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あぁ……面白い!本当に面白いッ!!!ここに来てから面白いことばっかりだ!!
半ばスキップをしながら、目的地へ向かう。
「ねぇ!!!」
「ボクまた面白い子見つけたよ!!」
*「ソれをわざわザ伝ェに来* タの?」
「だって君は特別だもん!面白いことは一緒に聞いて欲しいし、単純に君といると楽しいんだ!」
「アはハ,きミはおもシロ,ォもしロなア。。」
動かなくなってもボクに応えてくれる君が大好きだ!
「君の話も聞かせて欲しいな!シェニー!」
*「ふフ…、きミホどユか、いじャなィケド…ね、…*」
楽しい!楽しい!ずっと、もっと話していたい!君と、もっと…!
長い時間が過ぎて…気付けば、地べたに身を投げ出していた。してやられた。また君の能力に振り回されるとは。…ただ何も言わず、腕で目元を覆う。オドオドした声が聞こえてくる。
「…あの、すみません…、シハさん……。解かなきゃとは思ってたんですけど、あまりにも……幸せそうで…。本当にごめんなさい…。」
…悪い子じゃ無いんだろうけど、本当に厄介だよね。
「……いいよ、仕方ないし…。」
重い口を開く。本当にどうしようもないのだ。横目でその臆病な子を見れば、気まずそうにビクビクと震えている。
「君さ、いい加減名前とか…」
「!!…ごめんなさい!…それだけは…!」
…ノゾムくんといい、この子といい、そんなに名前が大事かね……、あ、ノゾムくんが言ってたな。あのヒトの呼んでくれた名前だとかって。
「呼び名とかつけちゃダメ?」
「呼び名…ですか?」
「……いい、ですよ。いつも迷惑かけちゃってるし…。」
「じゃ、ずっと名前教えてくれないからもう、ナナシって呼ぶね。」
「…は、はい。」
ずっとオドオドしてるの、面白くないな…、あ、いいこと思いついたかも。
「ナナシくんさ、先生になる気ない?あとついでにスパイも。」
「先ッ、へっ、スパイ!?」
「先生もスパイも大したことじゃないよ…。」
「先生はここに新しく来た子に能力の使い方にアドバイスとかくれればいいだけだし、スパイは診療所のハジメくんのこと調べて欲しいだけだよ。」
「えっ、風文さんとケンカしたんですか?」
「いや別に。新しく来た子が面白い子でさ。なーんかハジメくんと一悶着ありそうなんだよね。」
「ボクは面白そうな事にしか興味ないし。今更ハジメくんの信頼なんて、ボクには必要ないし。 」
「ほら、ボクって面白い人エコヒイキするからさ。だから今回はナナシくんの能力と経験をせっかくなら有効活用したいわけ。」
「はぁ…。わかり…ました。」
嫌そーな顔。嫌なら断ればいいのに。…こーゆうのも、人間の感情?…よく分かんないや。
「じゃ、あとよろしくね、ナナシくん。ボクやる事あるし。」
「…あっ、……。」
呆然と立ち尽くすナナシくんは、少し何か言いたそうにしていたが、口をつぐんでしまった。……そういうとこ、ホント面白くない。
…忘れかけていた本当の目的地へ、軽くない足取りで向かう。
ボクにとって、最も厄介な悪者たち……、
Panther & Rebellion、彼らはそれをP&R(パンドラ)と呼ぶ。…まさに豹と反乱だ。
奴らはこの世界の主に荒涼とした砂漠や荒野、乾いた山岳地帯等を活動拠点とした組織だ。彼らには彼らなりの統治がまかり通っている様だったから、どうでもよかったんだけど…。
最近P&Rに入った子の能力で、あちら側の世界…つまり表側の世界から、物品をくすねてこちら側で売りさばいてるっぽいんだよねぇ…。要はくすねてたのかどうかが問題で、それの事実確認と、事実だった場合の対応をしなくちゃ行けないんだよね。
…こーゆうのって、ボクじゃないとダメなの?まあ、確かにボクは人と話すのは得意だけど。
あそこのボス、ねちっこくて嫌いなんだよねぇ……。
P&Rの本拠地がある街も治安は良くないから、本当にはそこもそこでしっかり管理したいんだけどね。
何かと時間を取られ、もうすっかり夜も更けた街には刺すように力強いネオンがきらめく。だが、P&Rにはそんなネオンでも表立って照らせないような残虐さが見え隠れするのだ。
表通りを外れれば、そこはもう奴らの縄張りも同然。少なくとも、全て見られているくらいには思った方が身のためだ。
マンションの乱立するこの街の裏側、そこにP&Rの本拠地がそびえている。
軽く深呼吸をして、入り口の寂れたドアにノックをする。
こん…こん…ここん…
ボクはこれしか知らないが、これはP&R外部からの来訪者のノックなんだそうだ。
「…ハイレ。」
少し耳に障る機械音声がボクを誘う。