テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
RanJam
あの子はもう何処にも居ない
名前を呼んでも 反響するばかり
触れた温度は記憶の中 冷めていくばかり
あの子の物語 誰にも読まれず閉じていく
あのとき あの場所で
確実に 完全に 終わったの
遺されたのは 曖昧な残響
消えきれない 私の幻想
もしもと願うほど
研ぎ澄まされた現実
あの子の魂は 星に海に崩れて溺れていった
やさしく 酷く 還る
再形成など亡いと分かっている
それでも、呼び続ける
もう苦しむことも 笑うことも亡い
それが救いだと云ってみても
空白が形を持って 私を壊す
あの子の声が輪郭が
やけに鮮明で忘れさせてくれない
あの頃に戻れたらと
脳にこびりつく願い
忘れることが最善策なら
こんなに辛いはずないのに
本当は分かっているの
何処にも居ないことも
救いもないこと 全部 全部
それでも、まだ 胸の奥
終わらせることを拒む
あの子はとっくにもう亡いのに
まだ手放せずにいる
「行かないで」なんて
もうとっくに遅かったのに
まだ諦めきれず生きている
君が死ぬまで生きていた
あの子は光の粒で
何処かに消えていった
触れられなくてもいいから
せめて 消えないで
もう戻らないと分かるのに
願い続ける 愚かなままで
終わりのない祈り事
夜に堕ちていく
あの川の向こうで
君を待っている
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!