精霊は私に向かってもう一度
「見つけた。ようやく、、 」
といった。そして大粒の涙を零して泣いていた。見た目は、金髪で黄色い目をしていて、耳が尖っている。
誰の契約精霊だろうか?というか、一体誰を見つけたというのか?私の方を見ていたが、私はこの精霊のことを知らない。そうやって考えていると、少年らの内の1人が
「ルーナス様!?!」
と叫んだ。なるほど、この精霊はルーナスというらしい。様呼びされていることを考えると上位精霊だろうか?もしくは聖霊なのかもしれない。
「その様子だと私のことは 覚えてないようですね、、 私は、大精霊のそのまた上位種である神霊、 光の神霊、ルーナスと申します。 また会えて嬉しいです。」
そうやって深々と頭を下げる。いや待て、神霊は精霊の上位種である聖霊のまたさらに上の存在だ。
私はそんな神霊に頭下げられる程のことをしてないし、地位もあるわけでもないはず。というか、また?私神霊と会ったことがあっただろうか?
「、、以前お会いしましたっけ?」
「いえ、会っておりません。私はあなたの前世で助けてもらった事があるのです。」
「私の前世で、ですか?」
「はい、あなたの前世は メリア・ソリアンブル。」
「!!」
メリア・ソリアンブルとはあの、大精霊の恩人でもあり、この世界に生前まで平和をもたらした、あのメリア・ソリアンブルなのだろうか?
でも本当に彼女は存在したのかは分かっていないはずだ。おとぎ話上の存在という説もあるくらいその存在は未知が多すぎることで有名な人物なのだから。
「今の時代では、おとぎ話になってしまっていますが、彼女は実在した人物です。お話の部分で主人公のメリアがとある精霊を助け、亡くなってしまいましたが、とある精霊とは私のことなのです。」
このことは少年たちも知らなかったようで、驚いた顔でそのまま停止してしまっている。
「でも、なぜ私の前世はメリア・ソリアンブルって分かるんですか?前世のことなのに、、、」
「それは、メリア様と全く同じ魔力のオーラを感じたからです。」
すると突然、
「そ、それは有り得ませんよ、ルーナス様!こいつは下位の精霊でさえ契約できなかったのですよ?精霊と契約するにはその精霊と契約するのにふさわしい魔力を持ってないといけないのに、こいつはルーナス様と契約できる量の魔力を持っていないと思います! 」
「そうですよ!俺もそう思います!だってこいつ下位精霊とでさえ契約出来なかったのですから。」
少年たちはそう言ったが、
「黙りなさい。そして、メリア様のことをこいつ呼ばわりしたことは罪が重いですよ?覚悟なさい。」
穏やかな顔をしていたのに急にこの場が凍りつくような声色と顔をしたルーナスに少年たちはビクビクと震えながら
「「す、すいませんでした!!」」
と言って、猛スピードで逃げていった。少年たちの姿が見えなくなったところで、ルーナスは私の方に向き直り、 穏やかな笑顔を見せた。
美人の笑顔って怖いという人がいるが、今ならその気持ちが分かる気がする。
「という事で、私と契約をしていただけませんでしょうか?」
無理と言える雰囲気では無いし、この状況から逃げ出すことも出来ないだろう。ということで、私は《光の神霊 ルーナス》と契約したのだった。
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「あの、、、今のメリア様のお名前は何と言うのでしょうか?」
契約が終わったあと、ルーナスはそう聞いてきた。
「私の名前?」
「はい、メリアとは、前世のお名前なので、、先程の少年らにはメリア様と言いましたが、私は今のお名前で呼びたいのです。」
「そっか、私の名前はアヤ・ロリード。よろしくね、、、」
その時私はルーナスのことをなんと呼べばいいのか迷った。ルーナス様?それともルーナス?ルーナスさん?
「私のことはルーナスとお呼びください。」
「!分かった。よろしくね、ルーナス。」
「よろしくお願いします、アヤ様。」
こうして私はルーナスと精霊契約し、これから先の未来を想像して喜ぶのだった。
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「それで、、、アヤ様、この少年はいかがいたしますか?」
あ、そうだった。私はフードを被っている少年の方を見る。
最初見た時は、フードを被っていたため分からなかったが、金髪の真っ白な肌をした少年だった。
そして今はあの少年たちのせいで怪我をしてしまい、気絶しているようだ。
「連れて帰ってまずは治療かな、、、」
「でしたら、私にお任せ下さい。」
そう言った後、少年はルーナスによって光に包まれ、光が消えた後には少年の怪我が綺麗に無くなっていた。
「回復系統も使えるんだね。」
「はい、この程度の傷でしたら綺麗に治りますよ。魔力が増えたらもっと深い傷でも治すことが出来ます。」
その時、私はお母さんの怪我を治すことも出来るのではないかと思った。
「例えば、大火傷で脚が動かなくなった状態から治すことだって可能?」
「それぐらいでしたら、今すぐにでも治せますよ。」
「えっ!そうなの!?」
家も含め全ての物を売ってようやく母の治療ができるくらいなのに。そのくらいなら?じゃあルーナスにとってどれくらいが深い傷なのだろうか?
そう考えているとき、急に私の視界はぐにゃりと歪み出した。
「あ、れ?」
あ、これやばいな。近くでルーナスが私の名前を呼ぶ声がしたが、私は意識を手放してしまった。
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