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⚠森ちょん注意⚠
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「あー、もう……。髪乾かすの、めんどくさい。自然乾燥でいいよ、森くん」
お風呂から上がった瞬間、僕のMPはゼロになった。
濡れた髪がTシャツの襟をじっとりと湿らせているけれど、そんな不快感よりも、
ドライヤーを持って、数分間、腕を上げ続ける。
その重労働の方が、今の僕にはどうしても耐えがたい。
僕はそのまま、ソファのクッションに顔を埋めた。
『ダメだよ、ちょんまげ。そんなんじゃ風邪ひいちゃう』
背後から、森くんのいつもの穏やかな声が降ってくる。
『風邪ひく』なんて、学校の先生みたいな正論。
……あ、森くんは本当に小学校の先生だった。
そんな、どうでもいいことを考えているうちに、
森くんが僕の後ろに腰を下ろし、膝の間に僕の体を引き寄せた。
その指が、頭のてっぺんで固まっている僕の「結び目」に触れる。
「あ、それ……明日また結ぶの面倒だから、そのままでいいんだけど……」
『だめ。結んだままだと、中までちゃんと乾かないから』
穏やかな声なのに、言い切りだった。
森くんの手つきは、拒む余地がないくらい丁寧で、迷いがない。
ヘアゴムが、ゆっくりと引き抜かれる。
きつく束ねられていた髪が解放されて、ぱさり、と頬に重たく落ちた。
「……ん」
『いい子だね。すぐ終わるよ』
ドライヤーのゴーッという音が、部屋の雑音を押し流していく。
温かい風が地肌をくすぐり、森くんの長い指が、髪の根元を何度もやさしく梳いていく。
眠気と温風のせいで、意識がふにゃふにゃと溶けていく。
指先が耳の裏を通るたび、背筋が少しだけムズムズするけれど、
抵抗する気力も、もう残っていなかった。
不意に、ドライヤーの音が遠ざかる。
森くんは僕の長い前髪を指ですくい上げ、
そのまま、目にかぶせるようにして止まった。
『……ちょんまげ、前髪、伸びたね』
前髪の隙間から、森くんの顔が覗く。
いつもなら優しく笑っているはずの瞳が、
今日はなぜか、奥の方で静かに僕を測っているみたいで。
「んー。だから結んでるんだよ。今は結ばないと邪魔だし。
……小学校の頃は、別の理由があったんだけどね」
半分閉じた目のまま、適当に返す。
そう言いながら、僕はいつもの癖で、手元を探った。
森くんは、僕が探そうとしたヘアゴムをそっと脇へ避け、
代わりに、僕の頭を撫でた。
『今日はもう、結ばなくていいよ。……そのまま寝よう』
「……えー。前髪邪魔。まあ、いいや」
僕は、考えるのをやめた。
髪を結んでいないと、視界がカーテンを引いたみたいに暗くて、重い。
「眠い……。森くん、僕もう寝る……」
ふらふらと立ち上がり、
解かれたままの髪を揺らしながら、寝室へ向かう。
背中に、まだ視線が残っている気がしたけれど、
振り返るのも、もう面倒だった。
コメント
1件
pixivの方で投稿した。短編集の中の話⑦です!! コメントお気軽に…( ・∀・)b