『ピピッピピッ』
 時計の音が部屋に鳴り響く。
 「んぅ…」
 私は寝返りをうち、目を開け、
目覚ましをとめて、伸びをする。
 洗面所に行き、 顔を洗って口をすすぐ。
まだ寝ぼけているが心配ご無用です。
 私は寝ぼけていようが
早着替えのスピードは変わらない!
 と、ようやく目が覚めてきた。
 階段を降りてダイニングルームに入る。
 食卓に目を向けると、
なぬっ!?私より先に朝食を
とっている樹がいるではないかっ
 くぅ、この私を差し置いてっ!
このっ!食いしん坊め!
しかも、絵になってるところがまた憎いっ!
 「おはよ、姉ちゃん。変な顔して何考えてるのかわかんないけど早く食べなよ、冷めちゃうよ?」
 うっ…
 「おはよう!」
 少しカチンときて大袈裟に 歩き、椅子に座る。
 「いただきまーす」
 横でごちそうさまー、と席を立ち上がり、
いってきまーすと樹が先に家を出た。
お母さんは仕事ですでに家を出ている。
 今日の朝食はお母さんが作り置きしてくれたトーストと サラダと、ミネストローネ。
ぱくぱくっと食べてしまい皿が空になる。
 「ごちそうさまでしたー」
 すると途端に視界が暗くなり、
 「だーれだ♪」
 可愛らしい声が耳をくすぐり
肩がビクッとはねる。
 でた…
 コイツは…いたずら好きの小悪魔。
 私の幼なじみだ。
 私は目に被さっている手を無理矢理はがし、わざとにっこりと笑みを浮かべて 後ろを振り向いた。
 「おはよ、伊佐木。 どうやって入ったの?」
 こいつはいたずら好きの小悪魔。
幼なじみの 伊佐木 玲央。
 いたずら好きだが、 愛嬌がある容姿から
憎めなく、いつもずるい。
その容姿でもちろんのようにモテている。
 そんな奴であるが 恋愛に関しては鈍感で、
色々と罪な男だ。
 「おはよ、なつ♪ 樹がいたから頼んで入ったの♪」
 「あーはいはい、樹が…って!なんで!?」
 「なつに会いたかったんだもん♪」
 「だもん♪、じゃないわよ!
びっくりするでしょうが!」
 「なつだけなのにな…」
 「なんて?」
 「なんでもないよ♪ いたずらするのは
反応がおもしろいから♪」
 こ、こいつ…
めちゃくちゃスマイルだよ…
 「樹でやればいいのに」
 脳内で「巻き込むな!」と樹の声が聞こえる。
 「なつだからいいんだよ。 表情豊かでおもしろいもん♪」
 「表情豊かってあなたのまわりなら他に 1人や2人いるでしょ!」
 「むぅ…なつは仕掛けやすいの! だからやめれない!」
 こいつっ…!
 「人で遊んでぇ! 今日はもう許す…けど、
次やったら家、立入禁止よ!」
 「やめないよ? だってかわいいんだもん♪」
 そういって彼は妖艶に微笑んだ。
 不覚にも私はその笑みに ドキッとする。
瞬きをすれば彼はもう いつもの明るい笑顔。
 き、気のせいか…
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