コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
3.私なんて、
なにもかとどうなってもよくなってから数日後
朝起きあがると
“ピリッ
稲妻のように頭痛が走った。
そうだ。悪夢を見たんだよ。
『お母さん。』
『どうしたの??』
『頭痛い。お休みしてもいい?』
『大丈夫?いいよ。連絡自分で出来る?』
『うん。ありがとう。』
電話か、
学校の電話番号を探し、スマホで電話をかける。
『こちら、桜のみち高校です。』
低い声が聞こえた。大嫌いな、笠井先生だ。
『2-2の東雲りんです。頭痛のためお休みします。』
『東雲さん?お母さんは知ってる?』
『はい。』
『わかった。お大事にね。』
“ガチャ
せんせい、?
今の私にはただの、定型文のお大事にでも。優しく聞こえた。
布団にこもった。
先生の声が頭から離れない。
あんなに嫌いなのに。
次の日学校がもう嫌になっていた。
『まま?』
『ん?頭まだ痛い?』
『ううん。違うの。話聞いて欲しくて。』
もう言うしかないと思った。1人で抱えられなかった
全て話した。こころが居なくなってからの事全部。
ママは私が行きたい時に学校行けばいい。って言ってくれた。
そこから私はたまに遅れて行く程度にしか学校へ行かなくなった。
学校に足を運んで職員室による。
『2-2.東雲です。遅刻届けもらいに来ました。』
『おはよ。調子どう?』
げっ。笠井先生か。
『んー、びみょー』
『何かあったら俺じゃなくても誰かに頼るんだぞ』
なんで。なんで先生そんなに優しくするの。
先生から離れたあと涙が止まらなかった。
クラスに入れないよ。これじゃ。
3.定型文
『失礼します。2-2東雲です。遅刻届け取りに来ました。』
『東雲。おはよ。遅刻届け書くから待ってろ』笠井先生。
呼び捨て、、?
いや、この人嫌いなの!なんで少し嬉しくなってんの?
『はい。遅刻届け、』
『ありがとうございます。』
階段上がって教室の前に着く。
急に聞こえてくる。空耳だけど。
来んなって言ってくる同級生の声。
途端に怖くなりクラスに入れない。
『はぁ、はああ、ぁ』
あれ、呼吸って、、どうするんだっけ。
『はぁ、た、たす、けえ、えて、』だれか。
お願い。
階段から人が駆け上がってくる音がする。
たすけて。
こっちには来ず上にあがってしまった。
『はぁ、ああ、ぁぁ、』
しんどいよ。
私はしゃがみこんでしまった。
『東雲?』
ずっと聞きたかった。笠井先生の声。
『東雲!おい!大丈夫か!?』
『はぁ、ぁぁ、せんせ、っ、た、たすけぇ、て、いきって、、どう、するんだっ、け、、はぁはぁ』
『落ち着いて!ちょっと我慢しろよ。』
“ひょいっ
私の体が宙に浮いた。
背中と足の辺りに先生の手が。
お姫様抱っこされていた。
保健室まで遠かったので、職員室の前の多目的室のような所に入り椅子に座らせてくれた。
先生は何もいわず、ただ私の背中をさすり続けてくれた。
『は、はぁ。少し落ち着きました。ありがとうございます。』
『東雲?いつもこんなに苦しんでるのか?』
『いえ、初めてでびっくりしちゃって、』
『そうか。』
やっぱそうだ。この先生はそーゆー人。冷たいの。
お願い、抱きしめてよ。孤独で死にそうだよ。
大嫌いなのに。
私は1度も先生の顔を見ないで、俯いていた。
だって。泣いてる姿なんて見られたくないんだもん。
『クラス上手くいってないか、?』
『うん。』
『親は知ってる?』
『うん。』
先生ごめんね。いまはうんしか言えない。泣いてることバレたくないの。
太陽の光が雲で隠れて、少し暗くなる。
教室には電気は付いていない。
暗闇がかった教室に先生と2人。
涙を見せたくなかった。
先生。少し優しくしてよ。
無言が続く。
私ってなんのために生まれてきたんだろう。
『東雲。何かあったら言え。』
そんなの分かってる。先生だから。一応定型文を貼っつけた言葉を生徒に言ってるんでしょ。
先生たちっていつもそう。
言うことやること全てが型にはまってる。
定型文になってるんだよ。
『また、そうやって。』
『ん?東雲?』
『ううん。なんでもない』笑顔になって先生と目を合わせる。
『先生。ありがとうございます。』
『おい。』
はぁ。もう見たくない。なんでそんな寂しそうな目をするの。
先生の瞳に見えるのは涙?なわけないか。私が泣いてるから滲んでそう見えるんだ。
先生の前で泣きたくないよ。
『泣きたかったら泣けるうちに泣いとけ。』
私が涙を拭うとたしかに先生の瞳が切なく見える。。
『せんせ?』
『ん?お前の気持ちは痛いほどわかる。』
同情ならいらない。
いつもならそういうだろう。でも今回は何か違う
初めて先生を、一人の男として見てしまった。
この人も人なんだ。そうだよね。定型文から破られた先生はなにか切なそうに窓を眺めてた。
何だか、いつも怖かった先生の弱い所を見てしまったような気がした。
『教室まで送ってくよ。』
『ありがとうございます。』
先生は教室まで静かに送ってくれた。
送り出すときに小声で
『またいつでも話しにおいで。』と言ってくれた。
私は笑顔で頷きクラスのうるさい渦の中に入った。