなったら聞くよ」
💛「……」
🩷「今は話したくないかもしれないし。無理に話さなくていいよ」
💛「……そっか」
🩷「うん。俺、ここにいるから」
仁人はカップを両手で包み込んだ。
温かさが、少しずつ手に伝わってくる。
勇斗は隣で、
ゆっくりココアを飲んでいた。
いつもなら何かしらふざけてくるのに、
今日は静かだった。
でも、その静けさが嫌じゃなかった。
💛「……ココア、おいしい」
🩷「ほんと?よかった!」
💛「うん」
🩷「また作ってあげるね」
💛「……ありがと」
勇斗は、そっと笑った。
キッチンでは、
柔太朗と舜太が小声で話していた。
❤️「……勇ちゃん、ちゃんと何も聞いてないね」
🤍「うん。仁ちゃんが話すまで待ってるんだと思う」
❤️「そやな」
🤍「でも、やっぱり心配だね」
❤️「うん。食事も睡眠も、ちゃんと戻していかんと」
🤍「マネージャーさんにも、今の様子は伝えておこう。必要なら家族にも相談してもらわないと」
❤️「そうやね。俺らだけで抱え込むことじゃないし」
2人はリビングの様子をちらっと見た。
勇斗は仁人の隣に座って、
静かに話している。
仁人はまだ元気とは言えない。
それでも、
勇斗の話に小さく反応していた。
🤍「……少しずつでいいよね」
❤️「うん。焦らんでええよ」
勇斗はソファに座り直した。
仁人は、
まだココアを少しずつ飲んでいる。
🩷「……仁人」
💛「ん?」
🩷「俺、もうちょっとここにいてもいい?」
💛「……いいよ」
🩷「ほんと?」
💛「うん」
🩷「やった」
いつものように、少し大げさに喜ぶ勇斗。
仁人は、ほんの少しだけ口元を緩めた。
勇斗はそれを見て、
嬉しそうに目を細める。
🩷「……ねえ、仁人」
💛「何?」
🩷「今日は何もしなくていいからね」
💛「……うん」
🩷「話したくなかったら話さなくていいし、笑いたくなかったら笑わなくていいよ」
💛「……」
🩷「俺は、いつもの仁人じゃなくてもいいから」
仁人は、
カップを見つめたまま黙っていた。
🩷「元気なときも、元気じゃないときも。俺は仁人と一緒にいたいよ」
💛「……勇斗」
🩷「ん?」
💛「……ありがと」
それだけ言うと、
仁人はまたココアに口をつけた。
勇斗は、それ以上何も言わなかった。
ただ、隣にいた。
仁人が話し始めるまで。
仁人が少しでも安心できるまで。
今は、それでいいと思った。
窓の外は、すっかり暗くなっていた。
温かいココアの残りは、もう少しだけ。
2人の間に流れる静かな時間は、
まだ続いていた。
コメント
2件
やっぱり、アンチ達を……私の推しCPのさのじんを傷付けやがって……
うわあ……切ないけど、じんわり温かいエピソードだったなあ。柔太朗が事前に「食欲ないときの食べ方」を調べてきてうどんを作ったり、掃除したりする気遣いが細かくて泣ける。そして勇斗が「何も聞かないでただ隣にいる」選択をしたのが、すごく仁人に優しい。ココアを両手で包む仁人の姿が目に浮かんで、この静けさが「無理しなくていい」って伝わってくる感じが好き。