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琥珀
51
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#からぴちBL
りと。@就寝中
2,226
第15話『ずっと先の未来も、君と』
翌日。
昨日の夜、なおきりさんと交わした約束を思い出していた。
『……ずっと、ですよ?』
『……約束する』
……うわあああああ!!!
ya「……っ、思い出すな俺!!」
ベッドの上でひとり、顔を覆う。
いや、だってさ。
あんなこと言われたら、意識するに決まってるじゃん。
しかも。
『では、明日はもっと甘くしましょうか』
……あの人、ほんとに何するつもりなんだよ。
そんなことを考えていた、そのとき。
スマホが震えた。
画面を見ると、そこには見慣れた名前。
なおきりさんだった。
no『ゆあんくん、今日の夕方は空いていますか?』
ya「……え?」
夕方?
なんだろう。
昨日の今日で、またデートのお誘い?
いや、嬉しいけど。
嬉しいけどさ。
ya『空いてるけど、どうしたの?』
少しして、返信が来た。
no『よかったです』
no『もしよければ、僕とデートしてくれませんか?』
ya「…………」
ya「……っ、は!?」
思わずスマホを落としかけた。
いやいやいや。
昨日もデートしたじゃん!?
しかも、俺たち隣同士に住んでるんだけど!?
わざわざメッセージで聞かなくたって、いつでも会えるのに。
……ほんと、こういうところ。
ya『いいよ』
ya『てか、隣なんだから直接誘えばいいのに笑』
送信。
すると、すぐに返事が来た。
no『ふふ。そうですね』
no『でも、今日はちゃんと約束をしたかったので』
ya「……約束?」
なんだそれ。
また意味深なこと言ってる。
ya『……なんか隠してる?』
no『さて、どうでしょう?』
ya「絶対なんかあるじゃん……」
スマホを見つめながら、ため息をつく。
でも。
ya『何時にする?』
no『16時に迎えに行きますね』
ya『りょーかい』
送信してから、俺はベッドに倒れ込んだ。
ya「……楽しみ」
……ほんと、俺って単純。
でも。
夕方が来るのが、待ち遠しかった。
16時。
ピンポーン。
インターホンが鳴って、俺は玄関へ向かった。
ドアを開けると、そこにはいつも通りのなおきりさん。
no「こんにちは、ゆあんくん」
ya「……こんにちは」
no「準備、できていますか?」
ya「できてるけど……」
なおきりさんの顔をじっと見る。
ya「……今日、どこ行くの?」
no「秘密です」
ya「えー!?」
no「ふふ。着いてからのお楽しみですよ」
ya「絶対なんか企んでる……」
no「そんなに警戒しないでください」
ya「だって、なおきりさんだし」
no「それはどういう意味でしょう?」
ya「そのまんま!」
なおきりさんは楽しそうに笑った。
それから、自然な動作で俺の手を取る。
no「では、行きましょうか」
ya「……うん」
繋いだ手が、少しだけ熱かった。
電車を降りて、しばらく歩く。
潮の香りがした。
ya「……え?」
目の前に広がったのは、どこまでも続く海だった。
ya「……海だ!」
思わず声が弾む。
no「はい」
ya「え、すご! なんで海!?」
no「ゆあんくんと来たかったので」
ya「…………」
……まただ。
また、さらっとそういうこと言う。
ya「……ほんと、ずるい」
no「何がですか?」
ya「なんでもない!」
なおきりさんは、くすくすと笑った。
ふたりで砂浜を歩く。
寄せては返す波の音。
頬を撫でる、少し冷たい風。
隣には、大好きな人。
それだけで、なんだか幸せだった。
ya「……海、久しぶりに来たかも」
no「そうなんですか?」
ya「うん。なんか、こういうのいいね」
no「僕もそう思います」
少し歩いてから、俺はふと思い出した。
ya「……そういえばさ」
no「はい?」
ya「昨日、これから先の未来の話したじゃん」
no「ええ」
ya「……あれ、ほんとだからね」
言ってから、急に恥ずかしくなる。
ya「朝起きたらなおきりさんがいて、一緒にご飯食べて……くだらないことで笑って……」
ya「……そういう毎日がいいってやつ」
no「……はい」
ya「……だから、その……」
うまく言葉にできなくて、俯いた。
すると、繋いだ手に力がこもった。
no「覚えていますよ」
ya「……え?」
no「ひとつも忘れていません」
なおきりさんは、優しく微笑んだ。
no「君が話してくれた未来を、僕もずっと考えていましたから」
胸が、ぎゅっとなった。
ya「……そっか」
それ以上、何も言えなかった。
だって。
嬉しすぎたから。
気づけば、空が少しずつオレンジ色に染まっていた。
海に反射する夕日が、きらきらと輝いている。
ya「……うわ、綺麗」
思わず足を止めた。
no「……本当ですね」
隣を見ると、なおきりさんは海ではなく、俺を見ていた。
ya「……なに?」
no「いえ」
少しだけ、困ったように笑う。
no「……やっぱり、今日にしてよかったなと思いまして」
ya「……今日?」
no「はい」
なおきりさんは、繋いでいた手をそっと離した。
ya「……なおきりさん?」
不思議に思って顔を上げる。
すると。
なおきりさんが、俺の正面に立った。
いつもの余裕たっぷりの笑顔。
……のはずなのに。
今日は、少しだけ違った。
どこか緊張しているような。
それでいて、真剣な顔。
no「……ゆあんくん」
ya「……なに?」
no「昨日、これから先の未来について話しましたよね」
ya「……うん」
no「楽しいことも、辛いことも。喧嘩をする日も、思い通りにいかない日も……きっと、たくさんあると思います」
no「それでも、僕は君と一緒にいたい」
no「朝起きたときに、君が隣にいて」
no「一緒にご飯を食べて、くだらないことで笑って」
no「疲れた日には、お互いに頼って……何でもない一日を、ふたりで大切にしていきたいんです」
ya「…………」
no「君が嬉しいときには一緒に笑って、悲しいときには隣で支えたい」
no「格好悪いところも、情けないところも……これからは、隠さず君に見せていきたいです」
なおきりさんは、少しだけ息を吸った。
no「……そして、君のそんな姿も、僕に見せてほしい」
no「何年先も、何十年先も」
no「君と一緒に、歳を重ねていきたい」
心臓が、うるさい。
何か言わなきゃいけないのに。
声が出なかった。
すると、なおきりさんは小さく笑った。
no「……本当は、もっと格好よく伝えるつもりだったんですけどね」
ya「……っ、ふ……」
思わず笑ってしまった。
だって。
こんなときまで、格好つけようとするんだもん。
no「……笑わないでください」
ya「……ごめん、だって……」
笑いながら、目の奥が熱くなる。
なおきりさんは、そんな俺を見て、少しだけ安心したように微笑んだ。
そして。
no「……ゆあんくん」
ya「……うん」
no「僕と、結婚してくれませんか?」
…………。
………………え?
ya「…………は?」
no「……ふふ」
ya「……え、ちょ、待って……」
頭が、真っ白になった。
結婚。
結婚って。
え、結婚!?
ya「……っ、なおきりさん……」
no「はい」
ya「……それ、ほんと……?」
no「もちろんです」
なおきりさんは、まっすぐ俺を見つめた。
no「昨日、君と約束したでしょう?」
no「ずっと一緒にいる、と」
no「……僕は、その約束を、これからの人生すべてで守りたいんです」
涙が、ぽろっと落ちた。
ya「……っ、ばか……」
no「……はい」
ya「……そんなの……」
もう、言葉にならなかった。
嬉しくて。
大好きで。
この人と出会えてよかったって、心から思った。
ya「……当たり前、じゃん……」
震える声で、なんとか伝える。
ya「……俺だって……ずっと、なおきりさんと一緒にいたい……」
ya「……結婚、したい……っ」
なおきりさんの目が、少しだけ見開かれた。
それから。
今まで見たことがないくらい、幸せそうに笑った。
no「……ありがとうございます」
ya「……っ、なんでお礼なの……」
no「嬉しくて、つい」
ya「……もう、ほんと……」
涙を拭おうとした、そのとき。
なおきりさんが、そっと俺の頬に触れた。
no「……ゆあんくん」
ya「……ん……?」
no「……キスしても、いいですか?」
……ずるい。
こんなときまで、ちゃんと聞くんだ。
俺は、涙を浮かべたまま笑った。
ya「……いいよ」
その返事を聞いて、なおきりさんがゆっくり顔を近づける。
そして。
そっと、唇が重なった。
優しくて。
あたたかくて。
大好きな人の、キスだった。
離れたあとも、なおきりさんは俺の額に自分の額をそっと寄せたまま、微笑んでいた。
no「……愛しています、ゆあんくん」
ya「…………っ」
no「これから先も、ずっと」
俺は、なおきりさんの服をぎゅっと掴んだ。
ya「……俺も、大好き……」
ya「……ずっと、一緒にいてね……?」
no「……もちろんです」
もう一度、今度は俺から抱きついた。
なおきりさんも、優しく抱きしめ返してくれる。
夕日が、海の向こうへ沈んでいく。
ふたりの影が、砂浜に長く伸びていた。
昨日、夜景を見ながら交わした約束。
何年先も、何十年先も、一緒にいたいという願い。
それが今、ひとつの約束になった。
これから先。
きっと、楽しいことばかりじゃない。
喧嘩をする日も、泣いてしまう日もあると思う。
それでも。
この人となら。
どんな未来だって、歩いていける。
そう思えた。
ya「……なおきりさん」
no「はい?」
ya「……明日からも、隣にいてね」
なおきりさんは、一瞬驚いたあと、優しく笑った。
no「……ふふ」
no「明日からも、ではありませんよ」
ya「……え?」
no「これから先の、ずっとです」
……ああ。
ほんとに。
この人には、敵わない。
ya「……っ、もう……!」
そう言いながら、俺はもう一度、なおきりさんにキスをした。
今度は、俺から。
夕焼けに染まる海のそばで。
大好きな人と、これから先の未来を約束した。
何年先も。
何十年先も。
その先も、ずっと。
俺の隣には、なおきりさんがいる。
そして、なおきりさんの隣には、俺がいる。
それが、俺たちの選んだ未来。
――第15話 END
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました!!😭
私の作品を、こんなにたくさんの方に読んでいただけて、本当に嬉しかったです!!
最後までふたりを見守ってくださって、ありがとうございました🥹
これからも、ゆあんくんとなおきりさんが、ずっと幸せでありますように。
ーーーーーーーー END ーーーーーーーー
番外編(えっっっっっち)出します!
あと、新連載始まるのでお楽しみに!
Next♡100
コメント
3件
初コメ失礼します!もう、、神ですね(語彙力消えました!)まじでこの作品神すぎる😭この作品に巡り会えてほんとに良かったァ!(;_;)
うわあ……最終話、胸が熱くなりました。海辺でのプロポーズ、ゆあんくんが「当たり前じゃん」って泣きながら返すところ、もう最高でした。昨日の「ずっと一緒にいる」っていう約束が、今日の「結婚しよう」に繋がる構成がとても美しい。なおきりさんの「キスしてもいいですか」って毎回ちゃんと聞くところ、ああいう誠実さがゆあんくんを安心させるんだろうな。夕日に染まる砂浜で抱き合うふたりの姿が目に浮かびます。お互いを想う気持ちがじんわり伝わってきて、読んでいて幸せな気持ちになりました。Pengin-dayoさん、素敵な物語をありがとうございます!番外編も楽しみにしてますね。