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愛玩

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愛玩

1 - 愛玩

♥

882

2024年08月01日

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赤愛され 通報×






毎日毎日、屑の始末をしていたから、自分たちの心がこんなにもどす黒くなっているのに気が付かなかった。

いや、気がついた時にはもう手遅れだったからそれに気づかないようにしていた。


情報収集、殺害、後始末


最初の頃はあまりの残虐さに吐き気がした


でもそんな思いもとっくの昔に消えていた


すれ違った人にどう殺そうかななんて考えてしまうほどになった自分に恐怖を覚えている


そんな時にある天使に出会った




ダンボールの中で震えながら子犬のような目でこちらを見ていた少年


身体中傷だらけ、人間、だと思うが頭には犬耳が生えていた


実験に使われたのか、それとも虐められたか


ちょうどペットが欲しかったななんて思いながら、手を差し伸べてしまった







俺らの拠点に連れて行った


まず一番話が通じる人にそれを見せに行った


桃)なな、ただいま

紫)おかえりさとみく…ん、


俺の手元に目を向け、不思議そうに見ていた


紫)なにそれ

桃)拾った

紫)人間…だよね

桃)お前人間?

)ぁ、ぅ


一応人間のようだ

小さく返事をして、まだ震えている

なーくんが頭を撫でようとすると、目をぎゅっと瞑った


きっと殴られると思ったのだろう


だけど優しく撫でられて、恐る恐る目を開けて少し経つとなーくんの手に自分の頭を押し付けた


俺に慣れているのか分からないが、なーくんにはもう慣れただろう


廊下からどたどたと走ってくる音が聞こえてきた

音に敏感なのかそいつはまた震え出した

どっちの耳塞げばいいんだろ、そう悩んでいたらなーくんが俺の腕からそいつを奪い、全体を覆うように抱きしめた


青)なーくんなーくんあのね!

黄)ちょっと、ノック


騒がしい双子がやってきた

どっちかがうるさい時はどっかが冷静

頼むから静かにしてくれ


桃)どうしたんだよ


謎の興奮気味のころん、落ち着けという感じで頭を少し叩くと代わりにるぅとが口を開いた


黄)じぇるくんが、とある組織の拠点の場所を見つけたらしいんです

そこに囚われている、被検体…その子が

青)すっごく可愛かったの!犬耳が生えててオッドアイで!


俺となーくんは目を見合わせて、そっと覆うように抱きしめていたそいつを2人に見せた


あの2人が同時に静かになる瞬間は初めてだ…なんて感動していたら、次の瞬間2人同時にうるさくなった

それも初めてだ


青)ぇ、え~!!!?!

黄)被検体…!どうして、?!


そいつは被検体、と聞いて顔を青ざめた

なんなら過呼吸も起こし始めた


青)ぁ、ごめっ、ど、どうしよ、?!

黄)ころちゃんが大声出すからッ、!

青)るぅとくんだって出てたじゃん、!


またいつものように喧嘩し出した2人なんか気にせずに、なーくんはそいつの背中を優しく叩き、大丈夫大丈夫と声をかけていた


流石だな…なんて思いながらその光景を見ていた


そういえば飯食べさせてないなと思い、落ち着いたから連れていった

そしてじぇるに見せるついでとしても


橙)君、組織の奴らが探してるって

青)じぇるくんまた過呼吸起こしたらどうすんの!

橙)いって、は、過呼吸、?


美味しいご飯を目の前にあの2人の話し声は耳には入っていないよう

るぅとはにこにこしながらそいつにおいし?と聞いている

こいつすっかり気に入ってんな


黄)君細いからたくさん食べなよ?

)ぁっ、ゃ

青)あ~!るぅとくんセクハラ!


そいつの服を少し捲ったらしい

赤は弱くて小さい手で抑えてるけど全然意味無い

ころんが代わりにキレている


一瞬ではあったが、そいつの腹は殴られた跡、なにかで切られた跡、それに注射の跡


黄)食べ終わったらそれ詳しく聞かせてね


また思い出して過呼吸を起こしかけたそいつになーくんがすぐに頭を撫でて安心させた





まぁ、予想はついていた

被検体と聞いた時から、そいつの仕草から


)毎日、人間じゃないからって、毒入れられてッ…

こんな見た目だけど、俺だって人間だし、痛いのは痛いし…苦しいのも苦しいよ…


悲痛の思いを打ち明けたそいつはまた震え出した

元の場所に返すつもりなんて拾った時から全く無かった

が、この話を聞いて更に無くなった


ここで俺たちと暮らしていつかその過去を忘れるだろうか

トラウマはそんな簡単に無くならないのは俺たちみんなわかっている

だから、あの双子が不敵な笑みを浮かべていたのを驚きもしなかった


泣き疲れたのか、今までの疲れが押し寄せてきたのかそいつはぐっすり眠っている


紫)で、何する気?君たち


なーくんはもう既にわかっていたらしい


黄)その組織の奴らを脅して殺します

黄)ついでにあの子の資料があれば持っておきたいですし


気に入ったものの情報は全て把握しておきたいるぅとは侵入を考えている


青)僕はあの子に酷いことをした人達を苦しめてその光景をあの子に見せたいな~

いい考えでしょ、?!

橙)却下、危険すぎる

青)え~!

紫)いい考えだと思う、でも確かにじぇるくんの意見も正しい

もし最悪の事態、俺たちがあの子を守りきれなかったら

黄)…あの子は誰にも渡さない、もう僕たちのですよ

青)そっか、じゃあしまっておこうか





あいつを独りにするわけにはいかないので、俺は留守番をすることになった

あいつらは、特に双子はノリノリで向かっていったし


)みんなは…?

桃)買い物だってさ


一応、俺たちの仕事は隠しておくということになった

血がついたまま帰ってきた時バレそうだけど

どう誤魔化すつもりなのか


)嘘きらい

桃)へ、?


突然そう言われて、久しぶりにどきっとした


)ごめん、昨日聞こえちゃったの


どう思うのだろうか、怖い?嬉しい?


)俺なんかにそこまでしてくれて、よく分からない

俺なにかしたっけ、

桃)…俺は、俺たちはただ君を助けたいだけだよ

なにかに利用するために信頼を得ようとしているわけじゃない、ただ、好きだから、?


少し照れくさいセリフを吐き捨て、あいつらがいなくて良かったななんて安堵していた

しばらくするとぐすぐすと聞こえて慌ててそいつを落ち着かせた


)ちがぅ、ごめんなさい、泣

初めて、だからっ、そんなに優しくされたの

桃)…ぅん、うん、ずっと大事にする


自分を満たす道具としてあんな薄っぺらい優しさで連れてきたのに、こんなに泣くほど嬉しいと伝えたれて誓うように言葉を出した









数時間後、4人が帰ってきた

何故かるぅとがにこにこしている

逆にころんは顔を顰めてるし


桃)お疲れ様、みんな

黄)ただいまさとみくん、それと

りいぬ!


そう呼ばれてそいつは目を大きく見開いた


赤)その、名前っ、なんで

橙)資料にそう書いてあったんよな、誘拐される前の名前まで見つけるのに苦労したよ

黄)僕とイニシャル一緒!

青)は~、むかつく


赤崎りいぬ

×月×日、下校時に何者かに誘拐

警察は捜索を続けているが手掛かりが見つからないままその事件は闇に葬られた

家族編成は父、母、兄の4人家族


赤)そうだ、俺誘拐されて…ぅ、ぐすっ、泣

お母さんっ、お父さんっ、、お兄ちゃん…泣


無事に家族の元に帰して、りいぬは幸せそうに家族と再会、りいぬの家族も泣きながら君を抱きしめるだろう











黄)はい、りいぬ、にこっ

赤)ぁ、ぇ、?


るぅとは微笑みながらりいぬに赤色の首輪をつけた

りいぬは戸惑い、疑問を浮かべながらそれに触れた


青)ねぇ、りいぬくんはどっちが大事?

僕たちりいぬくんのために頑張ったんだよ?

それなのに恩を返さずに家族の元に帰りたいって言うの?

赤)ぇっと、その、


りいぬは助けを求めるように俺に目線を送った




ごめんね、俺そこまで優しくないんだ


君の目線を無視するように部屋から出ようとしたら、なーくんに腕を引っ張られた


紫)連れてきたのはさとみくんでしょ?

さとみくんはどうしたい?


俺一人がりいぬを家族の元に返そう、なんて意見を述べても、きっと無駄だ

最悪の場合、双子に殺される


まぁ、返したいわけじゃない

ただりいぬの信用を失いたくないだけ


りいぬは優しいと思っている

いまのところ、あの双子よりもいまは信用が高い

だから助けを求めてきた


赤)やっぱり利用するためだったんだ、お前らもあいつらと同じだっ″、!

紫)実験とかそういうのしようと思ってないよ、けど悪いことしたら罰は与えるけど

赤)もう嫌いだッ…


そう言われた時、頭が真っ白になった

だって俺の方を見て言ったのだから


俺が顔を伏せていると、双子2人が動き出した


紫)感情任せに動くな

赤)かひゅっ、はっ、


なーくんがそう放つと双子2人は大人しくナイフをしまった

喉元ギリギリにナイフを当てられて顔を歪ませている


黄)すみません、

紫)…とりあえず、ご飯作ってあげるね


静寂に包まれた部屋、双子2人の行動になーくんの冷たくなった言葉に全てが息苦しくなる

肺が冷たくなる


俺よりもきっとりいぬの方がそうなっている

ゆっくりと、りいぬに近づき目線を合わせた


俺たちがこうしてしまったのに、ハイライトの無くした瞳のりいぬに酷く辛くなる


せめて、分かって欲しい

君が大事なんだ、大好きなんだ


桃)好きって言葉、嘘じゃないよ…嘘じゃないんだよッ


どうしても利用していない言葉に対して嘘じゃないとは言えなかった









あれから失った信用を取り戻すのに苦労した

薬を盛ろうとする双子を必死に止めた


そうでもしないと俺たちを好きになってくれない

そんなの分かってる


けど偽りの好きで満足したくなかった


必死に抱きしめて、愛して、優しくして


またあの時みたいに笑って見せてよ





4000文字以上長くなってしまった

不穏のまま終わらせてすみません

この作品はいかがでしたか?

882

コメント

14

ユーザー

もう好きすぎて😭♡やばいです😭 続きもみました~!ほんとに好みすぎて😭😭 ありがとうございます😭😭♩(??

ユーザー

今回もめちゃくちゃ好きすぎます🥹赤くんのこと気に入りすぎて最初は赤くんの味方のようだったみんなが独占欲とかから赤くんの意志とは違う行動をし始めて赤くんをただただ自分たちだけのものにしようとして、不穏だけどそれが最高でした〜!!黄くんが赤くんのこと特に好きなの可愛すぎました🤦‍♀️💛❤️桃くんの心の葛藤がすごくて。。律さん語彙力天才すぎ神です!!!

ユーザー

不 穏 な 空 気 が ま た い い 👍 私 に は 書 け な い か ら 尊 敬 す ぎ る 。

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