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『なあ! おい! ワシちょびっとだけもとに戻った!』
朝、興奮気味の千歳の声に起こされた。
「ふえ? 何? ちょびっと?」
目をこすりながら千歳(朝霧の忌み子のすがた)を見る。現在ロングヘアの千歳だが、髪がさらに長く、腰より長くなっていて……んん? なんか、髪の先の方に行くにつれて、髪っぽさがなくなって、おばけ姿のときのしっぽみたいな黒の質感になっている……?
その千歳の髪の末端が、ぴちぴちはねた。
『髪の先っぽだけ、おばけの時のしっぽみたいにできるようになった!』
千歳はとても嬉しそうだ。
「ほ、本当だ!」
『そんでさ、そんでさ』
千歳は俺にぐっと近づいた。
『これ髪の毛だけど、感覚あるんだ。だからさ、これでお前に巻き付くのはいいか? これでならいいよな、女に見える奴の髪がくっつくの、そんないやじゃないだろ?』
「え、まあ、いいけど……」
『やったー!』
飛び上がって喜ぶ千歳。そんな千歳の髪がするする動き、すぐ俺の胴体に巻き付いた。いつも通り、きつくはないがぴったり密着する程度。
しかし。
「なんでいきなり、一部だけ戻ったんだろう?」
『昨日薬膳料理食べたからじゃないか?』
「そんなんでいいの!?」
『力が出るもので、高級なものってお供え物として格が高いぞ』
「そういうもんなんだ……」
千歳のお供え物として、白米がいいとは聞いていたが。まあ、白米も、高級なものじゃなくなったのは、日本の歴史から見ればごく最近だしなあ。食べたら力も出るし、だから白米がいいのか。
昨日食べたもの……力が出て高級なもの……あ! 高麗人参!!
「昨日高麗人参食べたよね、力が出て高級に当てはまるから、それかな?」
そう聞くと、千歳は納得した顔をした。
『あー、なるほど、そうかも!』
「早く全部治りたいよね、高麗人参、俺買おうか?」
高麗人参、通販を探せばけっこう売っている。それなりのお値段だが。
千歳は少し顔を曇らせた。
『でも、高くないか?』
「買えない値段じゃないよ、後で探してみる」
『食い方よくわかんないから、料理方法とかも教えてくれないか?』
「いろいろあるけど、細かく切って煮ればだいたい大丈夫だよ、昨日もそんな感じだっただろ?」
『じゃあ、とりあえず鶏粥にでも入れて煮るか……』
千歳の今の姿はかわいくてきれいだが、一時的とは言え不調によるもの、と考えると早く治してあげたかった。千歳の治し方に少し目算が立って、俺は嬉しかった。
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コメント
1件
よかったね、千歳…!ちょっとだけでも戻ったの、すごく嬉しそうでこっちまでほっこりしたよ🥺髪の先っぽがしっぽみたいになるの、かわいいし、それを自分の意思で動かして巻き付けてくるの、千歳らしいなあって思った。高麗人参で治るかもって希望が見えて、主人公が「買ってあげる」って言うのも優しくてじんわりした…早く元通りになりますように🌙