「ごめんなさい! お断りさせていただきます!」
小春の目の前には今まさに告白しようとしている少女がいた。
この子は確か隣のクラスの子だったかな? 何度か見かけたことがあるけど話したことは一度もなかったと思う。
ちなみに彼女の名前は知らないけれど顔だけは知っているくらいの関係ではある。
小春の目の前には今まさに告白しようとしている少女がいた。
この子は確か隣のクラスの子だったかな? 何度か見かけたことがあるけど話したことは一度もなかったと思う。
ちなみに彼女の名前は知らないけれど顔だけは知っているくらいの関係ではある。失礼なので自己紹介しておいた方が良いかもしれないね。
「あの……えっと……突然呼び止めて申し訳ありませんでした。でもどうしても気持ちを伝えたくて……それで、その……好きになってしまいました」
顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしている彼女を見るとこちらまで照れてしまいそうになる。
だけどここはちゃんとした対応をしておかないと後々大変なことになるのは目に見えているので、真剣に対応させてもらうことにするよ。
「ありがとうございます。とても嬉しいです」
「じゃあ!?」
嬉し恥ずかし初体験! ドキドキの初デート。
恋人同士となって初めての二人きりのお出かけ。
場所は遊園地の定番中の定番。
絶叫マシンで有名な某テーマパーク。
今日こそは手を繋ぐぞと意気込んでいたのだが……。
「えへへー♪」
隣ではしゃぐ彼女の笑顔を見るだけで心の底から幸せを感じてしまい、結局手を繋げずに終わってしまった。
「うふふーん♪」
そして彼女は僕の腕に抱きつきながら鼻歌を歌い始める始末。
この様子だとおそらく沙耶架さんはもう来ていると思うけど……。
体育館の裏に到着した小春はキョロキョロと周囲を見回してみたのだが、まだ誰もいないようだ。
とりあえず待つことにした小春は壁に寄りかかりながらスマホを取り出した。
それから数分後――
「あら? 先客がいたのね」
ようやくお目当ての人物が現れたようで、小春の視界に一人の女子生徒の姿が入った。
背筋を伸ばして堂々と歩くその姿からは自信のようなものを感じさせており、それだけで彼女は只者ではないことが分かる。
おそらく沙耶架と同じクラスの生徒なのだろうが、少なくとも小春には面識がなかった。
「それで一体なんの話かしら?」
「単刀直入に言いましょう。アナタとは友達になれないわ」
小春はハッキリとした口調で告げると、沙耶架の表情に変化があった。
それまで余裕のある笑みを浮かべていた彼女であったが、今はその顔が強張っているように見える。
「えっと……それはどういう意味なのかしら?」
「そのままの意味よ。別に深い理由なんて無いけれど、強いて言うなら私は一人でいたいの。誰かと一緒に行動するというのは面倒だし疲れるもの。そういう意味でも私はアナタとは違う人種だと思うのよね」
「つまり一人が好きということね。でもそれなら何故ここに来たのかしら?」
「ああ、これのこと? これはただの暇潰しみたいなもので、特に深い理由はなかったりするんだけど……それにこういう風に呼び出したのはそっちが最初でしょう?」……んー。やっぱりこの人苦手かも。
沙耶架さんは自分のことを天才だと自称しているが、それは嘘ではないと思う。
ただ勉強が出来るとか運動が得意とかそういう次元の話じゃなくて、もっと根本的なところで彼女は特別な存在だと思う。
それこそ生まれつき才能を持っている人とでも言うべきなのか。
きっと彼女にとって自分は取るに足りない凡人であり、本来であれば関わることさえ無いはずの人種なんじゃないだろうか。
いや、あるいはもう既に関わりがあるということを忘れているだけかもしれないけど
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