みんながやっと落ち着きを取り戻すと、突然翔太兄ちゃんからサウナに入ろうと誘われた。
風呂に入ってから、熱せられた暑い部屋で二人で一息つく。
誘われた時は、今言うことか?と思ったが、やってみると想像以上に気持ちが良い。これなら気分も落ち着くし、春の寒暖差で不安定になった体調も整いそう。
だいぶ汗ばんできた頃、翔太兄ちゃんが申し訳なさそうに謝ってきた。
💙「昨日はじめて会ったとき、ダル絡みとかしてごめんな。なんか蓮とは、はじめて会った気がしなくてさ」
🖤「ほんと?俺もだよ」
翔太兄ちゃんと会った時は、何だか懐かしいような気分になった。それは兄ちゃんも一緒だったのか。
🖤「5年ぐらい前にさ、毎日いっしょに公園で遊んでたのって…」
💙「あ!!それ俺だよ!」
🖤「え!やっぱり!?」
名前も知らなかった、あの頃の「お兄ちゃん」はやはり翔太兄ちゃんだったんだ。数年振りの再会と知り、俺達は手を叩いて喜び、笑いあった。
💙「感動の再会ってやつだな!笑」
🖤「会ったとき覚えてなかったのに笑笑」
💙「いや!俺は覚えてたもんね!」
🖤「ほんと??笑」
完全にのぼせるまで、俺たちはサウナに入っていた。ほぼ毎日入っているとかいう翔太兄ちゃんと違って、俺はサウナに慣れていないから先に部屋を出た。
🖤「はぁ~まだあっつい…」
💚「あれ、蓮。やっほ~」
バスローブ姿で歩いてきたのは亮平兄さんだった。
💚「そういえば、蓮は春休み分の課題とかやった?新しい学校から出されてたよね」
🖤「あ…。忘れてた」
雪村家に馴染むことに一生懸命で、頭から抜けていた。俺はそんなに勉強が得意では無いのに。
💚「蓮は勉強とか得意?」
🖤「実は、けっこう苦手かも」
痛いところを突かれて俺が苦笑いで答えると、亮平兄さんは眼鏡のよく似合う笑顔で言った。
💚「よかったら俺が教えようか?」
🖤「え!いいの!!」
💚「もちろん!いくらでも成績上げてあげる」
🖤「ありがとう!」
その後、パジャマに着替えてから亮平兄さんの部屋へ行くと、兄さんはパソコンに向かっていた。
💚「あ、来たね」
🖤「よろしくお願いします」
💚「蓮は、何の教科がいちばん苦手?」
🖤「体育以外…笑」
💚「そっかそっか笑笑。じゃいちばん範囲が広い数学からやろっか」
🖤「うん!」
俺はワークを開いて亮平兄さんと机に向かった。兄さんに言われて問題を解き始めると、兄さんは丁寧で分かりやすく教えてくれた。
💚「ここは分配法則を使うから、+5も-になるんだよ」
🖤「そっか!」
亮平兄さんが教師顔負けの教え方で一緒に課題をしてくれたから、思ってたよりも早く進んだ。
💚「あ、もう10時半か。蓮、すごい頑張ったね!偉いよ~」
兄さんが俺をべた褒めにしながら頭を撫でてくるので、慣れない俺の顔はあっという間に真っ赤になった。
こんなに勉強が長続きしたことがないからか、俺は眠くてあくびが出た。
兄さんは少し笑って、部屋に行くように促した。
ベッドに入ると一気に眠気が襲ってきて、俺は直ぐに眠りに就いた。
次回は番外編です!
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