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防護服。この服に隙間なんて一切ない。顔も覆われとても暑い。そして俺は実験室のドアノブを触った。実験室には二人いた。当然だが防護服を着用していた。
「成田さん。遅かったですね〜!まあ来てよかった。ちなみに僕は増田です。ご存知でしょうけど」男はそう答え俺の目をずーっと見ている。
「こんにちは〜。久保田です。今日はよろしくお願いします」そうピンクの縁のメガネを掛けた女性が言った。
「どうも。成田です。今回はゾンビウイルスを使用しその感染力と死亡の可能性があるかどうかを調べます。くれぐれも勝手な真似はしないようお願いします」俺はそうぶっきらぼうに伝えた。
この実験で俺はゾンビウイルスを消し運命を変える。俺には猶予がない。明日死ぬ。だったら今日を満喫する。きっと俺が妻に与えてきた影響は今日でどうこうできる問題じゃない。もしこれで実験が失敗したら俺は生きる。生きたい。ゾンビウイルスを抹消し運命を絶対変える。そして俺は前田蓮として友人といっぱい思い出を作る。だから俺は―――。
俺の目の前にいるのはネズミ。ゾンビウイルスに感染している。体がどんどんと緑になってゆき腐敗が進む。そうなったところでゾンビネズミが入っている檻にもう一匹ネズミを入れる。そしてゾンビネズミがどうなるのかそれが目的。そのときだった。久保田が檻にネズミを入れる。すると、ゾンビネズミがそれに反応しとてつもない速さで久保田の指を噛んだ。そしてそのままゾンビネズミは檻から飛び出た。まずい。このままではこのゾンビネズミが世界をゾンビにしてしまう。俺は必死になりゾンビネズミを追いかける。
「このおおお!」
俺は思い切ってゾンビネズミに向かって飛び込んだ。そのおかげでゾンビネズミを捕らえることに成功した。
「はあはあ」
へとへとになった俺は息が切れていた。俺がゾンビネズミを檻に戻そうとしたとき。檻の方に目をやると久保田がゾンビネズミに噛まれたところをかがんで見つめていた。俺は特に気にせず檻にゾンビネズミを入れ鍵を掛け久保田の方を見ると。「うう…うう…」という声を発していた。
「大丈夫ですか?」
俺が久保田を心配しかがもうとしたとき何かを察した増田が「離れて!」と俺に向かって大声で叫んだ。
「は?」俺は思わずそう言うと増田は俺の腕を引っ張り久保田から離す。その瞬間、久保田は立ち上がり俺に襲いかかった。俺はギリギリでそれを避ける。
「あのネズミ、久保田さんの手袋を貫通しましたよ」
俺と増田は横にある準備室に入った。
「はあはあ」
「とにかく、報告をしないとですよ。俺、行ってくるのでその間ここで待っててください」
「ああ。頼んだ」俺は増田からそう言われこの部屋で待つことにした。最初は。俺は増田が部屋から出ていくのを確認するとすぐさま刃物を探した。
「あった!」引き出しに入っていたカッターナイフを手に取り俺は準備室を出て実験室へと戻った。俺の気配に気づいていない久保田を俺は背後からカッターナイフで切った。一回では倒せなかったため俺は何度も何度も切り刻んだ。するとようやく久保田はその場で倒れた。俺はそのままゾンビネズミまで手にかけようとした。だが、「やめてください!」帰ってきた増田に止められた。
「はあ…なんで止める。こいつを殺せばゾンビウイルスはなくなるだろ」
「駄目です。ゾンビウイルスのサンプルはこのネズミに注入したものと後一個。逆に研究できなくなり…増えてしまう。上から、このネズミはこれから研究すると言われました。なので檻を変え研究室へ移します……」
それから俺は増田の言っていることが聞こえなくなった。声が聞こえたのはそれから数時間した後。俺は医務室のベットの上で横になっていた。先生からは「疲れでしょう」と言われた。増田の話によるとあの後、久保田の遺体はすぐに腐敗し原型がなくなり焼かれた。そしてネズミはこれからの研究に使われるらしい。
数時間後。俺は先生の判断により家へと帰されることになった。タクシーで家へと向かった。家へ着き鍵を開け部屋に入った。すると奥から妻が現れ「お早いですね」と言った。
「ああ。少し、体調を崩してな」俺はそう言いカバンを妻に渡しリビングに向かった。
俺は計画がある。俺はキッチンに行き尖った銀色のものを取り出し妻が帰ってくるのを待った。
「お昼は…彰さん…?」俺は生きたい。生きるためには妻を殺すしかなかったのだ。ゾンビウイルスは蔓延させない。俺は運命を変え、友人と思い出を作る。