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#廃校past complex
ユメミリ@夏の絶不調祭り
315
るる
74
#闇
ruruha
1,447
ソフィアは静かに話し終えた。
雨音だけが、廊下へ静かに響いている。
しばらく誰も口を開かなかった。
やがてソフィアは、困ったように笑う。
「……聞いて後悔した?」
少し間を置いて、
「引いちゃった?」
視線を逸らしながら、小さく続ける。
「それとも……。」
「いいえ?」
リーナは即座に答えた。
「……むしろ。 あなたがいつもヘラヘラ笑ってる理由。」
「少しだけ分かった気がするわ。」
「……。」
ソフィアは目を丸くする。
「……あんた。」
リーナはふっと笑った。
「本当に愛想笑いが下手ね。」
「……えぇっ!?」
ソフィアは思わず声を上げる。
「そんなことないでしょ!?」
「あるわよ。」
リーナは肩をすくめる。
「最初から分かってるに決まってるじゃない。」
「私を舐めないでちょうだい。」
「えぇ……。」
ソフィアは頭を抱える。
「ショック……。」
「ふん。」
リーナは少しだけ口元を緩めた。
「でしょうね。」
二人の間に、小さな笑いが生まれる。
その空気は、今までより少しだけ柔らかかった。
「……ねぇ。」
ソフィアが静かに呼ぶ。
「何?」
「みんなには……このこと、言わないで。」
少しだけ震える声だった。
リーナは迷うことなく頷く。
「はぁ?」
「…そんなの、言われなくても分かってるわよ。」
そして優しく続ける。
「……あんたが話したくなるまでは。」
「私は何も言わない。」
ソフィアは安心したように笑った。
「……ありがと。」
「でも。」
リーナは人差し指を立てる。
「一つだけ条件があるわ。」
「何?」
「一人で抱え込むのは禁止。」
リーナは真っ直ぐソフィアを見る。
「……私だって。」
「聞くことくらいならできるから。」
ソフィアは少しだけ目を潤ませながら笑う。
「……うん。」
「それくらい…わかってるよ。」
雨はいつの間にか弱くなっていた。
◇
「……そういえば。」
リーナが思い出したように言う。
「あなた… あと一週間で消えるって言ってたわよね。」
「もう残り三日だけど。」
「あー。」
ソフィアは頬をかく。
「それ言おうと思ってたんだけど……。」
「多分。 私、半神だから……。」
「……はぁ?」
リーナが固まる。
数秒後。
「……はぁ!?」
屋敷中に響くほどの大声だった。
「だから。」
ソフィアは笑う。
「ここに住んじゃおっかな〜。」
「ちょっと!!」
リーナは思わず立ち上がる。
「それをもっと早く言いなさいよ!!」
「ごめんねー。」
悪びれない笑顔。
「はぁ……。」
リーナは深いため息をつく。
「まーた会議開かなきゃじゃないの……。」
「会議って。」
ソフィアは目を輝かせる。
「なんかかっこいい。」
「他人事だからそんなこと言えるのよ……。」
その時だった。
「あ、いた!」
廊下の向こうからテルが走ってくる。
「リーナさーん!」
「あれ、テルさん。どうかしたの?」
「あ、ソフィアさんも!」
テルは嬉しそうに笑う。
「今からみんなでトランプ大会第二回戦やるんですけど。」
「……来ます?」
「…はぁ。」
リーナは呆れたように笑う。
「あなたねぇ……。」
「何ちゃっかり楽しんじゃってるのよ。」
「うっ……。」
テルは苦笑する。
「い、息抜きですよ。」
「息抜き……。」
「私はやらな……」
「え〜?」
ソフィアが袖を軽く引っ張る。
「テルさんの言う通りだよ。」
「せっかくだしやろうよ!」
「……。」
リーナは少しだけ考えて、
やれやれと肩をすくめた。
「……仕方ないわね。」
「今回だけよ。」
「やった!」
椅子から立ち上がったその時には、
足はいつの間にか動けるようになっていた。
◇
ロビーでは、みんながテーブルを囲んで待っていた。
「ふふ。」
フローがカードを手に持って微笑む。
「一回目の試合は白熱したね。」
「うん…!」
ニアも元気よく頷く。
「本当の大会みたいだった!」
ルカが首を傾げる。
「…ババ抜きに大会ってあるのかな…?」
「んー。」
ニアは少し考えてから笑う。
「分かんない!」
「でもあったら面白そう…!」
「ババ抜きはリンちゃんとフローお姉さんが強すぎるにゃ……。」
ラテは肩を落とす。
「我は。」
鈴凛が胸を張る。
「ババ抜きの達人アル。」
「また新しい称号が増えたね……。」
フローはくすっと笑った。
「あっ!」
ニアが手を振る。
「リーナちゃん! ソフィアちゃん!」
「もー… 遅いよ〜!」
「待ちくたびれたにゃ!」
ラテが尻尾を揺らす。
「テルが七回シャッフルしたアル。」
「いや。」
テルは苦笑した。
「暇だったんですよ……。」
「……八回だよ。」
ルカがぽつりと言う。
「数えてたんですか?」
テルが困惑したように。
「なんで……?」
「……なんとなく。」
「一回くらい誤差アル。」
「それ誤差かなぁ……。」
ニアが笑う。
その時。
「…あれ?」
ニアがソフィアを見る。
「ソフィアちゃん。」
「どうしたの?」
フローも優しく尋ねる。
「なんだか嬉しそうだね。」
「いいことでもあった?」
ソフィアはみんなの顔をゆっくり見渡した。
優しく見守る人。
ツッコミを入れる人。
マイペースな人。
ちょっと変わった人。
暖かくひだまりのように笑う人。
その全員が、自分を当たり前のように迎えてくれている。
胸の奥が、じんわりと温かくなる。
「……うん。」
今度は、作った笑顔じゃない。
自然に口元が緩んだ。
「ねぇ。」
「私も混ぜて?」
「もちろんにゃ!」
ラテが一番に答える。
「私も、勝負に乗ったからには負けないわよ。」
リーナも椅子へ腰掛ける。
「じゃあ…はい、始めますよ?」
テルがカードを配る。
窓の外では雨が上がり、
雲の隙間から柔らかな夕日が東棟を照らしていた。
その光の中で響くソフィアの笑い声は、
ようやく見つけた”本当の笑顔”だった。
コメント
2件
作者コメント┊︎ リーナちゃんはイケメンです。
いやあ……もう、本当に良かったです。リーナがソフィアの作り笑いを見抜いてたっていうのが、最初の会話から効いてますよね。「言われなくても分かってる」って言いながら「一人で抱え込むのは禁止」って付け加える優しさが、じわっと来ました。それでいて最後のトランプ大会でソフィアが自然に笑えるようになってるのが、この一話の全部を物語ってる感じがして、胸がぎゅっとなりました。夕日が差す中での笑い声、素敵な締めくくりです🌷