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4.笠井真斗。
つまらない人生。
起きて。
飯を食って。
車で学校に行って。
歴史教えて。
職員会議出て。
帰って寝る。
かれこれ10年以上こんな人生だ。
生徒にも別に興味が無い。
ただ。
10年前のあの日をずっと忘れられない。
何もかもが壊れた。12/24
『先生っ!せんせー!』
『平井さん?』平井さんは1-1の代表的存在の子。
『先生に話があるの。』
『なに?放課後とかの方がいいの?』
『ううん!今でいいの!あのね。私転校する。』
『え?』
『それでさ。先生にりんのこと託したくて笑』
『どういう事?』
『私が居なくなったらりん。辛い思いしないんだよ。あのね。私が居なくならならないと。りんをいじめるって、言われたの。』
『誰に?』
厄介なことに巻き込まれるかもしれない。
『それは。いえない。ごめん。』
『そうか。』
『だから。先生、りんのことよろしくお願いします。』
『わかった。』
今年度最後の昼休みの唯一静かな教室
沈黙だけが続いた。
今年は2-1の担任を務めることになった。
まあまあうるさくて、高二の中だるみ時期には最悪とも言えるクラスだと思う。
『笠井先生!!!』
やっぱ来たか。東雲りん。
『東雲さん?走るなよ?』
『こころは!???どこ行ったの?』
『あ、平井さんは転校したよ。』
『はぁ?え?聞いてないし!!』
『ねぇ、嘘つかないでよ。お願いだから。こころいないと私生きてけないよ。』
東雲。ごめんな。
『東雲さん!大袈裟。何言ってんの。他に友達いるでしょ?』
『最っ低。何も知らないくせに!』
そうだ。俺は最低なんだ。
平井さんの言葉通りにしないといけないのに。
どうしたら助けてあげられるかが分からない。
そして、あんなに酷い言葉を言ってしまった。
教師失格…か。
それから。俺は東雲さんに話しかけなかった。
正確に言うと、話しかけれなかった。
それでも東雲さんは、やっぱりクラスで友達とも仲良くしてるように見える。
話す相手に困ってる様子もなく。
二学期が始まり、あいつは休むことが増えた。
最初はたんなる体調不良だと思ってたし、そう聞いていた。
でもそれが違うって確信着いたのはあいつが自分から学校に休み連絡を入れてきた日だ。
明らかにいつもより暗い。具合悪いのも分かるが、声が震えていて電話なのに相手がどれだけ行きたくないかが伝わってくる。
この日から俺はあいつが来たら尽くすって決めたんだ。