その期待は、あっという間に打ち砕かれた。
焼け野原ではない。ひしゃげた鉄骨も、くすぶる煙も見えない。
そこには、ただ、真っ黒に塗りつぶされた窓があるだけだった。手のひらを床に押し付ける。
振動は感じない。既に電車は停止しているのだろう。
幸造さんの手を借りて、俺はふらふらと立ちあがった。
アンデッドやら車掌やらに散々汚された服からは、何とも言えない臭いが漂ってくる。その匂いとチクリと刺す痛みに眉を寄せると、幸造さんが俺の顔を見て「君の番か?」と聞いてくる。
俺は小さな痛みがゆっくりと消えていくのを感じながら、首を横に振った。
「俺じゃ、無いと思います。ちょっと頭が痛いのは確かですけど、この間のとは違う気がする」
この痛みは多分 一過性(いっかせい)のものだろう。
実際、水を貰って半分ほど飲み干す頃には、痛みも随分と小さなものになっていた。
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