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ライキは夢の中へと落ちていく。
すると誰かが遠くのほうで叫んでいる。
「ここは危険すぎる!逃げるんだ!!」
誰かの声を聞いた次の瞬間、
「グォォォォォォォオオオオオオオ」
怪物がライキの目の前に姿を現した。
「おまえは…なんなんだ…なにがしたい??」
怪物はでかい口を開け、ライキを飲み込もうとする。
目の前が真っ暗になった瞬間に、ライキの2日目の恐怖が始まった。
「ゴーン…ゴーン…ゴーン…ゴーン」
どこかで鐘の音が聞こえる。
ライキはベッドから起き上がる。
昨日と同じ部屋だ
「また?同じ夢…」
服装もまた学校の制服を着ている。
部屋から出て右のドアを開ける。
まだベッドの上には誰かが寝ている
ライキは気になり、部屋に入りゆっくりお布団をめくってみる。
「な、なんで…」
お布団の中にはなんと頭半分と左目を包帯で巻かれている竜一の姿があった。
竜一も目を覚め、ライキの存在に気づく。
「ライキ…どうしてここに…」
竜一の目はまるで死人のようだ。
学校にいた時もだいぶ死んだような顔をしていたが、
今はもう包帯も巻かれてまるでミイラのようだ。
「どうして夢の中に竜一がいるんだ?」
ライキは驚いた。目の前の変わり果てた竜一の姿、そして夢の中に竜一が出てきたことに。
「なぁ竜一!これって夢なのか?なぁ、教えてくれ」
教えてくれという言葉に反応したのか、竜一は急に怯え出し、お布団の中に包まった。
「もう嫌だっ!!嫌なんだよ…怖いんだ…」
竜一はまったく話を聞いてくれなさそうだったので、そのまま竜一の部屋を後にした。
部屋から出ると、なんと扉の前に藍沢叶が立っていた。「あ?あんたはライキじゃないの。」
藍沢 叶は不良3人組の1人でいつも羽賀りょうと、相川はるとと一緒につるんでいた。
「ねぇちょっとここなんなの??」
不良だがやはりこういう怖い系は苦手みたいだ。
こういうギャップが少し可愛く思えてしまうが、
どうせただの夢だ。
「たぶん夢だよ」
奥の木の扉が勝手に開いた。
ライキと藍沢叶はびっくりして、扉の方を見るが
誰もいない。
ライキが扉に近付くと藍沢叶も後ろからついてきた。
「なんで勝手に開いたんだこの扉…」
まるで早く入ってこいと言われているような気がした。
「また、あの怪物が出てくるのかな…」
ライキは少し高ぶる感情を堪えている。
2人は玄関ホールへ続く道へ向かった。
玄関ホールへ着くと、前回上から落ちたはずの
シャンデリアは元通りになっていた。
「この家広すぎじゃね?まじどこなん?」
藍沢 叶は少し苛立っている。あまりにも長い廊下に豪華なシャンデリア等があり、目が疲れてくる。
ライキは藍沢 叶のことはあんまり好きではない。
彼女はたまに自分勝手なところがあるからだ。
階段を降り、1階へ降りようとすると、いきなり後ろから藍沢叶がライキを突き飛ばした。
「うぁっ」
階段から転び落ちてしまい、右足と右腕を怪我して頭を強く打ってしまった。
「あたし、あんたのその目が嫌いだったんだよね」
狂気じみた目でライキを睨んでいる。
「現実じゃ無理だからぁ、夢の中ならあんたを殺し放題じゃん」
頭から血が垂れてきた。少し可愛いからって彼女のことを心配していたライキは、生まれて初めて女を殺したいと思った。
「お前らだろ…」
ライキは1年前、入学してすぐのことを思い出す。
最初このクラスは21人だった。
初めは相川はるとを筆頭に、あるいじめがクラスの中であった。
誰も知らない場所で誰からも見られずに
ライキの幼馴染である女の子が殺されたのだ。
その女の子の名前は、星野ミク
警察は自殺ということで処理し、みんなもそれが殺人だと知らないまま時間だけが過ぎていき、今はもう記憶から薄れてしまっている。
「一年前!!星野ミクを殺したのは!?」
ライキは怒りの感情を露わにし、藍沢叶を睨めつける。
クラスのごく一部しかしらないことを言われたが、
藍沢叶は平然と嘘をついた。
「一年前のことなんて覚えちゃいないわよ」
松村ライキの幼い頃からの幼馴染、星野ミク
彼女は少しおとなしい性格をしていて、
正直者で、ライキとミクはカップルだと間違わられるほど仲がよかった。
そんな1年の学校が休みの日、星野ミクが行方不明になった。ライキや家族はみんなで探したが見つからなかった。ライキは諦めかけていたが、ミクとの思い出の神社の頂上へ行くことにした。その道中、相川はると、藍沢叶や、羽賀りょう達とすれ違った。
3人はすごい勢いで階段を降りていった。
そして神社の頂上の裏側で、星野ミクを遺体として見つけてしまったのだ。
それから相川はるとが不登校になったのだ…
そして今に戻り…
「ライキ…あんた、たまにあたしらのこと睨んで見てくるよね」
藍沢叶はどこから取り出したのか、ナイフを手に持ち、転んで立てないライキに近づいてきた。
「その目を、引き裂いてやるよ」
ナイフを目に突きつけられそうになる。
その瞬間、階段2階から怪物の長い髪がいきなり
藍沢叶に巻きつく。
「な、なにこれ!?やだ」
ライキは隙を見て片方の足だけで頑張って反対側の階段を登る。
「あ、ぁぁあああだすけええ」
藍沢叶がこっちを見ながら手を伸ばし助けを求めた。
彼女は右半身から喰われ怪物は腹が減っていたのか
とても食べるスピードが早い。
「いゃぁぁぁああああああああああああ」
家中に藍沢叶の声が響き渡る。
ライキはその光景を眺め、きっと星野ミクも
同じように助けを求めていたのだろうと思った。
「もし早くミクの助けに気づけていたら…」
いくら後悔しても過去は変えられない。
昨日は赤色だった扉を開け、更に続く廊下を足を引きずりながら歩く。
頭も打っているせいか、少し目眩がする。
前も真っ直ぐ歩くことができない。
「くそ…」
廊下を渡り終えるとまた扉がでてきたので開けてみると、こんどは今までの部屋とは明らかに違う。異質な部屋にでた。牢屋があり、中に何かを閉じ込めていたみたいだ。
「まさか…あの怪物を…」
牢屋の中は血の跡がたくさんあり不気味だった。
「だめだ…」
流石に立てなくなったのか壁に寄りかかる
怪物の気配もしないので、ひとまずここで休憩することにした。頭から血がまだ止まらない。
「あ、あれは」
牢屋の奥の方に赤い扉を発見した。
「そこにあったのか….」
ライキは頑張って立ち上がり、赤い扉を目指そうとするが、牢屋の鉄格子があり、あちら側へいくことができない。
「どうやってあっちへ…」
どこからも彼方側へ行く方法がなく詰んでいる。
次の瞬間、ライキの体は鉄格子に叩きつけられた。
ライキは何が起きたか理解できなかった。
口から血を吐いた。ライキは気づくといつからそこにいたのか、怪物がライキを見下ろしている。
鉄格子に叩きつけられた衝撃で腕が変な方に曲がってしまっている。
「これは…夢だが…夢じゃない…」
ライキは最後に気づいた。
「おまえは…なんなんだ…なにがしたいんだ….」
怪物の目的は結局わからなかった。
怪物はよだれを垂らし、口を大きく開け、ライキを飲み込んだ。
「ミク…おれは…」
自分の死を悟り、松村ライキは喰われ、死んだ。